キャスターズオピニオン
10月15日 長野智子
【双方向電波空間】
ゲストというかたちでは時々あるのだが、ナビゲーターとしてラジオ出演するのは、かれこれ7年ぶり。TBSラジオで毎晩10時から生放送して いる「アクセス」という番組に、レギュラーの小島慶子アナウンサーのピンチヒッターで登板した。実際出演してみて思ったのだけど、この番組、 相当オモシロイ。といっても、お笑い的爆笑の連続といったオモシロサではないぞ、念のため。かなり高レベルの双方向番組という意味で、実にオ モシロかったのである。
「アクセス」は毎晩ひとつのテーマについて、論客を含め大いに議論しまくる番組である。その名も「バトルトーク」と呼ばれるコーナーには、リ スナーたちも生電話で参加してくるのだ。しかし、テレビでもよくある視聴者、リスナー参加式企画のように、ちょっとしたやりとりでお茶を濁し たり、一方的にリスナーからの質問やお悩みに番組側が答えるといったエセ双方向とはちょっと違う。「アクセス」では、まさに参加してくるリス ナーと出演者、さらにはリスナー同士がガチンコ勝負でお互いに意見をぶつけあい、疑問を投げかけあうのである。
私の担当日のテーマは「15才未満の脳死臓器提供を認めるべきだと思いますか。」最近発表された内閣府の世論調査では、約6割の人が認めるべ きだと答えている。しかし、ここで問題になってくるのが本人の意思。15才未満の場合、その判断能力の扱いが難しい。では、家族などが代わり に判断するのか。あくまで、脳死臓器提供を認めるなら、子供であれ本人の意思を尊重すべきなのではないか。バトルトークでは「子供に判断は無 理」という男性や「子供の死が待たれる状況はイヤ」という主婦、スタジオの評論家・宮崎哲弥氏や医療ジャーナリストの冨家孝氏が喧喧諤諤の大 議論を展開する。そこに、中学生の少女が入ってきて「きちんと死について親と話したり、学校で教えてもらえば子供でも判断できる」と言われ、 日本の総合教育の立ち遅れを痛感しつつ、一同ウームと唸ったりする。映像による本人情報がない分、職業、年齢といった枠をとっぱらい、瞬時に 様々な人が同じ高さで話し合えるという電波空間に久々に感動した夜だった。
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