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#298(2008.08.09 OA)

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『西部警察』の“西部”って何なんだろう?

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石原良純さんをゲストにお招きして、
『西部警察』から『スケバン刑事』『刑事犬カール』までテレビ界を沸かせた名作刑事ドラマを一挙紹介!

今週のSmaSTATION!!は、“マイコン刑事”こと石原良純さんをゲストにお迎えして、特別企画『今こそ見たい! なつかしの刑事ドラマ ベストセレクション12 後編』をお送りしました。 前回、番組では『太陽にほえろ!』『キイハンター』『Gメン’75』といった、テレビドラマ史に残る名作刑事ドラマをご紹介しました。が、伝説となっている刑事ドラマは、まだまだたくさんあるのです! というわけで今回ご紹介したのは、ド派手な銃撃戦や爆破&アクションシーン満載(破壊した車両総数は何と4680台!)で視聴者の度肝を抜いた『西部警察』、その前身となったハード・ポリスアクションの源流ともいえる『大都会』、法の網をかいくぐる悪に立ち向かった『ザ・ハングマン』、人気絶頂のアイドルだった木之内みどりさんと本物の警察犬による演技が大きな話題を呼んだ『刑事犬カール』、斉藤由貴さん、南野陽子さん、浅香唯さんと、当時のトップアイドルが抜擢されて3シリーズが制作された『スケバン刑事』、スタイリッシュ刑事アクションの決定版『あぶない刑事』など。『西部警察』からは、劇中に登場した“異色マシン”ベスト3や、“日本縦断シリーズ”名場面ベスト5などもご紹介しました。日本各地で大規模なロケを敢行した縦断シリーズは、本当に凄かったですよね。『太陽にほえろ!』ではコンピュータを使って犯人を追いつめるマイコン刑事を演じた良純さんが『西部警察』で演じたのは、“ジュン”こと五代刑事。良純さんは、ミスが許されない危険な爆破シーンはもちろんですが、渡哲也さんや舘ひろしさんといった大先輩たちと一緒だったこともあって、撮影のときは常に緊張している状態だったそうです。さて、次週8月16日は、木村佳乃さんをゲストにお迎えして、『月イチゴロー夏休みSP』&『明日、わざわざ行きたくなるサービスエリア・夏休みSP』をお送りします!どちらも、この夏休みにすぐ役立つ情報満載です。ご期待ください!!

さまざまな個性的な刑事が登場し、いつの時代もテレビドラマ界を彩ってきた数々の刑事ドラマ。どんな人にも、思い出に残る名作がきっとあるはずです。そこで、スマステーションでは前回 に続き懐かしの名作刑事ドラマの傑作選をお届けします。あなたが好きだったあの名作の名シーンが、再びよみがえります!


スマステーション!!特別企画
今こそ見たい! なつかしの刑事ドラマ ベストセレクション12後編

■ポリスアクションの決定版「西部警察」

1979年から放送されたこのドラマは、現在では考えられないハリウッド級のド派手な爆破シーンが人々の目を釘付けにしました。全236話中、破壊した車両総数は、実に4680台。1話平均20台以上という計算になります。また、破壊した家屋は320軒に上るというのですから、すべてにおいて規格外だったといえます。そして「西部警察」が、ほかの刑事ドラマとは一線を画しているのは爆破シーンだけではありません。石原裕次郎さん演じる木暮課長と、渡哲也さん演じる大門警部が引っ張る「大門軍団」もそのひとつです。

ではここで、メンバーの紹介をしましょう。

寺尾聰さん演じる松田刑事、通称は“リキ”。
三浦友和さん演じる沖田刑事、通称は“オキ”。
峰竜太さん演じる平尾一兵刑事、通称は“イッペイ”。
石原良純さん演じる五代刑事、通称は“ジュン”。
軍団の熱血刑事たちは、自らカスタマイズした車を乗りこなします。大型のアメリカンバイク、「ハーレー・ダビットソン」にまたがり捜査にあたっていたのが、通称“タツ”と呼ばれた巽刑事。演じていたのは、もちろんこの方、舘ひろしさんです。

「(西部警察のオファーを受けて)「どういう刑事になりたい?」と言われ『オートバイに乗ってる刑事がいいね』『じゃあ、オートバイを用意するけど、どんなオートバイがいい?』と聞かれたので、『じゃあ、ハーレーがいい』って。どんどん自分の好きな刑事を作っていって、それが形になりました」(舘さん)

そこで、「西部警察」に登場した異色のマシンベスト3を紹介!!

