12月29日(土)10時30分〜11時25分テレビ朝日
※地域によっては放送されないところもあります。 各地の放送予定

2001年12月29日放送
芦屋の名作 コシノヒロコ邸

1981年3月1日(84年増築)
 敷地面積  1141平米(346坪)
建築面積  277平米(84坪) 
延床面積  284平米(86坪)
RC造2階建て


ファッションデザイナー・コシノヒロコさんのお宅は兵庫県芦屋市の閑静な別荘地に建つコンクリート打ちっ放し。敷地の形状を利用し、建物が半ば地中に埋め込まれたようになっています。設計は世界的建築家・安藤忠雄さん。私の夢が実現しました。


玄関に飾られた絵はコシノサさん自身の力作。玄関扉はスチール製。重量感があり、存在感がありますよね。


リビング・ダイニングは厳かで落ち着く空間となっています。天井を切り裂くスリット状のトップライトからは美しい光が入り込みます。コンクリートの壁一面を照らす光、そして影。まさに芸術です。

冬寒いコンクリートの空間、最初の10年間は自らデザインしたスキーウェアを着て生活するなど、寒さとの戦いだったとか。そこまでしても安藤さんの設計した家に住みたかったそうです。精神的には豊かなこの空間は、自分のデザインにも影響を与え、今の自分があるのは、この家のおかげだとコシノさんは語っていました。

ダイニングテーブルには菊の花などを活け「和」の世界を演出。開口部から見上げると松の巨木がそびえています。

2つの棟の間に設けられた中庭。見事な寒桜です。壁に穿たれたスリットは京都の格子戸を彷彿させます。

キッチンは動きやすく、機能的なデザイン。シェイカー教徒の作る家具のような食器棚の扉はガラス張り。コレクションしている古い皿や、自らデザインした食器も見えるように依頼したそうです。

リビングのある棟と並行にある棟は7つの個室で構成されています。そのひとつは愛犬のための部屋になっていますが、以前は子供室だったそうです。広さ3畳、ストイックな空間です。



2001年12月29日放送
六甲の絶景 コシノ邸アトリエ

2001年5月
 敷地面積  2531平米(766坪)
建築面積  334平米(101坪) 
延床面積  602平米(182坪)
RC造+鉄骨+木造地階+2階建て


コシノさんは最近、自宅から車で1,2分のところにアトリエ兼住居を完成させました。シンボルツリーはセンペルセコイア。意味は永久に。コシノさんはこのアトリエを「センペル」と名付けました。永久に美しくありたいと願う気持ちの表れだそうです。


コシノさんのアトリエは開放的な大空間です。コレクション前には山のように布が積まれ、作業をするとか。彫刻は友人がコシノさんをイメージして作ったもの。


アトリエの上にあるのがロフト。ここはコシノさんの仕事場となっています。仮眠ベッドも設置。疲れたときにはここで一休み、そしてトップライトからの光で目を覚まして・・・。考えただけでも羨ましいですよね。

プールも設置。水のある空間が心を豊かにしてくれそうですよね。夜にライトアップすれば幻想的な空間へと生まれ変わります。コシノさんはここで歌舞伎やジャズのコンサートをするのが夢だとか。

ゲストハウスの2階はどこにいても自然を感じられる空間になっています。北側の山々の紅葉、南側の海までの絶景・・・。ため息の連続です。

デッキに出れば更に絶景が楽しめます。実に気持ちがいいですねー。自然の雄大さ、大切さを感じることができる素晴らしい場所です。

ゲストハウスの1階はお客さんが宿泊するスペース。中央にリビング、両端が寝室となっています。リビングは南側の開口を開け放ち、自然を感じながらくつろぐことができます。

こちらは「和」をイメージした部屋。浴室は圧巻です。柾目のヒノキ風呂。ゲスト用とのことでコシノさん自身、まだ1度しか入ったことがないとか。いやー、入ってみたいですねー。


