6月1日放送のディレクターズアイ 

6月1日放送 ディレクター/石井武仁
【実名告発〜4人目の内部告発者がいた〜】

今から4年前の1998年から検察の調査活動費は激減しています。98年をピークに5億2千万円以上の予算が、ここ数年で8千5万円程まで調査活動費が減少したのは何故なのか!?

ここから私達の取材が始まりました。やっとのことで、私達が検察の裏金(調査活動費の不正流用)について取材を始めたのが昨年の11月。年末から年明けにかけて内部リークの形で提供された『検察の裏金問題』の情報が週刊誌の紙面で取り上げられた少し前の頃でした。それから半年以上の月日が流れ、週刊誌に覆面インタビューの形で証言していた前大阪高検公安部長の三井環被告が、『マスメディア(特に放送と言う形で)テレビで実名告白をする!告白後は検察職員の身分を捨てて退職まで覚悟している!』との心を決め、ザ・スクープの取材に応じようとして逮捕(4/22)・起訴(5/10)されたのは、皆さんの記憶に新しいことと思います。

「この逮捕は不当逮捕であり、検察の裏金作りをリークしようとしていた三井被告の『口封じ!!』のために検察が動いた!のだ。」と私個人は今も思っています。その理由は、私が今日までの間に取材を重ね、様々な検察関係者と接触して来た結果の実感なのです。そこには家族や友人・知人も含まれています。本日放送(6/1)された【検察の裏金第2弾】に実名告白していただいた高橋元副検事の他にも、第4の証言者として情報提供をしてくれた元検察事務官もいるからなのです。

第4の検察関係者は今から数年前まで名古屋管轄の地検で事務官(捜査官)として検事の傍で働いていたA氏(放送していないため実名は伏せます)。昨年から今年にかけて週刊朝日の紙面で、検察官が調査活動費を流用して裏金を作り【女体盛り】や【ゴルフ場接待】等の遊興費に使われていた実態を暴露した人物です。

三井被告の逮捕後(4/22以降)に元事務官の取材を始めた私達は、慎重に証言の裏付け調査を開始しました。証言に基づいての調査で【裏金の作り方】は、これまで放送した奈良地検の大田原元事務官や仙台高検の高橋元副検事の証言に一致していました。奈良地検の大田原氏は裏金を「事務局長に吸い上げられるので『お吸い物』」と称していましたが、名古屋管轄の地検では「何かイイのない?協力してよ!」と言われていたので『協力』と呼んでいたそうですが、内容は『取り扱い事案をカラ出張に使う手口であった!』と証言しています。

本来なら今回の放送に間に合わせるべく私達もA氏の証言の裏取りを行っていたのです。しかし、彼が最近になって詐欺罪で拘留され実刑を受けた経緯を我々に説明する中で嘘の証言をしていたことが調査から明かになったのです。よって今回の放送は見送ることになりました。少なからず信憑性が欠けてしまったのは言うまでもありません。

それでも私は「彼が証言してくれた事の大筋は事実であった」と思っています。検証取材の過程において真実とは違う一面(自分の罪を反省せずに嘘で自分を正当化しようとする)が有り、私達をも騙そうとした事から「放送するには値しない」として収録後にカットしました。

現状では法務省は「かつて、そのような問題(調査活動費)が出たときに充分に調べ、事実無根!と言う結論が出ている。」と森山法務大臣が発言していますが、これは「事実無根=過去においても現在においても調査活動費が流用された事実は無い!」と言って国民に説明しているように受け取れますが、関与してきた三井被告も大田原元事務官も高橋元副検事も第4の元検察事務官もが認めている事実を、どのように取り繕って国民に申し開きするつもりなのでしょうか!?本日の放送にもあったように、現検察幹部が「昔、ひどい使い方をしていたのは事実です。私も問題だと思っていた…」と調査活動費の流用を認めた発言しているのだから、昔なのか今なのかではなく、真相を究明する姿勢を国民に示さなければならないと思います。

法の番人で有るべき検察官!その内部で一部の者が『私服を肥やすために裏金を捻出している!』のであるならば許されざる行為です。法務省及び検察庁は、これまでの報道が「事実無根だ!」とするならば自ら進んで事実を調査し、必要な資料(過去10年分の領収書や請求書)を提出した上で、己にかかった疑惑を解明していただきたいものです。

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