■第3位「犯人がアメリカ軍から盗み出した最新の装甲車」
このシーンの撮影は、実際の銀座の街に交通規制を敷き、白昼堂々行われました。銀座を通過した装甲車は、国会議事堂を通り、その後、六本木のテレビ朝日に到着。局内が大パニックになるという設定でした。そんなところへ現れた大門軍団は、暴走する装甲車を最後はダイナマイトで爆破するのです。ちなみにこの装甲車のお値段は、5000万円でした。

■第2位「特別仕様のスーパー四駆<サファリ>」
車内から外部を監視できるビデオカメラにレーダーまでを搭載し、フロントとルーフには放水用ノズルを装備、このサファリは、武装した犯人グループを廃工場に追い詰めたところで初披露、あっという間に廃工場を水浸しにしてしまいました。その姿はまるで「走る要塞」、と多くのファンを魅了しました。

■第1位は「木暮課長が自らプレゼントした<マシンX>」
犯人の車の居場所が分かるレーダーなど、50種類以上もの特殊装置を備えたスーパーマシン。警視庁のシステムと直結したコンピューターを搭載、最高時速はなんと240kmでした。そして「西部警察」といえば、北海道から鹿児島まで15000qを駆け抜けた、全国縦断ロケが有名。日本各地で壮大なアクションが展開され、多くのファンを楽しませました。これは、石原裕次郎さんが闘病生活のため、途中降板を余儀なくされていたとき、励まし続けてくれたファンの人々への感謝の意味もあったといいます。

「我々の商売は、こういう人たちに支持されているしね。それはもう本当にありがたいことですね。本当になんかこういう力みたいなものが、僕をもう一回蘇らせてくれる気がしますね。」(石原さん)

それではここで、「アクションシーン満載の日本縦断ロケ」
その名シーンベスト5を一挙公開!!

■第5位「広島を舞台にした暴走列車爆破のシーン」
現金輸送車を襲い5000万円を奪った暴力団員が、広島市街で路面電車をジャック。猛スピードで電車が走るなか、暴力団員の手には時限爆弾が…。ここで大門は、市民の安全確保のために広島市内の全電車を退避させるという作戦を決行!暴走車輌の主電源を切り、間一髪のところで乗客を救い出したのです。そして…爆破!!ちなみに、広島県ではこの回の放送は、視聴率49.6%を記録したといいます。

■第4位「玄界灘の地元漁師さんが登場するシーン」
石原良純さん演じる五代刑事を人質に取って逃亡する密輸船を追い、玄海灘に繰り出す大門軍団。絶体絶命の危機に陥る五代刑事の助っ人として登場したのは、なんと、地元の漁師さんたち。彼らの協力の下、撮影した密輸船を取り囲むシーンは圧巻。激しい銃撃戦の末、ここでも総重量100tの船が…爆破!! そして、大門警部と言えば、専用の武装ヘリ。この大門警部のヘリは、ドラマのラスト近くで登場し、犯人を圧倒しました。

■第3位「鹿児島を舞台にした過激な爆破シーン」
アメリカ軍から細菌兵器を奪った一味と大門軍団が鹿児島で激突。アジト周辺に仕組まれた地雷原に迷い込んだパトカーが次々と爆破! そこに細菌兵器が投入されます。完全装備の大門軍団が取った作戦とは、なんと「放水」。そして最後はアジトをやはり、爆破!

