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Smaクリニック 決して他人事ではない病・・乳がん最新事情

女性の20人から30人にひとりが発症するという、実はとても身近な病気、乳がん。現在、日本では患者数、死亡者数ともに年々増加の一途をたどっています。さらに、乳がんは女性だけの病気ではなく、男性にも危険が迫っています。早期発見さえできれば、決して死の病ではない、乳がん。正しい知識、そして検診で、あなたの身を守ることができるのです。乳がんとは、どんな病気なのでしょう。

女優・宮崎ますみさんが語る乳がん発症から手術まで

現在、日本では乳がんにかかる人数、そして死亡する人数が、ともに年々増加の一途をたどり、毎年4万人近くが発症、およそ1万人が死亡しているのです。先日、厚生労働省はこんな最新の調査結果を公表。「背が高く、初潮が早くて、まだ子供を産んでいない」女性に乳がん発症のリスクが高いと発表したのです。身長が160cm以上の女性は148cm未満の女性に比べ、乳がんのリスクは閉経前で1.5倍、閉経後ではなんと2.4倍に。また、初潮が14歳未満だった人は16歳以降だった人に比べて4倍、そして出産経験のない女性はある人に比べ、1.9倍にもなるというのです。そんななか、女優・宮崎ますみさんも乳がんを経験。2005年秋、37歳のときに乳がんが判明、摘出手術を受けたのです。

宮崎さんは、1968年、愛知県名古屋市に3人兄弟の末っ子として誕生。15歳で、映画「アイコ16歳」でデビューを果たし、16歳の時、クラリオンガールに選ばれ、一躍その名を知られるようになりました。そして翌年には映画「ビーバップ・ハイスクール」のヒロインに抜擢されるなど、数々のドラマ・映画に出演しました。96年には、結婚とともに女優業を休止。アメリカを生活の拠点とし、2人の子供にも恵まれました。そして2005年、9年ぶりに仕事を再開。主演した、映画「奇妙なサーカス」は、モントリオールファンタジア映画祭で主演女優賞を受賞するなど高い評価を受けたのです。ところが、この復帰作品の完成直後の、2005年10月、乳がんが発覚したのです。


「しこりをみつけて、あれ?これなんだろう、と思ってね。やはり、まさか自分ががんになるとは誰も思っていないわけですよ」 (宮崎さん)



実は宮崎さんが最初に胸のしこりを発見したのは、その2年前。2度にわたって超音波検査などを受けたものの、医師の診断はいずれも「悪性ではないだろう」、というものでした。もちろん、自覚症状もなかったのです。ところが、それから1年後のある日、皮膚科でたまたま血液検査を受けると、白血球の数が異常に増えていることがわかり、大きな病院で精密検査を受けることに。すると、今度は「腫瘍マーカー」が高いと告げられたのです。腫瘍マーカーとは血液などの中に含まれる、がんだけに反応する物質のこと。この値が高い場合、体のどこかにがんがある可能性が考えられるといいます。胸のしこりに白血球増加、そして腫瘍マーカーの異常値。これらの数値が、すなわちがんに結びつくわけではありませんが、マネージャーに半ば強制的に送り込まれた病院で初めてマンモグラフィー・乳房専用のレントゲンによる検診を行ったのです。ところが、このときも最初の診断結果は「問題なし」。しかし、念のため、実際に細胞を採して取調べる「細胞診」を受けたのです。するとおよそ1週間後。夜中に医師から電話があり、がんを告げられたのです。腫瘍の大きさは、1.5cmでした。宮崎さんにとって、青天の霹靂だった乳がん告知。当時、家族はハワイで暮らしていましたが、治療のため、日本で暮らすことを決断。手術もおよそ1ヵ月後に決まったのです。

