永田町で取材する際、カメラが回っていない場所では基本的にオフレコ扱いになる。
移動中など僅かな時間の合間を縫って記者は質問を繰り出し、政治家はそれに応える。
対象者との距離の近さは、小声を聞き取るための策であり、
「ここだけの話」を聞き取れる関係性をも表す。
政治家の記者会見には常にカメラが入るので、オンレコ取材だ。
政治家の真正面にカメラが構えられ、それを背負った形で記者が挙手する。
共謀罪、憲法改正、天皇陛下の退位など。
政治家は質問者に答えると同時に、カメラの先へと言葉を発する。
もっとも日常生活においては、カメラが回っていないことが大半だ。
確かに撮影中はそれなりに身構えるし、簡単には真意も話せない。
オンとオフは、本音と建て前でもある。
ところが、田原総一朗さんにはそれがない。
カメラがあろうとなかろうと常にオン状態で、相手にも同様を求める。
「どう思う?」「なんで?」放送中はもちろん、CM中も議論は継続し、
放送後のメイク室でも、打ち上げの会議室でも、議論は続く。
結果、互いの本音だけがその場に残る。
「朝まで生テレビ!」の放送開始から30年が経つ。
先日、30周年を記念してパーティが行われ、歴代のパネリストやMCが集まった。
再会を懐かしみ、話に花を咲かせ、気づけば激論になっていた。
言論の自由。
むしろ、言論は自由だ。