■第2位「山形県・酒田市が舞台の大爆発シーン」
テロ組織によって作られた近距離攻撃用ミサイルを追って大門軍団は山形へ。そして酒田港を舞台に、バズーカ砲を交え、激しい銃撃戦を展開。大門軍団は、発射が近づくミサイルの運搬車輌に乗り込んで発射台にストッパーを仕掛けます。そしてついに発射ボタンが押されるのですが、ストッパーが功を奏してミサイルは、その場で…大爆発! 市民の安全を守ることができました。

■第1位「名古屋市を舞台にした巨大煙突を倒すシーン」
巨大煙突のある廃工場を舞台に、壮絶な銃撃戦を展開。そして、この回の目玉は何と言っても廃工場を爆破し、この巨大煙突を倒すこと。本番では、見事、たった一回のチャンスで予定した方向に倒して見せたのです。

そして、「西部警察」の数ある名場面の中でも特にファンの熱い注目を集めたのが、大門軍団メンバーの壮絶な殉職シーン。
それではここで、「西部警察」歴代刑事の殉職シーンをご紹介しましょう。

寺尾聡演じる松田刑事の最期は…。
大門たちがいる港に爆弾が仕掛けられていることを伝えるため、傷を負いながらもやって来るのですが、何発もの銃弾を浴び壮絶な死を遂げるのです。

三浦友和さん演じる、沖田刑事の最期は…。
沖田刑事は、それまで抱えていた病が悪化し、入院することになるですが、最後まで捜査にこだわり、病院を抜け出します。そして残りの命の炎を燃やすかのように激しい銃撃戦を展開。 事件の収束を見届けると、その場で大門に拳銃と警察手帳を渡します。そして、大門たちの下を去り、自らの死を悟ったとき、ひとり冬山に消えていくのです。

舘ひろしさん演じる、巽刑事の最期は…。
負傷した身で、幼稚園バスに仕掛けられた時限爆弾をギリギリのところで取り外すのですが、結局、この爆発に巻き込まれてしまいます。そして最後は、大門の腕の中で力尽きるのです。 ところが、この殉職はファンからの抗議が殺到。そこで番組は、舘さんに「鳩村刑事」というまったく別のキャラクターを与え、西部署に加わらせたのです。別人のはずの鳩村刑事ですが、捜 査の際には巽刑事同様、バイクにまたがり華麗なアクションを披露していました。

渡哲也さん演じる大門警部の最期は…。
大門警部の殉職は、「西部警察」の最終回にありました。国際的テロ組織のアジトに単身のりこんだ大門は、その戦いに終止符を打ち、そして、敵のアジトが…爆破!!しかし、大門は被弾。その後、仲間の刑事たちに囲まれ、息を引き取るのです。こうして「西部警察」は大門の壮絶な死でそのラストを迎えます。

そして、ファンの間で今なお語り継がれる名場面といえば…。
「西部警察」の特別編で石原裕次郎さんは、ある俳優と共演しています。破天荒な役者として名を馳せ、石原さんとは盟友でもあった勝新太郎さんです。1984年、「西部警察PARTIII 正月スペシャル版」として放送されたこの回で名場面と言われるのが、ふたりの名優がカードで対決するシーンです。ほぼ無言で展開される場面ながら、巧みな心理戦は多くの視聴者を惹きつけ、「西部警察」史上に残る名場面となりました。こうして、伝説の刑事ドラマとなった「西部警察」。その象徴ともなった過激なアクションシーンの数々。実はこれに溯ること3年前…その原型ともなった刑事ドラマがあったのです。それが、超ハード・ポリスアクションの源流といわれる「大都会」です。1976年から放送のこのドラマは、渡哲也さんと石原裕次郎さんのふたりが出演、パート1のメインライターは、あの「北の国から」で知られる、倉本聰さんです。そしてパートUから登場したのが…松田優作さんです。ドラマは彼の加入と共に、そのアクション色を強めていきます。
東京タワーを舞台に、人質をとった犯人を追い詰めるシーンでは、「現場の緊迫感」をよりリアルに伝える為に、ヘリによる空撮を導入。松田優作さん演じる狙撃の名手・徳吉刑事と、渡哲也さん演じる黒岩刑事との手に汗握る連携プレーは、「名シーン」としてファンの間に語り継がれています。

