BACK NUMBER

結城孫三郎

結城孫三郎

人形遣い

テレビ朝日2月28日(水)・3月7日(水)

結城孫三郎

今回の表現者は、人形遣い・結城孫三郎。
江戸時代より約400年続く江戸糸あやつり人形劇団「結城座」の十二代当主。今回、歌舞伎の演目としても知られる名作「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」を披露するという。いったい、どんな「表現」をするのか?
「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」とは、江戸時代に起きた伊達家のお家騒動を描いた物語。主君の身代わりとなって命を落とした息子を褒め称える母。口では褒めながらも、悲しみが体中からあふれ出す…というクライマックスで、結城が袂から取り出したのは、ハサミ。
そして、人形劇の世界でもっともタブーとされる「切る」という行為に踏み切った。

結城孫三郎

「糸を切っちゃうっていうのが絶対にありえないので、そうした時に自分の精神状態とか、その状況がどういう風になるのかっていう興味がありました。」
あえて、人形遣いとしてのタブーを冒した理由があった。
「僕自身に全然自信がないので、あがくんですよ。ここじゃない、これじゃない、って。」
今回の表現で結城が伝えたかったこと、それは…
「やるんじゃなかったかな、と思うこともある。でも何かやってみて、かえりみてダメだって思うんだったらそれはそれで良いし。自分でやってみないとわからないですよね。」

BS朝日3月19日(月)

結城孫三郎

人形遣いが人形のセリフを喋る独特のスタイルを確立した結城座。十二代当主の結城の人生は葛藤の連続だった。封建的な父親からの暴力、そして天才と言われた9歳離れた兄との比較。自分の居場所を求めていた結城は伝統的な歌舞伎を独自に解釈し作り上げた「武智歌舞伎」や、オペラ、舞踏、映画などの演出まで手がけた鬼才・武智鉄二と出会い、伝統に縛られることなく、革新的な表現に力を注いでいった。

結城孫三郎

しかし、兄が突然、十一代目を返上し、引退。400年の伝統を受け継ぎながら、十二代・結城孫三郎となった。伝統と革新の間で葛藤しながら続けてきたが、最近、人形遣いとして生きていく意味などを考えるようになった。それを乗り越えるきっかけになればと行った今回の表現。人形の糸を切るという最大のタブーを冒した後に気づいたこと。それは皮肉にも、伝統に縛られ、それを良しとする自分自身の姿。収録後、自らの手で人形の糸を再び紡いでいた結城の姿にすべてが表れていた。