第二回 シンクロメダルに関して

入賞者に送られるトロフィー・メダルは、テレビ朝日美術制作センター玉置未和さんがデザインしたもの。「世界一の女性たちに世界一の花束を」。そんなコンセプトに作成されたバカラのクリスタルでつくられた「ワールドカップ」や「メダル」、どんな制作秘話が・・・?


─デザインに至った経緯を教えてください

 カップの製作がバカラに決まった、という連絡を受けたときに、「ところで、今度はメダルについてなのですが・・・実はまだデザインが決まっていないんです。出来ればメダルもデザインしてもらえないでしょうか?」と言われたんです。メダルの話は初耳だったので、びっくりしましたが、せっかくなのでやらせていただこうと思って、お受けしました。

─どんなイメージでデザインしたのですか?
カップにしても、メダルにしても、私がデザインにおいて表現したいポイントは「水から生まれたようなものにする」ことでした。
実は話を聞いたときにはすでに、バカラからの提案で、「バカラの新製品“ヒプノティック”をメダルに使ってみてはどうか?」という話があったんです。“ヒプノティック”は「イエロー、ブルー、クリア」の3色のドロップ型のクリスタルガラスで、ベルベットの紐につけてチョーカーとして使うというものでした。とても美しくて、しかもドロップ型ということで、水のイメージにはぴったりで、それを見た瞬間にメダルのデザインが頭にうかびました。「あ、これに、大会のロゴマーク(ミルククラウンと呼ばれる、水滴が水面に落ちたときの形)を王冠のようにかぶせよう!」って。完成したデザインは、そのときパッと描いたラフスケッチのままです。
もうひとつ、同じく瞬間的に思いついたアイデアなのですが選手がメダルをかけた時に“選手の肩から水のしずくが垂れて、メダル(バカラのドロップ)になった”というようなイメージにしたくて、右肩からメダルの位置までスワロフスキーの玉をつなげたものをつけたんです。結果、リボンの部分も含めて、シンクロらしいオリジナリティが出たと思います。

─メダルが完成するまでの苦労話
バカラのガラス部分以外は、素材もサイズもすべて一から細かく決める必要がありました。リボンの素材もスワロフスキーも、お店に行って何種類も買い込んで比較しながら決めていきました。
また、スワロフスキーは、選手がリボンを首にかけた時に美しく垂れるように、長さは特に気を使って決めています。
金・銀・銅の金属の部分は王冠を半分にしたような形になっているのですが、金属を3次曲面にしなければいけないので形の何度もチェックを行い微調整を繰り返しました。作ってくださる方も、ずいぶんと難しかったのではないかと思います。

─実物を目にした感想
チェック段階では、各パーツごとで見ていたので、最終的に完成した3色のメダルを見たときは、やっと出来たと思ってうれしかったです。バカラのガラスの美しさや気品を損なわないクオリティでその他の部分が作れるか心配でしたが、美しいメダルが出来たと思います。
完成形を見てくれた人、特に女性の方が口々に「かわいい!」「欲しい!」と言ってくれるのを聞いて「成功!!」と思いました。


■メダル
大会ロゴとバカラのクリスタルビジュウ「ヒプノティック」を組み合わせて制作されました。
「ヒプノティック」は、シャンデリアのドロップ部分からインスピレーションを得た丸みを帯びた官能的なフォルムのクリスタルに、バカラ独自のスカラベという加工が施されており、魅惑的なニュアンスと輝きを放っています。
また、大会オリジナルリボンをベルベットの紐に取り替えることで、選手は栄光の証をいつでも身につけることができます。