■許せぬ悪の“お仕置き人”「ザ・ハングマン」

1980年から放送のこのドラマは、シリアスなストーリー展開でありながらも、独特な自白シーンが話題となった異色の刑事ドラマです。例えば、目隠しをし、ラジカセと懐中電灯で「電車」を連想させ、犯行を自白させるといったものです。道路建設予定地に閉じ込めて、コンクリートを流し込んで自白。また、全身にとろろ汁を塗りたくり、かゆがらせて自白させるなど、バリエシ ョンに富んだシーンが話題となりました。実はこのドラマは、当時人気だった時代劇「必殺仕事人」をヒントに制作されました。ただし、「必殺」シリーズが悪人たちを抹殺してしまうのに対し、警察の特命組織である「ハングマン」は、決して殺しは行いません。悪人たちの犯した罪を世間に公表するという形で、“お仕置き”という名の社会的制裁を加えるのです。

「まず、悪いヤツを殺さないっていう、これがひとつの特徴でしょう。シリアスなところはシリアスで、コメディなところはコメディでやってという。あれは、視聴者の代弁ですね。視聴者の、悪いヤツをもっとやっつけてくれ、もっといじめてくれというのを代弁してたんですね」(黒沢年雄さん)

そして最終回には、警察の特命組織でありながらもその警察を敵に回してしまい、国外逃亡を余儀なくされるといった、前代未聞の結末でした。

■異色の人気ドラマ「刑事犬カール」

1977年、当時人気だったアイドル、木之内みどりさんとともに事件を解決する「刑事犬カール」。このドラマは大人から子供まで幅広い視聴者に愛されました。人間も及ばぬ知恵と動物ならではの勇気、そして人々との交流を通じて、ストーリーが展開。ちなみにこのカールは、当時、実際に警察犬訓練学校に所属していた犬、300頭の中から選ばれた賢犬が演じました。そのせいもあり、カールの芸達者ぶりはかなりのもので、その人間顔負けの演技力は子供を中心に人気を呼び、最終回後、同じ放送枠で始まった新番組「コメットさん」にもなぜか登場。ストーリーの関連が全く無いにも関わらず、大場久美子さん演じるコメットさんと絡む形で度々出演していました。

■特撮ヒーロー顔負けの刑事シリーズ「スケバン刑事」

警視庁特務機関の特命を受けた女子高生「スケバン刑事」が、悪に敢然と立ち向かうこのシリーズ。このスケバン刑事、初代には斉藤由貴さん、2代目は南野陽子さん、3代目に浅香唯さんといった当時のトップアイドルが抜擢。いずれのシリーズでも共通する彼女たちの役名は…麻宮サキ。そして、この麻宮サキが警視庁マークの入ったヨーヨーを片手に、敵を目の前にして口にする決め台詞、「おまんら、許さんぜよ!!」は大きな話題となりました。

■スタイリッシュアクションの決定版!!「あぶない刑事」

1986年から放送のこのドラマに登場する刑事は、舘ひろしさん演じるダンディ・鷹山と、柴田恭兵さん演じるセクシィ・大下。このコンビの活躍する「あぶない刑事」は、それまでの刑事ドラマ の枠を越え、オシャレな会話とファッション、そしてふたりの疾走シーンとスピーディーなアクションで、爆発的ヒットを遂げました。また、当時人気のデザイナーズブランドのスーツやサングラスなど、ファッションアイテムも話題になりました。

「ふたりの刑事にして 少々無責任だけれど、おしゃれで正義感だけはキチンと強い、そういうドラマを作ろうと言って、思いっきりやろうやっていう事で始めたんです」(プロデューサー・岡田晋吉さん)

また、脇を固めるメンバーに浅野温子さん、仲村トオルさんといった豪華な顔ぶれを揃えたのも人気を支えた理由のひとつです。特に、セーラー服、バニーガールなど、さまざまなコスチュームに変装する浅野温子さんが、話題になりました。

それではここで、ファンが選ぶ、「あぶない刑事」
とにかくカッコイイ台詞べスト3を紹介!!