現在、乳がんの手術には大きく分けて「乳房温存手術」と「乳房摘出手術」のふたつがあります。温存手術はおもに、がんに大きな広がりのない場合に行われ、乳房を残し、がん部分だけを取り除くというもの。ただし、この温存の場合は、がん細胞が取り残される可能性があるため、手術の後に、放射線治療が必要となるのです。一方の乳房摘出手術は、胸の筋肉は残しながら、乳房をすべてとってしまうというもの。温存療法を望んでいても、手術した際に、予想以上にがん細胞の広がりが確認されれば、すべて摘出することもあるのです。また、しこりが大きくても、手術の前に抗がん剤による治療でがんを小さくし、温存手術を行うことも可能なのです。以前は、生存率が向上すると考えられていたため、乳房を摘出してしまうケースが多かったのですが、最近は、大きく取っても小さく取っても生存率に差がないことが科学的に証明されたため、およそ半数以上の手術が温存となっています。

宮崎さんのがんは1.5cmと小さかったため、温存手術を受けることが十分可能でした。ところが宮崎さんは、「怖いから、全部取ってください!」と、乳房の全摘出を希望。家族のためにも再発の可能性を少しでも低くしたかったのです。しかし、担当の医師は温存手術を強く勧めました。そして、いよいよ迎えた手術の日。子供たちも学校を休んで、病院に駆けつけました。手術はもちろん全身麻酔。薬を入れたとたん眠くなり、目が覚めたときにはすべてが、終わっていたそうです。


「術前に行ったエコーやMRIの検査では、リンパ節への転移も明らかに無かったので、乳がんだけの部分切除ということで、手術を行うことが出来ました」(担当した竹井医師)


手術時間はおよそ1時間。傷もほとんど目立たず、翌日には退院できるまでに回復したのです。そんな宮崎さんに、担当した看護師は、「がんは長く付き合っていく病気です。がんと共に生きていきましょう」と話したそうです。

「後になっていろいろとがんを調べていくうちに、この言葉の意味がわかりましたね。切って腫瘍自体は取りましたけど、即終わりじゃないんですよね」(宮崎さん)

がんとの闘いは手術で終わりではなかったのです。取り残した可能性のあるがん細胞を殺すため、この後、2ヵ月間の放射線治療、そして5年以上にもなるホルモン療法が待っていたのです。特に辛かったのが、ホルモン療法だったと宮崎さん。乳がんを引き起こす要因となる、女性ホルモンのエストロゲンを止めてしまうホルモン療法は肩こりや全身のかゆみ、ホットフラッシュと呼ばれる火照りなど、強い更年期障害のような症状が出るからです。

「自律神経のバランスが崩れますから、夜眠れなかったり、いろんなことが一気に来るんですよね。アロマテラピーをやったり、漢方をやったりして、かなりよくなりました。そんなふうに治療しながらも、副作用とうまく付き合う方法も多分あると思うんですよね」(宮崎さん)


進歩を続ける乳がん治療とがんにならないための予防法

手術後10年も経過すれば、再発の心配はほぼなくなる、という乳がん。術後まだ1年余りの宮崎さんは、現在も3ヵ月に一度の検診を受けながら、体調管理に努めているそうです。発見が早かったため、乳房温存手術を行うことができた宮崎さん。ところが、がんは小さかったにもかかわらず、自らの強い意思で乳房摘出手術を選択した女性がいます。女優・大空真弓さんです。

「とにかく、何度も何度も病院に通わなくて済む方法で、と聞いたら、『切除、全摘(出)』っていうから、はいそれでよろしくお願いしますって」(大空さん)

