2005年9月10日(土)放送
江戸川区・加藤邸
− 下町の路地暮らし 縁側で花火楽しむ家−
2003年8月完成
敷地面積     74平米(22坪)
建築面積     44平米(13坪)
延床面積    118平米(36坪)
鉄骨造
建築費:3000万円    坪単価:84万円



幅3メートルにも満たない路地を舞台にした家、加藤さんのお宅はこの路地を挟んで前は奥さんの実家。ご両親に、2人のお兄さん家族が住んでいます。ろじで子供たちが遊び、大人たちは井戸端会議。懐かしい風景です。

2階がリビングダイニング。この窓から、向かいの実家が見えます。窓越しに会話も楽しめます。広さ20畳、床は薫煙加工した無垢の杉板。奥さんは掃除をするときは、ほうきを使っているそうです。

キッチンの上は吹きぬけ。子供たちと会話もできます。休日はご主人が腕を振るうそうです。得意料理はチャーハン。

3階は寝室に使っている和室と子供部屋。2段ベッドは、子供たちが日替わりで上下を使い分けているそうです。


ロフトは子供たちが、『秘密基地』と呼ぶスペース。おもちゃがいっぱいです。その先は、荒川が望める屋上。ここは花火大会のための場所。さすが江戸っ子ですね。


1階の和室は、実家のお母さんが希望して作ってもらったスペース。大家族が集まったり、近所のお友達とお茶を楽しんでいます。

路地に面した縁側は、子供たちが一番有効に使っています。ここでスイカを食べたり、夜は花火。去り行く夏を思いっきり楽しんでいます。  

加藤さんのお宅は、荒川まで徒歩1分、散歩だけじゃなくて、子供たちが夢中になっているサッカーの練習場ににもなっています。

佐藤 文(さとうあや)+鹿嶌 信哉(かしまのぶや)

佐藤 文(さとうあや)
1961年群馬県前橋市生まれ 1984年日本大学理工学部建築学科卒業
早川邦彦建築研究室、芦原建築設計研究所を経て1990年K+Sアーキテクツ設立
千葉大学非常勤講師を経て現在日本大学、関東学院大学非常勤講師

鹿嶌 信哉(かしまのぶや)
1959年愛知県名古屋市生まれ 1983年京都工芸繊維大学工芸学部建築学科卒業
芦原建築設計研究所を経て 1990年K+Sアーキテクツ設立
日本建築家協会、日本医療福祉建築協会会員

受賞暦
スタジオ・カーサコンペ最優秀審査委員賞+建主賞同時受賞
群馬の家設計コンクール優勝賞受賞
宮城県・保健医療福祉中核施設構想提案競技佳作受賞
建築士会建築設計競技ーコミュニティーコアとしての小学校の再生ー佳作受賞
 
K+Sアーキテクツ

東京都世田谷区玉川台1ー5ー10あか尾ビル4F                
TEL   03-3708-3633
FAX   03-3708-3672
E-mail   ksa@mva.biglobe.ne.jp
 
この住宅は今だ下町風情が残る一角に建っています。敷地面積22.4坪という決して広いとは言えない敷地に広がりのある住宅を創るために、路地を積極的に利用しようと考えました。幸い路地を挟んだ対面は夫婦の実家で、親世帯と2人の兄の家族がにぎやかに暮らしています。路地は母屋との間の『中庭』であり、『屋外のリビングルーム』であると考えることもできます。そこで1階の両親が友達を招くためのスペースは、路地に向かって大きな縁側を設け思いっきり開くことにしました。道行く人達は私有地の中を通るかのように遠慮がちに通って行くそうで、見えるけど見ないという下町のルールはここでとても役に立っています。2階から上は子世帯のスペースで、2階からロフトまで全部が吹き抜けのワンルームになっています。食事の支度をしながらでも子供達の声が聞こえ、いつも家族の気配を感じることができます。また吹き抜けを介して3階から光を取入れています。日中は寝室と子供室のある3階をファミリールームとして利用できるように寝室にはタタミを採用し、布団を揚げることで寝室と子供室が続き間として広々と使えるようになっています。今は兄弟の子供達が一緒になって遊んだり勉強したりする格好のスペースになっています。夜はふすまで仕切る事によって落ち着いた寝室に戻ります。それぞれの家族間の関係や敷地境界といったいくつかの垣根(境界)をほんの少し低くすることによって広々と自由に生活する、それがこの住宅で考えたことです。
 
昔懐かしい路地空間、そこに加藤さんのお宅は建っています。22坪の土地にこれだけの器がを作るとは驚きです。機能的でありまがら、どこか懐かしい感じを残しています。外観は、白壁、黒壁、和のエッセンス。そこにセットバックして、縁先を設けてあります。うれしいですね。道行く人がほっとできるだけでなく、室内から外を眺めても広く感じます。それにしても、路地空間、見直したいですね。