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今回のSmaクリ・テーマは「手術のときに執刀医は選べるのか?」。
命を預けなければならない執刀医の腕に差はあるのでしょうか?
その実態、そして私たちがすべきこととは? さまざまな実例をもとに考えていきます。
 執刀医によって、技術の差は当然あります。しかし、患者には上手い医師・下手な医師の差がなかなか分からないのです。さらに、日本では患者の顔を見たこともない医師が執刀医をやるなんてことも、よくあります。患者に説明無しで、執刀医を交代したというケースもあります。しかし、手術とは医師に自分の命を預けること。だからこそ、良い執刀医に巡り会うことはある意味、死活問題であると言えます。
 日本では、医師になるための国家試験はマークシート方式のみで、実技試験などは一切ないんです。だから不器用な人でも外科医になれてしまうのです。こんな現状の中で、私たちはどうすればいい医師を見つけ出すことができるのでしょうか? これが結構難しい問題。医師選びにとって重要なのは、病院の患者に対する情報公開です。実は、日本に大胆な方法で手術の情報を公開している病院があるのをご存知でしょうか? それは大阪市にある病院なのですが、ここでは手術の模様をリアルタイムで家族や一般の患者に公開しているんです。つまり手術の生中継! もちろん患者や家族の了解を得た上でのことですが、こうすることで執刀医は緊張感を持って手術に臨める上、もしミスが起こっても一目瞭然で分かってしまうんです。手術の進行はテロップで逐一解説。情報公開を徹底し、患者に少しでも医療を分かってもらおうという病院の姿勢が、このサービスを生んだのです。
 もともと病院の情報公開は、アメリカが先進国。アメリカの病院では、手術の数やそれによる死亡数、さらには院内で起こった医療ミスの数まで公開するのが一般的で、時には医師個人の成績さえも発表。医師の顔写真付きで、手術数や成功率、死亡率まで公開するという徹底ぶりです。
 一方、日本ではこれまで、病院の情報発信は厳しく規制されていました。最近その規制が緩和され、一部の病院ではホームページなどを通して、患者さんに手術の実績を発表し始めています。では逆に、こうした情報が医師から十分に得られない時はどうすればいいのでしょうか? まずは担当医に「こちらの病院では、私の受ける手術を年間どれくらい行っていますか?」と質問し、自分が手術してもらう病院の実績を事前にチェック。例えば心臓バイパス手術の場合、一病院につき年間に最低でも100例以上をこなしていないと、医師の技術レベルが低下してしまう、と言われています。こうした情報は一部の製薬会社のホームページに詳しく出ているので、自分の手術に関して調べておくといいでしょう。
 病院の実績が分かったら、次に聞くのは医師個人の実績。そこで自分の担当医に「先生はどれくらいの数をこなされてますか?」と質問し、さらに「一番多く、この手術をやっている先生はどなたですか?」ということも必ず聞いておくこと。必要とあらば、一番多く手術を手がけている医師に執刀を代わってほしい、と思い切って頼んでみることです。手術は医師に自分の命を預ける行為。執刀医選びに絶対、妥協はしないで下さい。
 ところで、日本では手術や入院をする時に、患者さんや家族が『心付け』ということをするのって知っていますか? 『心付け』とは、手術をしてくれる医師に渡す謝礼金のこと。もちろん本来、お金を渡す義務はないのですが、「謝礼を渡すことで、ちょっとでもいい治療を受けたい」という患者の思いから、いつも間にかこうした習慣が生まれたようです。
 では、値段の相場はどのくらいなのでしょうか? 大学病院の場合、教授で30万〜100万円、助教授で10万〜30万円。研修医や助手で3万〜5万円というのが平均的。中には、こうした謝礼を現金だと失礼ということで、商品券などで代用する患者さんもいるようです。番組独自リサーチによると、本人や家族が手術を受けたことがあるという人の中で、35%が『心付け』をしたことがあると答え、その最高額は30万円でした。実際、こうした謝礼を渡すことで、医師が患者の様子を見にくる回数が増えたとか、先約があって何十人待ちだったのにすぐに手術してもらった、などのメリットがあることが報告されています。
