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2012年注目アーティスト チェリスト・宮田大さんインタビュー

投稿日:2011年11月14日 12:05

2012年ブレイク必至のアーティスト!
          チェリスト・宮田大さんインタビュー

『題名のない音楽会』(毎週日曜午前9時~)の11月20日放送「彼らの時代がやってくる!~2012年ブレイク必至のアーティスト」に出演する宮田大、25歳。「ロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクール」で日本人初優勝をはたした、今注目の若手実力派チェリストである。

11月9日に千秋楽を迎えた初のリサイタルツアーでの印象は、演奏家という呼称にとどまらない表現者。チェロと自身とが一体化して奏でられる音楽は、楽器からというよりは、ここではないどこか遠いところから聴こえてくるように感じられる。ご本人を目の前にしても現実感の薄い、圧倒的に音楽がありそれが時空間を支配するという神秘的な体験をした。それはきっとサントリーホールにいた多くの聴衆が感じたことで、それほどまでにはっきりとした個性だ。瞑想するかのように目を閉じてすっと“世界”に入り、曲を弾き始める。

ピアノの柳谷良輔と感応しあいながらの演奏はまさに阿吽の呼吸で、濃密な空気が漂うとともに、感情が伝わってくるようなものだ。特にR.シュトラウス/チェロ・ソナタヘ長調作品6がそのように思う。世界に入りながら、外に開かれている宮田大の秘密を知りたくて、ツアー終了後の打ち上げ会場の片隅でしばしお話をうかがった。

―5公演に渡る初のリサイタルツアー、本日終えていかがですか

自分としては、全公演に来てくださったお客様でも、そのたびごとに曲を聴いて違うイメージを持って帰っていただくことが目標でした。毎回、体調なども含めて自分の向き合い方も違いますし、今感じたことを音にすることができたんじゃないかなと思います。

―「人間らしい声をもったチェロの歌」というテーマで臨んだツアー、新たな発見は?

演奏会で弾くからこそわかることがあって、こんな自分の感じ方があるんだという発見はたくさんありました。たとえば、あたたかく弾きたいところで、それはコタツの中の気持ちのよいあたたかさなのか、寒いところからあたたかいところに来たときに感じるあたたかさなのか、逆にあたたか寒いのか、とか、いろんな形容詞のいろんな意味があるんですよね。

―イメージをより具体化させることが鮮明な音楽世界をうむわけですね。
  ご自身のなかで印象的だった曲は?

アンコールで弾いた「ナナ」(※ファリャ作曲のスペイン民謡組曲)は、自分の中の解釈だと、お母さんが死んだ子どもをあやしているという風な子守唄なんですね。その関係や感情を表現したいわけで、それはできたと思います。今日だと、お母さんと子供を見ている客観的な人がひとりいて、それが自分自身だったという感じです。大阪公演だと、その時の自分はお母さんの立場で、見方が変わると感じ方も変わります。その時にどういう感じ方なのか。今感じたことがベストなので、それを表現できるように自分のなかでイメージをバアッーとふくらませますね。

―「ロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクール」の課題曲でもあったドビュッシーのチェロ・ソナタ二短調は、桐朋の高校時代から一番勉強された曲だそうですね。16歳から25歳まで同じ曲をずっと弾き続けるということは、そこにどんな進化があるものなのですか?

3歳からチェロをやってきて、大きな意味では弾き方ではなく、自分の人間味や経験を積んだということで変わってくるものだと思うんですね。経験をつむことで自分のなかの器が変化していくということで、16歳の時にはそのときのベストの演奏ができていたと思いますし。

留学先のジュネーブ音楽院のタカーチ・カルテットのタカーチ先生(※ガボール・タカーチ=ナジ氏)に習っていたときに言われたことがあります。「お母さんのお腹にいるときから栄養だったり音だったり、お母さんの感情だったり、いろんなことを生まれる前から感じていて今の25歳まであなたは生きている。それをそのまま自信を持って演奏すればいいのよ」って。今感じたことを個性として表現できることが大切で、結果としてそれが積み重ねられていくものというか。

あとは、前とは違ったことが出来た喜びとか、前とは違っているかもと思えることですね。昔はmakeミュージックしていたというか、でも音楽の基盤を作って太い芯ができたからこそ、いろんなことを融通できていろんなことを捉えてfeelミュージックができる。音楽を作ることと、音楽を感じることはすごく大きな違いです。たとえば海外にいってフランス料理を食べたり、フランス人と話してすごくうれしかったとか。自分の中にいろんなボキャボラリーが増えていって、それによってだんだんfeelミュージックに変わってくるんですね。

2年前の「ロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクール」の一次審査の時に、パティシエの友人がオペラというチョコレートケーキを作って持ってきてくれました。こういう味という主張の強さがない普通の美味しさで、でもそれが彼の個性というケーキだったんですね。一次審査はストレスがある状況だったのですが、ケーキを食べたら美味しくて、お客さんも来ているんだし楽しまなきゃと意識が変わって、二次審査からfeelミュージックに切り替わりました。お客さんの雰囲気や、ホールを楽器としてとらえてホールはどんな感じに響いているんだろうとか。ある意味冷静であり、自分の演奏を客観的に見ると同時に自分のなかに入り込んでいって、その入り込み方も陶酔するのではなくて、ひとりの芯をもって感じて、感じてという…。

―なんか、役者さんっぽいですね。

そうですね。それがパフォーマンスに聴こえてしまうことが、音楽はよくないんですけどね。音楽が伝えること、まず音楽が出てほしいというのがあって。表現という意味では役者さんと一緒ですね。僕は今日、周囲からチェロを弾いている感じがしなかったと言われてとてもうれしかったんですね。楽器を通すと自分ではなくなってしまう。だけど自分と楽器とが一緒になって、単に楽器を弾いているのではなくて、音楽で表現している世界をチェロという音で共感できたという意味だと捉えていて、だからうれしかったんです。

―チェリストとして今後、どのような展望を

今、25歳ですが、あと80年チェロを弾いていきたいですね。これからいろんなことがあると思うんですけど、くじけずに、あとは体もメンテナンスをしながら長い息でやれたらと思っています。

―最後にどんな人間でありたいですか

器が大きい人になりたいですね。何でも来いと構えていて、そうしておくと良いことを吸収できるし、逆に嫌なことも自分なりに解釈して良いことに捉えられるし。自分で器が大きいというのもナンですし(笑)、言いづらいんですけど、全部感じて、感じて…いろんなことを包みこめるような人になりたいですね。

 

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チェロの魅力を初めてしりました。そして、大君の魅力をも、ありがとう。

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