■第3位
ユージ「タカ、遅ぇんだよ。」
タカ「悪かったな、ちょっと、車が混んでたんだ」
ユージは現金輸送車を襲った犯人グループを廃工場で取り押さえるのですが、仲間に撃たれ重傷を負います。それでも瀕死の状態で、犯人を威嚇し続けるユージ。そこへようやく最後の最後で駆けつけたタカとユージのセリフ。

■第2位
ユージ「全く芝居がうまいんだから…。」
タカ「(逮捕状を出して)裁判所からのラブレターだよ」
ドラマのラスト、真犯人の元に逮捕状を持って現れるふたりのセリフ。

■第1位
タカ「俺だけでケリをつける」
ユージ「俺たち、だろ!!」
   「ニトロの方は俺が何とかするわ!!」
タカ「しょうがねえ。じゃ手伝わせてやるか」
ユージ「いつもすまねえな」
タカ「どういたしまして」
自らのミスでニトロ爆弾を仕掛ける犯人に脅迫されてしまったタカ。責任を感じ、ひとりで解決しようとするタカにユージが語りかけたシーンでのセリフです。このシーンは、ファンの間で語り継がれる名シーンとなりました。また「あぶない刑事」は人気のシリーズとなり、その後も6回にわたって映画化されることとなりました。

このように、今なお人々に愛され続ける刑事ドラマ…。

最近では、水谷豊さん演じる頭脳明晰で冷静沈着な杉下右京と寺脇康文さん演じる熱血刑事・亀山薫のコンビが活躍する刑事ドラマ「相棒」が人気を博し、今年の秋からは第7シーズンの放送も決定しています。

そして、さらにこの秋放送のテレビ朝日開局50周年記念ドラマスペシャル「氷の華」で、あらたな刑事像を演じているのが、舘ひろしさんです。

「たぶんこれだけしゃべる刑事というのは軽いんだろう。中年で割りと軽い刑事、だからいままでとはちょっと違う中年で軽い刑事ですね」(舘さん)

自分が、50歳になったときを想像してみよう!

1984年、『西部警察PARTIII 正月スペシャル』として放送された回で名場面と言われるのが、石原裕次郎さんと勝新太郎さんがカードで対決するシーン。ほぼ無言で展開される巧みな心理戦はいまもファンの間で語り草になっているとか…。今回の格言は、あの名場面を思い浮かべながらお読みください。「別に、40歳でも60歳でもいいんですけど、なんとなく50歳にしてみましたが、勝新太郎さん、あの風格で52歳!石原裕次郎さんが46歳くらいかな? いまの良純さんと同い年らしいです(笑)。良純さん、自分で言いながら、首をかしげてましたからね。『何が違うんだろう?』って(笑)。そのころ渡さんは、木村くんとかと同い年くらいですよね。でも、あのサングラスにあのヘアスタイル…大門ですよ!何ですか、あの貫禄は? 50歳くらいのボクはどうなっているんでしょうか? 何となく自分で想像すると、そんなに大きく変わってない感じがするけど、逆に勝新太郎さんくらいの貫禄になっていたら驚きですよね。あのトランプをいじって、両手をあげるポーズ…。もし50歳くらいのボクがああなっていたら、これからの20年くらいをどんな風に過ごしたんだ?って感じですよね。激動の20年じゃないと…。楽しいですよね。そんな風に考えるのも(笑)。

石原良純さん
僕にとって「西部警察」は、原点よりも前の“スタートライン”という作品です。


ご自身のデビュー作「西部警察」の紹介もたっぷりありました、刑事ドラマ特集はいかがでしたか?

自分の表情はともかくとして、懐かしいですし、「みんな熱中して見てたよなぁ」って、記憶が蘇りましたね。みんなで同じドラマを見て、学校に行けば「昨日のあのシーンがかっこよかった」とかって話していましたし、横に一列に並んで歩いて「Gメン‘75」ごっことか、「太陽にほえろ」ごっことかやってましたもんね。あの頃の刑事ドラマって、年齢も性別も関係なく、とにかくみんなが見ていて共通の話題になるものだったんですよね。

「西部警察」のVTRで思い出されたのはどんなことですか?

地方ロケの話が出ましたけど、あの頃、2ヵ月に1回のペースで地方ロケがあったんですよ。1回のロケで12日間くらい地方に滞在するんですが、その間は、本当に寝ないでやっていたんです。番組でも言いましたけど、僕の場合は、撮影自体も大変なんですけど、撮影後に渡(哲也)さんの部屋に集まってお酒を飲むのも大変で……。そんなことをまず、思い出しました。

一番、ご苦労されたことですか?