 しかしこうした謝礼を渡すこと・もらうことは本来禁止されています。特に国公立の病院の医師は公務員なので、謝礼をもらうと収賄罪で逮捕されてしまいます。したがって、大体の病院には「謝礼禁止」の看板が貼られているのですが、それはあくまでも建前。実際にはこっそり『心付け』を渡されているのが現状のようです。一方、アメリカではこうした謝礼の習慣がまったくありません。アメリカの医師によれば「お金によって医師のサービスに差が出るなんて考えられない」とのこと。ただアメリカでは、医師の能力に応じて、報酬に差があるので、優秀な医師は正当に高い給料をもらうことが約束されているのも事実です。片や、日本では、医師の医療行為に対する報酬は、どんなベテランでも研修医でも全く同じ。だから『心付け』をもらわないと割に合わない、という考えが医師の間にも広がって仕方がないのかも知れません。医師の中には、年収2500万で、その中の1000万が『心付け』という人もいるとか。これはれっきとした賄賂に当たる行為。病院側も暗黙の了解で、見て見ぬふりや、寄付金名目で受け取ることが多いので注意しましょう。もちろん、こうした謝礼金を受け取らない医師もちゃんといます。
'02.10.23
 広島県世羅町の眼科で白内障の手術の際、事前のアレルギー検査で患者の体に合わないと分かっていた薬を看護師が注射。患者が呼吸困難でショック死するという事件に関し、警察が院長と看護師3名を業務上過失致死の疑いで書類送検した。原因は院長がカルテに誤った薬の名前を記入していたことと、看護師への監督を怠たったこと。だがこの院長、白内障治療の権威として県外からも多くの患者を集める名医と呼ばれていたという。
'02.10.26
 肺がんの新治療薬による副作用で、死者39人を含む125人が被害にあっていることが明らかに。さらに、販売会社が被害者の数を一部隠していたことも判明。厚生労働省はこの会社に対し、副作用に関する情報をすみやかに公開するよう、指導することを決めた。
[CASE1]
 頭痛に悩まされていた北海道・旭川在住のAさんは、脳外科で有名な総合病院で検査を受けたところ、脳の血管に奇形があることがわかりました。医師から「放っておくと脳内出血をおこす危険があるから手術したほうがいい」と言われたAさんは迷いましたが、医師の「問題箇所の血流を一時的に止めて取り除く手術で、後遺症の危険はほとんどない」との説明で、手術をすることに同意。ところが手術中、医師が部分的に血流を止めたために血流が大きく変わり、他の血管が破れてしまったのです。Aさんは脳内出血を起こし、一時的に命も危ない状況に陥ってしまいました。手術から数日後、意識を取り戻したAさん。しかし体の左半分は麻痺し、目の視野が狭くなるという後遺症を負ってしまいました。Aさんと家族は説明を求めると、医師は「血流が変わってしまったので、他の血管が破れてしまったんですよ」と言い、謝る素振りも見せませんでした。Aさんらが食い下がって経緯を聞くと、その医師は「病状の変化で一喜一憂しないでくれ」、「訴えるなら訴えればいいでしょ!」と怒り出してしまいました。手術後はトイレにも自力で行けなくなったAさん。看護婦に助けを求めると、来た看護婦は「排便処理は辛いんだから何度も呼ばないでよ」と信じられない言葉を吐き捨てたそうです。
[CASE2]
 埼玉県在住のSさんは2年前、3歳になる娘の難聴を治すため、耳の手術を受けさせることにしました。手術は1時間ほどの簡単なもの。さらに、執刀医はその手術の第一人者と言われる、有名な医師でした。Sさん夫婦は安心して娘を手術室へと送り出しました。が、手術は大失敗。なんと、この医師は耳の奥にある神経を誤って切断するというミスを犯してしまったのです。手術後、娘の顔面は麻痺。本来ならば、一刻も早く切断された神経をつなぐ手術をしなければならなかったにもかかわらず、この医師はミスを認めず、数週間も処置を施しませんでした。家族は娘を別の病院へ連れて行きましたが、その時はすでに手遅れ。後に、この医師は他にも同じような事件を何件も起こしていた、いわゆる医療ミスのリピーターであることが判明しました。
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