大空さんにがんが見つかったのは98年11月、58歳のときでした。大空さんの姉・そして両親ががんにかかっていたため、半年に一度人間ドックを受けていた、その結果でした。テレビドラマの撮影中で、大きな舞台も控えていた大空さんは、仕事を優先させ、治療はその後で、と考えていたのですが、担当の医師から「あなたは自分の命をどう考えているのですか。自分の体を犠牲にしてまで仕事をして、何の意味があるんですか」と言われ、決断。スケジュールを調整し、すぐに手術を受けることになりました。しかし、次に問題となったのが、その治療方法。大空さんは、できるだけ通院をしたくない、と強く「切除」を希望したのです。しかも、大空さんの乳がんはぶよぶよとした粘液の塊ができる、粘液がん。乳がん患者の数%程度という、特殊なものでした。特別、悪質ながんではないものの、硬いしこりができにくいため、自分ではなかなか発見できず、ときとして早期発見を逃してしまう、という恐ろしいもの。しかも、開いてみないとどこまでがんが広がっているのかわかりにくいというものだったのです。結局、大空さんは乳房摘出手術に臨み、左の乳房を縦7cm、横10cmにわたって摘出。念のために切除したわきの下のリンパ節からはがん細胞が見つからず、転移はないことを確認。麻酔が切れると大空さんはすぐにリハビリを開始し、手術後わずか10日でドラマの撮影と舞台稽古に復帰、1ヵ月後には舞台に立っていたのです。そして、もうひとり、乳がんのため乳房を切除する手術を行ったものの、胸を失った喪失感と死の恐怖から逃れられず、更なる病を引き起こしてしまった女性がいます。女優・音無美紀子さんです。

「私の乳がんは精神的なことのほうが重たくて。精神的な辛さっていうのは、切って張ってで治せるものじゃないし、これを乗り越えるほうが辛かったですね」(音無さん)

音無さんが胸にしこりを発見したのは38歳のとき。幼稚園のママ友達と、乳がん検診が話題になったのがきっかけで、夜、湯船の中でふと胸を触ってみると、硬いものが指に触れたのです。精密検査の結果は、やはり乳がん。しこりの大きさはおよそ2cmでした。

「『どのくらい入院するんですか?』とか冷静に聞いている自分がいて。ところが、手続きをするために立ち上がろうと思ったら椅子から立てないんです。腰がへばりついてて。腰が抜けるってこういうことなんだって、初めて体験しましたね」(音無さん)

告知から半月あまりで、手術が行われることに。このとき医師からすすめられたのが、乳房、わきの下のリンパ節、胸の筋肉にいたるまですべてを切除してしまう、というもの。今はほとんど行われていないが、20年ほど前はこうした手術が一般的だったのです。10時間ほどの摘出手術の後、リンパ節2ヵ所に転移していたがんもすべて取り除くことができたのです。その後はリハビリ、そして抗がん剤による治療を続けた音無さん。しかし点滴で腕に大きなあざができるなど、がんを公表することなく、女優を続けるのは難しい状況となっていたのです。そして、ドラマも降板する事態にまでなり、不眠症にも悩むように。そして、ぼんやりと部屋に閉じこもるようになるのです。うつ病を発症していたのです。死をも考えるような重い毎日。そんなどん底にまで落ちた音無さんを救ったのは、「ママはどうして笑わないの?」という最愛の娘の一言でした。

「『え、笑ってない?』って。小さな子供は、そうやってママを見てたんだ、と思ったら、『あぁ、いけない。笑おう』、って思ってね」(音無さん)

家族の支えが大きな力となり、音無さんはうつ病から立ち直ります。手術後10年間再発しなければ、転移などの可能性はほぼなくなるという、乳がん。音無さんは手術からすでに20年がたち、今はまったく後遺症もなく、女優として母として、活躍を続けています。

日本人女性の20人〜30人にひとりが生涯に一度は発症する、実は身近な病、乳がん。現在ではさらに進んだ治療を受けることも可能なのです。現在、乳がんの最新治療法とはどんなものがあるのでしょう。

東京・大阪・福岡で診察を行っている南雲吉則医師は、がんが進行し、乳房全的手術が必要な患者に対し、乳首た皮膚を残して、小さな傷から乳腺だけを摘出、そして同時に再建を行う「皮下乳腺全摘プラス同時再建」という治療を行っています。この方法で手術すると、傷は目立たないところにほんの数cmしか残らないといいます。実はこれまでは、摘出後2、3年が経って、再発がないことが確認された上で、再建手術を行うことが一般的でした。しかし、それでは胸に大きな傷を残したうえ、バストがない時間が生まれてしまいます。南雲医師が行う「皮下乳腺全摘プラス同時再建」は、一度の手術で切除と再建をすることが可能なのです。