一番、大変だったのは、食べることですね。残さずに物を食べなきゃいけないっていうのが、何より大変でした。伯父の石原裕次郎というのは、俳優もスタッフも全員が同じものを食べるっていうのがポリシーの人で。僕は、いわゆる俳優部のテーブルに着くんですが、食事はバイキング形式でとにかく山盛りなんです。そうすると残る量も結構あるんですが、これを僕ともうひとりの若手で食べなくてはいけなくて。それだけならまだいいんですが、その後に渡さんの部屋にお邪魔すると、必ずおむすびが出るんですよ。それも、ホテルの方がサービスしてくださるので、また、山盛りで。その残りまで食べるんですが、夜中にそんなに食べられないじゃないですか。今ではいい思い出ですけど、当時は、それが何より辛かったですね(笑)。

新人の試練ですね。

そう、なんでも若い者順なんですよ。カラオケなんかでも、「まず、お前から歌え」って言われますから。それで僕が歌って、最後は、舘(ひろし)さん、渡さん、石原という順なんですよ。でも、伯父は自分が飽きると、途中でも僕に歌えってなるんですよ。それで、結果的に僕ばっかり歌ってるっていう…。ですけど、今日、VTRを見て驚いたのが、「西部警察」の最後の頃の石原裕次郎が47歳だったってことですね。僕、今、46歳なんですよ。今、当時の彼に会ったとしても、きっと「ボス」って思ったと思うんですよ。そのくらい、みんな貫禄がありますよね。

当時のことは、今でも鮮明に記憶されているようですね。

それだけ痛烈だったんでしょうね。あれから20年、25年ですけど、あの当時に、あんなふうにやっていたんだっていうのは、本当にいい思い出ですよね。一生、忘れないですよね。当時のことは、昨日のこととは言わないけど、1ヵ月、2ヵ月前のことのようには思い出しますし、今でも、「おい、行くぞ」って声が聞こえたら「はい!」って答えると思います。

石原さんにとって、「西部警察」とは、どんな作品ですか?

「西部警察」に出させていただいたときは、俳優にもなっていない自分だったから、原点というよりもその前、本当のスタートラインっていう感じですね。そこで、いろんなことを教わったんですけど、そのときは、わからなかったんですよ、俳優の経験もなかったので。今になって「あんなことをしてくれてたんだ」「こんなことを言ってくれてたんだな」って、何かの拍子に思い出して、理解することがありますね。そういう意味では、現場は大変でしたけど、物凄くたくさんのことをあそこで教わっていたんだって、最近になってより感じていますね。

舘さんからの「俳優の世界には帰らないの?」というメッセージには、何と返答されますか?

俳優業もやってるんですけどね。ほかのこともやってるから、まあ、そう見えるのかな。舘さんは、未だに僕のことを心配してくださっているし、僕にとっては怖い先輩です。でも、そういう人が現役でいるってことも、僕にとっての財産だと思いますし、ありがとうございますとしか言えないですね。

大門警部が、今の私より年下だったなんて!

私は世代的に「西部警察」をよく見ていましたので、今日の特集は懐かしくて、そして凄く面白かったです。VTRの中で、私の地元でもある広島でのロケの紹介がありましたけど、そういえば、当時「『西部警察』のロケがある!」って話題になっていたのを思い出しました。そのくらい、みんなが見ていた、まさに国民的な番組だったんですよね。ちなみに、広島が舞台になった回の地元視聴率は50%近かったらしいです。それと改めて思ったのが、あんなに爆破シーンが多かったのかってこと。しかも、結構、街中での爆破が多いですよね。石原良純さんがおっしゃっていましたけど、実際、東京でもかなり都心近郊で撮っていたそうなんですね。あれほど大掛かりな爆破ですから、許可関係もさぞ大変だったんだろうなと、スタッフの苦労も忍ばれます(笑)。たとえ予算があっても、今では同じものは作れないんじゃないか、そんな気さえしました。そして、役者さんを見ていて思ったのは、みなさん凄くお若かったんだってことです。当時の大門警部が、今の私より年下だったなんて! ちょっと信じられない思いで見ましたけど、みなさん大人っぽいといいますか、凄く貫禄がありますよね。ボスから新人までが、ちゃんと上下関係の上に成り立っているから、そんなふうだったのかしら。良純さんがおっしゃっていたように、中に入れば上下関係の大変さから辛いこともあるんでしょうけど、外から見ると、チームのような“軍団”は憧れですよね。みんなが一丸となることで生まれるエネルギーとか、爆発力みたいなもの、熱さを凄く感じました。今の時代には失われつつあるのかもしれないですけど、気持ちだけでもそんな熱さを持つってことが必要なんじゃないかと思いました。