小林 恒

1944年
京都市生まれ
1969年
日本大学卒業安井建築設計事務所
1973年
AZInstitute環境設計研究所開設
1975年
小林恒建築研究所開設
1984年
渡辺節賞、大阪府知事賞受賞
1988年
商環境デザイン賞受賞
1994年

神戸景観ポイント賞受賞


代表作品
 
1984年 東住吉のコートハウス(大阪、渡辺節賞)ASHIYAFLATS(芦屋)
1987年 SHOEGALLERYOTA(芦屋)
1991年
桜上水ストゥディオ(東京)
1994年
ホワイトマグノリア(神戸、景観ポイント賞)
1998年
G−CUBE(神戸)目神山の家(西宮)
1999年
岩園の家(芦屋)
2001年
平井山荘の家(宝塚)

小林恒建築研究所
〒659-0015 兵庫県芦屋市楠町16-18-001
TEL:0797-38-0789
FAX:0797-38-0783
E−MAIL:cova@alto.ocn.ne.jp

この建物はファッションデザイナーのコシノヒロコさんのためのゲストハウスで、芦屋市の「奥池」に建っています。敷地は六甲山麓の南斜面に位置し、緑の多い周辺地域は瀬戸内海国立公園に指定され、眼下には素晴らしい眺望が拡がります。
南東の傾斜地に建てられたこの施設は西側からアプローチします。ファッションの世界だけに止まらない彼女の創作活動の発想の原点である大きなアトリエは作品の収蔵庫を含み、また国の内外から訪れる人たちのために私設ギャラリーを併設しています。
細く長い硝子のギャラリー空間はエントランスを兼ねていますが、アトリエと野外舞台を持つ水庭を挟んで建つゲストハウスへはこのギャラリーに沿った路地空間からもアプローチできます
期待感の高まるシークエンスの中、ゲストハウスのサロンを訪れる人たちは自然環境と眺望を享受します。この複合的で私的なミュージアムと言うべき建物は地域に開かれた文化交流や情報発信の場として多目的な視点で計画され、建築家としての私と、ファッションデザイナーとしてのコシノヒロコさんとのコラボレーションでもあります。
今後さまざまなイベントの企画があり、一般にも解放される場合もありますので、皆様も機会があれば一度訪れてみて下さい。




2001年12月29日放送
代官山の奇跡 こぐれ邸

1998年6月
 敷地面積  172平米(52坪)
建築面積  93平米(28坪) 
延床面積  146平米(44坪)
鉄骨+RC造3階建て


イラストレイターのこぐれひでこさんとフォトグラファーの小暮徹さんのお宅は、アトリエ兼住居。建築家・室伏次郎さんと3人のコラボレーションによって完成しました。1万枚以上のガラスブロックを外壁として使用し、更にコンテナも設置しています。


こちらは3階。奥さんの仕事場です。南側は全面ガラス張り。更に書庫も設置。実はここがコンテナ部分となっています。


奥さんの仕事場からパリの街角を思わせる「アベニュー」に出ることができます。長さ18メートル。実に気持ちがいい!思わずため息が出てしまいました。床のタイルはモロッコで購入したもの。フェズブルー。いい色。そして形です。

奥さんがアイデアを出した明るく開放的なキッチン。収納には扉が無く、どこに何があるかすぐに分かるデザインです。置いてある小物は全てパリで購入。フランスの民家の台所にいるような気がするのも頷けます。

ダイニングの形は楕円形。奥さんの仕事場やキッチンと違って閉じらた暗い空間になっていますよ。照明はハロゲン。その中央には楕円形のトップライトを設置。照明と自然光を切り替えることで様々な雰囲気が味わえるとか。ダイニングテーブルはインドの枕木を使用したもの。

寝室も南側全面ガラス張りの開放的な空間となっています。カーテンはインド製。このカーテンがちょっと面白いんです。これはエンジェルらしんですが、どうみてもふんどしを付けたおじさんに見えてしまいます。

