


半年遅れとなりましたが、ようやくこの作品を皆さんにお届けできることになりました。
3月11日は、翌日から放送される予定だったこの作品の宣伝をテレビ局でし、帰宅した後に地震が発生しました。人生初めての揺れを体験し、時間を追うに連れ報道で明らかになる被災状況を見て、延期のみならず中止も覚悟していました。そんな中、みなさんからいつ放送になるのかとの問い合わせをたくさんいただき、こうして放送が決定したことを本当にうれしく思います。
この作品に描かれている戦後の日本と、今の震災後の日本はリンクする部分があり、出会いや絆、そして究極的にはすべてを受け入れるという、今の日本に必要なものが詰まっているように思います。ぜひ最後までご覧いただき、作品に込められたテーマを感じてください。
[藤本一彦プロデューサーコメント]
第一夜の放送前日に発生した東日本大震災により、放送延期となっていた本作を遂に皆様にご覧いただけることとなりました。
松本清張さんの代表的な原作『砂の器』のスケール感を、玉木宏さんをはじめとする実力派の豪華俳優陣がより一層広げて創り上げています。清張ファンのみならず、多くの方々にも感動していただける作品に仕上がっていますのでどうぞご期待下さい。

ベテラン刑事役の小林さんは「ろれつが回らなくて、撮り直してもらったこともあった」と、寒さに苦戦したよう。撮影期間80日間という長さに関しては、「終わってみれば短かった。撮影時以外でも、玉木さんにはお世話になりました」と、意味深な発言。「僕は何もしてません」と、玉木さんが笑いながら否定すると、小林さんは「僕のような中年役者が多い中、玉木くんの方が精神的にずっと大人で頼りになりました」とコメントしてくれました。
ドラマのオリジナル登場人物で新聞記者の山下洋子を演じた中谷さんは、玉木演じる吉村刑事の恋人という紹介に、「洋子はまだ恋人として(彼のことを)認めていません」と進歩的な役柄さながらの発言できっぱり。そんな洋子の言動やファッションは、ドラマのみどころのひとつ。「洋子は勘がよく、吉村刑事より先に事件の糸口を掴んでヒントを与えていきます。手柄は私のものじゃない?と思うくらい(笑)。この衣装は、そんないち早く社会進出した女性の“鎧”のようなもの」とコメントしてくれました。
最後に若手刑事役の玉木さんは、「二夜連続で見ていただいてこそ、作品の良さをお伝えできると思います。このドラマをきっかけに、家族愛や人とのつながりを考えていただけたらうれしい」と、作品を力強くアピールして締めくくってくれました。
【質疑応答】
―― 昭和のドラマを演じる上で注意した点は?
小林 僕は足元から喉もとくらいまで昭和の人間。むしろ平成を演じることができない(笑)。苦労はありませんでした。
中谷 そんな小林さんのたたずまいから、昭和っぽさを勉強させていただきました。
玉木 昭和35年はさすがに知らない世界ですが、セットやロケ地、衣装などのお陰で自然と昭和の気分になることができました。
―― 何度も映像化されている作品ですが、もしももう一度、映像化するという話があったらどの役を演じたいですか?
小林 僕の年でできる役は決まってきちゃうでしょ(笑)。山本學さんが演じた本浦千代吉かな。
中谷 今回は佐々木さん、『のだめカンタービレ』では玉木さんが演じられた指揮者は、死ぬまでに一度やってみたい役ですね。
玉木 今回の反省点を生かしつつ、もう1回この役をやりたいです。
―― 過去の映像作品とどう差別化を図りましたか?
玉木 なぜ今、再び『砂の器』なのかということを意識しました。今は、戦後とは違い便利で物があふれている時代ですが、反面、世知辛い世の中でもある。そんな時代に、このドラマの中にある父子愛、家族愛を伝えられたらいいなと思って演じました。



1月初旬のクランクインから「ほどよい緊張感で撮影に臨んでいる」という玉木さんは、心身ともに充実の面持ち。「砂の器」はこれまで何度も映像化されてきた作品ですが、玉木さんに他の作品を気にしたり、気負ったりしたところはまったくみられず、「吉村の目線で描かれるのは今回が初めてなので、出世や手柄を挙げたいといった欲ではなく、刑事としてただ真実を知りたいという情熱を持った吉村を、大事に演じていければ」と、心境を語ってくれました。また、「現代劇のようにせわしなくないので、一つひとつのシーンをじっくり噛み締めながら演じています」と、原作同様、昭和の時代設定で撮り進められているドラマの世界観を、じっくり堪能しているそうです。


原作にはない本ドラマのオリジナルキャラクター、吉村の恋人で新聞記者の山下洋子役に挑んでいる中谷さん。同じ清張作品の映画『ゼロの焦点』(2009年)で日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を受賞している中谷さんですが、「あのときは辛い役でしたので撮影中は鬱々とした気分でしたが、今回はまったく逆の緩衝剤的なお茶目な役。運命に翻弄される悲しいストーリーの中にあって、一人だけマイペースな洋子を、明るく楽しく撮影させていただいています」と、言葉通りの明るい笑顔を見せてくれました。

玉木さんと中谷さんはこれまで同じ作品に出たことはありますが、実質的には今回が初共演となります。中谷さんとの共演を楽しみにしていたという玉木さんは、「洋子は、当時としては先端を行く珍しいタイプの女性です。それを中谷さんが生き生きと魅力ある女性として演じてくれています」と、初共演の感想を述べました。
対して中谷さんは玉木さんの印象を「まじめな方。お若いのに礼儀正しく、スターであることと一個人であることのバランスが良い」と称賛。共演シーンについては「洋子は、犯人とある種表裏一体である吉村とは、同じ事件の周辺にいても立場がまったく違うので、ぴったり息を合わせるというのではなく、どこか噛み合わない面白さを楽しんでいます」と、洋子さながらのイタズラっぽい目で語ってくれました。