見えない方向に矛先が向った作り手の熱意は、見ていても伝わってきました!

◆北京オリンピックが開幕しました…が、なでしこジャパンが2連敗、反町ジャパンも初戦を落とし、谷選手も金を取れず、いままさに柳本ジャパンもアメリカ破れ…というちょっとすっきりしないムードの中で、凄くすっきりする刑事ドラマ特集でした(笑)。もう、凄すぎですよね。昔懐かしい、という年齢ではないボクは、いまああいうVTRを見ると、腑に落ちないことだらけで…。「何故、いまああいうドラマができないのか?」って聞いても、この場にいるテレビ関係者のみなさんは誰も答えを教えてくれませんでした(笑)。何故、いまできないのか?何故、あんなことができたのか?

◆それは、お金の問題なのか、許可が下りないのか、そういうことをしてしまってマネしたら困る、っていうような影響力の問題なのか…と、いろんなことが考えられますけど、じゃあ、どこをどうすればできるのか。もしくは、いまはもう、ああいうものをやる意味がないのか…。でも、楽しそうじゃないですか、いまあんなドラマを見ることができたら。だって、毎週新作のハリウッドアクション大作をテレビで見れるようなものじゃないですか。凄い時代ですよね

◆ホントに、最近見たりするハリウッド映画と、やってることはそう変わりがないですよね。あんなに昔の作品なのに。逆に、いまのアメリカの映画より、凄いんじゃないか、って思うところもあります。いまだって、アメリカの映画だって、本当に爆破しているのって、あんまりないんじゃないかな?それこそ、CGとかで…。それを、実際に爆破してて、しかもそれが街中だったりして…。やっていた舘さん自身が、「何で煙突を倒すんだろう、って思った」っておっしゃっていましたけど、あの熱意…見えない方向に矛先が向った、みたいな熱意は、見ていても伝わってきますよね。現場は、本当にハンパじゃなかったと思うんですよ。良純さんも「いま見ていると、『何だこれ?』って思うところもあるけど、やっているときはどんどん自分も熱くなってきて…」っておっしってました

◆ボクもやってみたいですね。『ザ・ハングマン』的な面白系もいいですし、『西部警察』くらいまでいってもいいですし、前回登場した『太陽にほえろ!』『キイハンター』もいいですし…。『あぶない刑事』なんて、アメリカ映画ですよ。いまこういう風に見ちゃうとあれかもしれないけど、ああいうキザなセリフとかだって、当時は「超カッコいい!」って思っていたし…。サングラスかけた2人組の刑事がやってきて「裁判所からのラブレターだ」って、あり得ないけど、あってもいいのになぁ…

◆ボクもドラマとかやらせてもらっていると…時々「そんなのはいらない」っていう監督さんもいるけど…つながりとかに異常にうるさかったりするんですよね。いま右手でバッグを持ってドアを出て行ったんだから、表のカットになったときに左手にバッグを持っているのはおかしい、みたいなことがすっごくいっぱいあって…。いま、ADの方たちはみんな写メを撮るんですよね。コップの位置ひとつでも、いちいち写メを撮って…。あのころは、多分そんなのないじゃないですか。つながりとかなしに、「じゃああのパトカー爆破しよう!」みたいな感じがあって気持ちいいですよね。つながりはもちろん大事だけど、そればっかりやってリアリティーがどうとか言うのも…ね。ドラマはノンフィクションじゃないからね。今日のを見たテレビ関係者のみなさんは、ボク以上に、羨ましいな、って思っているんじゃないかな?