浴室もまた開放的。この味のある浴槽は、1900年代初頭のもの。ホーローする前の亜鉛むきだし。この浴槽をはじめ、浴室にあるもののほとんどがパリの雑貨屋やのみ市で購入してきたものです。二人のセンスが光りますよね。

2階は、リビング兼ご主人の仕事場。男の世界が見事に演出されています。あまりの素晴らしさに言葉が出ませんでした。更に驚いたのが1階の巨大なスタジオ。こぐれさんのお宅で一番広いスペースを確保しているそうです。

室伏次郎/むろふし じろう

1963年
早稲田大学理工学部建築学科卒業
1963年
株式会社坂倉準三建築研究所入所(1971年3月退所)
1971年
株式会社建築研究所アーキヴィジョン設立
1975年
株式会社アルテック建築研究所設立を経て
1984年
株式会社スタジオ アルテック設立、今日に至る
1992年
「岡村スタジオ」にてSDレヴュー1992入選
1993年
「ダイキン オー・ド・シェル蓼科」にて1993年日本建築学会賞作品部門受賞
1994年 神奈川大学工学部建築学科教授
1996年 「大井町の家」にて1996年日本建築学会作品撰奨受賞
1997年
「成城の家」にて第4回空間デザイン・コンペティション[ガラスブロック]作品例部門金賞受賞
1998年
「牛久保の家」にてJUKEN実施作品コンペ高齢者のための空間 金賞受賞
2001年
「武蔵小山の家」にて第5回TEPCO快適住宅コンテスト 佳作受賞
2001年
「横浜市立科学技術高等学校(仮称)建設工事」設計業務プロポーザルにて最優秀賞

■主要著書
「空想の建築」 1985/鹿島出版会刊
「建築を語る」 1986/学芸出版社刊
「現代建築/空間と方法」 1986/同朋舎出版刊
「埋め込まれた建築」 1989/住まいの図書館出版局刊
「<いい家>をつくりたい」 1999/光芒舎刊


(株)スタジオ アルテック
神奈川県横浜市中区南仲通4-43
TEL.045-662-3772 FAX.045-662-3760
e-mail:st.artec@cronos.ocn.ne.jp
神奈川大学 工学部建築学科 室伏研究室
神奈川県横浜市神奈川区六角橋3-27-1
TEL 045-481-5661(代表) EXT.3434
e-mail:muroj@cc.kanagawa-u.ac.jp

この計画の主要なテーマは以下のように二つあります。
(コラボレーション)
建築家は、敷地の場所の特性に基いて、二人の作家のための二種類の独自な空間を、全体として物語性のある骨格としてつくる=原型をつくる。二人の作家は、その骨格に個的なイメージを設え、自分の居場所として表現する。具体的には建物のボリュームの構成原理、光の量と配置、周辺の都市風景の見え方などが骨格であり、材質の選択、色、それらの造形モチーフなどは二人の作家の自由な発想によるものですこのことの全てが協議によって決められた結果としてあります。

(構築された外部)
都市に生きる者の時空の全てが、あまりに人工気候の場にすぎます。それは近代的な 空間のゆがんだ一面を象徴するものです。世界の圧倒的な大多数の人々は、空気の質が外である空間を、人間の知恵を基に快適な生活空間としています。建築的に構築された、空気の質としては外部である空間に居る自由で開放された空間感覚を取り戻したい。それは省資源のためだけではなく、生物的な生きる能力をいきいきと保つと言 うことだと思います。



今回は安藤忠雄さん設計のコシノヒロコさんのお宅、小林恒さん設計のコシノさんのゲストハウス、室伏次郎さん設計のこぐれさんのお宅を紹介いたしました。いずれも劣らぬ名建築ですよね。深い感動を与えられました。
家作りは簡単に行ってはいけません。その土地の歴史を調べ、さらに風景作りを深く考える。
そして、情熱を傾け、形を表現し、作り上げていくことの大切さつくづく実感いたしました。