戦評
中野が2位、浅田舞は6位 「日本には、まだこんなにたくさんの選手がいるのか!」 女子シングル。初陣となった澤田亜紀は18歳の女子高校生らしい爽やかな笑顔が印象的だった。ショートプログラムは少し大人っぽいメイクで大人っぽいブルースの音楽に挑戦。ジャンプが決まるたびに見せる笑顔、一生懸命こなしたステップやスパイラルでも笑顔!初めての挑戦を楽しみつくして満足のノーミスだ。翌日のフリーは少し気合が入りすぎてしまったか、残念ながらミスが目立ったが、元気よく精一杯の演技を見せてくれた。 同じくこれがシニアのグランプリシリーズデビューとなったのは、男子シングルの柴田嶺。男らしさ、力強さは無いが、独特の優雅な雰囲気はジュニアのころよりさらにアップし、織田信成や高橋大輔にはない「嶺テイスト」をたっぷり見せてくれた。ピアノの奏でる「アディオス・ノニーノ」で滑るフリーは、女性をホールドするような振付で、凛々しく滑り出す。後半、ジャンプのミスが続き、結果は総合10位と振るわなかったが、シニアの雰囲気に慣れ、自分のスケートを取り戻せば、もっと見せてくれる選手のはずだ。 そしてぜひ今後に注目してもらいたいベテラン、中庭健介も登場。国際大会でなかなか結果を出せず、ここ数シーズングランプリシリーズに出場できずにいたが、実は全日本選手権の表彰台常連。日本一と誰もが認める4回転ジャンプを武器とするだけでなく、物語の主役になりきる演技力にも定評がある選手だ。今大会はショート、フリーともに男子シングルで唯ひとり4回転に挑戦!転倒やお手つきでクリーンなジャンプは見せられなかったが、果敢な挑戦には拍手を送りたい。そして情感たっぷりの演技、ベテランならではのブラッシュアップされた「見せるプログラム」はさすが。得点でも182.74点、順位でも5位と自己最高を記録し、「進化する中庭健介」ここにあり、をアピールしてくれた。 この他、グランプリシリーズ2戦目となる浅田舞は、得点こそ伸びなかったものの、アメリカ大会より伸びやかなフリー「白鳥」を披露。試合後の充実した表情で、次に見せてくれる演技はさらに良くなっているはず……と期待を抱かせてくれた。 昨シーズン一気に注目を集めた中野友加里は、準優勝と順位的には好調なスタート。しかし、ショートもフリーも緊張感みなぎる固い表情で、本来の彼女の笑顔を見ることはできなかった。今後、日本大会次第でファイナル進出への可能性は大きく残っている。今回は見られなかった「SAYURI」「シンデレラ」の真の魅力をぜひ見せて欲しい。 実は日本勢、トリノ五輪代表がひとりも出場しなかった中国大会。しかしエース級の選手抜きでもこれだけ様々な個性がそろい、私たちを楽しませてくれるチームジャパン、その魅力は底が知れない。おなじみの選手以外にも応援する選手が増えた!そんなみなさんも多いのではないだろうか? 文/Hirono Aoshima
結果 SP=ショートプログラム FS=フリースケーティング
【女子シングル】
【男子シングル】
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「シンデレラストーリー」中野友加里が登場! 日本人のメダルラッシュに沸くフィギュアスケートグランプリシリーズ。今週の第3戦中国大会には、昨年のグランプリファイナル銅メダリスト中野友加里が登場。FSでの曲目「シンデレラ」にあわせて、シンデレラストーリーを駆け上がれるか。ほかには豊かな表現力でシリーズ2戦目に挑む浅田舞、力強いジャンプを武器にシニアデビューを飾る澤田亜紀も表彰台を狙う!! 男子は驚異的な体の柔らかさを生かしたしなやかな演技に定評がある「ビールマン貴公子」柴田領、「進化する最年長」中庭健介が出場、第1戦アメリカ大会で織田に敗れたエバン・ライザチェック、「勝負師」エマニュエル・サンデュら世界の強豪に挑む。 グランプリファイナルへ!そして世界一へ!今週も熱い氷上サバイバルから目が離せない!! |