11月23日放送

第5回スクープスペシャル
  


90年代、日本列島で頻発する拳銃事件が大きな社会問題となり、「平成の刀狩り」が行われた。94年に警察庁に銃器対策課ができたのを皮切りに、全国の都道府県警で銃器対策室の設置が推進されたのである。銃器対策室は、拳銃押収にのみ専従するスペシャリスト集団で、その捜査方法はS(スパイ)、すなわち捜査協力者を使った情報収集活動に重点が置かれた。しかし、その最前線では極端な実績至上主義の中で、自作自演が横行するようになったという。

上司「取締り強化月間なのに、まだ銃器摘発がゼロ。何とかならんか」
刑事「首なし(所有者不明の銃)でもいいですか?」
上司「構っていられない」

銃器摘発のエースと言われた敏腕警部が法廷で行った証言である。
Sの犯罪行為を見逃す代償として、ヤラセ摘発を繰り返してきたというこの警部は、銃器対策課時代に押収した拳銃「69丁のうち64丁が組織的ヤラセ」だったと告白、涙ながらにこう訴えた。

「全てを知っていた上司は、組織を守るために死んだ。
私のような大馬鹿者が出ないように、組織はゼロからやりなおして欲しい」

捜査機密の厚いベールの向こうに見え隠れする組織的違法捜査の実態を総力追跡。違法捜査に手を染めた元警察官の証言、ヤラセ逮捕劇の主人公の告白、謎の死をとげたSの手紙などを通じて徹底検証する!
さらに、こうした拳銃摘発偏重の背景には、ある「驚くべき疑惑」があった・・・

<第2部>告発!犯罪捜査費の裏金疑惑

「Sに対するお金はどうしていたんですか?」
「出たとしても、たまにです。首なしの場合1万円とか、自首で3万円とか・・・」

ヤラセ捜査に協力したSへの協力謝礼について元警部の証言である。あまりに安い協力謝礼。元警部は捜査協力者を養う資金を生み出すために、自ら覚醒剤密売に手を染めていった。一体なぜ、こんな事態になったのか? その背景には、犯罪捜査費が実際の捜査にほとんど使われず、裏金と化しているという衝撃的な疑惑がある。

北海道のある警察署の職員から番組に寄せられた衝撃的な内部告発。
「各警察官が捜査費を受け取ったことになっていますが、実際は一銭も受けていません。我々会計係が手分けして領収書を偽造しているのです。」

内部告発によれば、この警察署では、Sに払う情報提供料や協力謝礼のうち
約1000万円が裏金となり署長ら幹部が私物化しているという。そして、同封されていた捜査費出納帳などの極秘資料を詳細に検証したところ、領収書偽造による生々しい裏金づくりの実態が浮かび上がった・・・これまで、捜査機密というベールの向こうで情報公開されず、全くチェック機能が働かないアンタチャブルな「聖域」だった犯罪捜査費。しかし今年に入り、事態が急転している。3月25日、宮城県の浅野知事が適正に支払われているか監査請求。3月26日、東京高裁が警視庁銃器対策課の裏金づくりを認定する判決。こうした最新の動きとも連動しながら、全国の警察関係者の証言、裁判資料、情報公開請求等を駆使して警察の闇に迫る。




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