「乳がんというのは、十中八九命が助かる病気になりましたから、術後の人生がものすごく長いんです。がんときいただけでそのまま全摘を選んでしまうと、長い人生を、乳房を失ったまま過ごさないといけない。そんな人たちを救いたいと思って、僕はこれを始めました」(南雲医師)

さらに、まだ臨床試験段階ではあるものの、乳房を切らずに治す方法も。


「女性は乳がんになりますと、元の状態に返してほしいというのが最終的な希望だと思うんですね。その方法として浮かんだのがラジオ波療法です」(野口教授)


金沢大学付属病院の野口昌邦教授が行っているのは、患部に針を差込み、先端から電子レンジと同じような、電磁波を出して、熱でがんを焼ききるという、メスを使わず、針だけでがんを死滅させる、「熱凝固法」。この方法の場合、脇の下にあるリンパ節に転移があるかどうかを調べるため、わきの下を切ることはありますが、乳輪の周囲から針を刺すので、傷が目立たないのです。現在は、臨床試験段階のため保険がきかず、医療費は1泊2日で50万円と高額。しかし、傷の残らない、この手術法を求め、全国から問い合わせが絶えないといいます。

自分で発見することができ、早期に発見されれば10後の生存率が95%にもなる乳がん。では、乳がんから身を守るためには何が必要なのでしょうか。アメリカでは乳がんによる死者は90年代以降、減り続けているのです。年々死者が増えている日本とは対照的です。その理由は、実は「マンモグラフィーを使った検診」にあるのです。乳房をアクリル板ではさみ、撮影する、乳房専用のレントゲンのマンモグラフィーでは、触ってもわからないほどの小さなしこりまで見つけることができるため、ごく初期段階の乳がんも発見することができるのです。乳がん患者の多いアメリカでは80年代から、有名人もイベントなどに参加して積極的にPRを行ってきました。その結果、今では40歳以上の女性の実に70%以上が、毎年マンモグラフィー検診を受けるようになっているのです。ちなみに日本での受診率は5%に満たないのです。

「検診では、非常に小さな病変でも見つけることができるので、今ではほぼ確実に乳がんを治すことができるというのがメリットだと思います。乳がんの多い40代以降の方は必ず年一回のマンモグラフィー検診をおすすめします。30代でも乳がんがとても増えているので、一度も検診を受けたことが無い方は、マンモグラフィーまたは、エコーを受けるようにおすすめします」(竹井医師)

そして、もうひとつ。乳がんは決して女性だけの病ではなく、発症する人の1%は男性なのです。

「男性でも、乳がんが気になる方がいらっしゃったら、乳腺外科を受診して、そこで画像診断、マンモグラフィー、そして超音波検査していただくのが、一番だと思います」
(川本医師)






自宅で簡単にできるスマステーション「乳がんチェック」

女性は入浴の際などに月に一度、男性もぜひ一度はチェックしてみてください。

(1)まず、上半身裸になり、乳房にへこみやひきつれがないか、確認します。両手を上げた状態でも、同じようにチェックしてみてください。

(2)続いて石鹸やベビーオイルなどをつけ、指を滑りやすくします。そして左の乳房を外から中心に向かって、指を滑らせます。このときつまんでしまうと、しこりがあるように感じてしまうので要注意。特に胸の大きい女性は、仰向けに寝て行うと、わかりやすいでしょう。右側の乳房も同じようにチェックします。

(3)今度はわきの下のチェック。右手で左の脇、左手で右のわきの下にしこりがないか、確認します。

(4)最後は乳首から分泌物がないかどうか確認。血のような色の場合は特に注意が必要です。ここでしこりなど、異常を発見したら、すぐに乳腺外科や外科を受診してください。

早期に発見さえできれば、乳がんは決して怖い病ではないのです。


「熱凝固法」 の問い合わせ先

◇電話での問い合わせ(野口昌邦教授)
金沢大学医学部付属病院 
076-265-2000(代表)

◇メールでの問い合わせ(江嵐先生)
富山市の「八尾総合病院」HP内
http://www.yatsuo.or.jp/
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