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福井利佐

福井利佐

切り絵アーティスト

テレビ朝日3月14日(水)・21日(水)

福井利佐

今回の表現者は、切り絵アーティスト・福井利佐。細い線が複雑に絡み合う独特の作風が、国内外で高く評価されている。
今回、福井は5年前に制作した祖父の顔をモチーフにした切り絵を吊るし、照明を当てた。床に出来た切り絵の影に、色鉛筆を走らせる。
「2年前におじいちゃんが亡くなったんですけど、この白い空間でおじいちゃんと向き合ってみたいなと思いました。ちゃんと弔いたいなと。」

福井利佐

これまで新しい作風に挑戦するときは、大好きな祖父の顔をモデルにしてきた。そして、今回もやはり題材は祖父。
「やっぱり、おじいちゃん。そこがなかったら全ての私の表現というのはなかったんじゃないかな。」
色を塗り終えると、紙を切り抜いて蝶を作り始めた。そして、色鉛筆で彩った影の上に置いていく。祖父の影を「三途の川」に見立て、そこに蝶が集まり水を飲む様子を再現したのだという。「過去の自分がいまの自分を助けてくれている」と語る福井だが…
「作り始めると制作に夢中という感じで、どういう風に作ろうっていうことが頭を占めていたなという感じでした。」

BS朝日4月2日(月)

福井利佐

これまで、数々の有名人ともコラボレーションし切り絵を制作してきた福井。皮膚の質感や、刻まれた皺に人の個性が現れ、生命力が宿る…。そんな想いを込めた「個人的識別シリーズ」は、日本ビジュアルアート展特別賞を受賞。人の顔以外にも生きているものが発する生命力を主に表現してきた。
「植物や動物、人は同じようだけど一人一人違うし、内側から発しているエネルギーや生命力、パッションが感じられるので、それを題材にしたいという気持ちになったんです」
しかし、表現の度に頼っていた祖父が他界。新しい表現に挑戦できなくなっていた。

福井利佐

今回、祖父がいない状況で、初めて新しい表現に挑んだ福井。その表現のポイントは影だという。
「落ちている影が残像として残るところに、切り絵より輪郭が曖昧なせいか、人間味を感じるし、立体感が出ていて魅力があると思ってました。」
亡くなった祖父の影で新たな表現をした福井。祖父の死に向き合うことができ、内面的なつながりができたという。生命あるものを表現し続けてきた福井だが、その影にも命を感じることができたようだ。