2014年07月20日 09:30

 こんにちは。“題名舞台裏ウォッチャー”キャンディーです。気がつけば7月中旬、いよいよ夏本番がやってきます。テレビ朝日も本社のある六本木ヒルズとタッグを組んで夏祭りを開催中です。六本木ヒルズ内の至る所でイベントを開催しているのですが、「題名のない音楽会」も“キッズワークショップ”というコーナーで、シエナ・ウインド・オーケストラの人気ユニット「シエナ☆フルーツ&ミーツ」のメンバーが、一緒に楽器を作って、ラテンのリズムを勉強して一緒に演奏します。こちらは申し込み制ですが、その模様は見ることができますので、是非遊びにきて下さい!7月31日(金)、8月1日(日)の開催です。

 さてさて、今日は10週に渡りお送りしております「題名のない音楽会50周年記念企画」、その集大成というべき豪華コンサート前編の模様をお送りしました。日本を代表する各ジャンルのアーティストが集結するコンサート、ただただ演奏家が集まるのではなく新しい音楽で一体となる機会はそうそうありません。なので、本当に見応えたっぷりな内容となりました。
 「Happy Birthday to you」に続き演奏した「聖者の行進」は、1964年8月1日の第1回放送の第1曲に演奏された曲で、その後しばらく番組のテーマ曲として使用されていました。なんと、当時使用していた黛敏郎さん直筆の譜面も発見でき、今回の編曲の参考にしました。
 ここで最初に登場した林英哲さんと英哲風雲の会が太鼓が奏でていたメロディですが、“日本最古の行進曲”とも言われている「ヤッパンマルス」を意識した編曲でした。日本の西洋音楽の夜明けの曲とも言える「ヤッパンマルス」(意味は“日本の行進曲”)を引っ掛けることで、50周年コンサート番組をスタートさせるとは、編曲された前田憲男さん、粋なことを考えます!
 そして「太鼓」のあとは「金管楽器」「弦楽器」「木管楽器」「歌」と全体で大きく5つのジャンルに分け、50周年の「5」に引っ掛けご登場頂きました。各グループが次々と登場し1つになる、まさに今回の企画趣旨を体現したような大きな見所でした。
 続く「3大歌姫の共演」ですが、森麻季さん「アヴェマリア」と平原綾香さん「ジュピター」、そして天童よしみさん「愛燦燦」が絶妙に入り交じっていることにお気づきになりましたか?そして最後に歌った「第九」も、ドイツ語オリジナルに加え、日本でおなじみの日本語バージョンと、「第九」をベースに生まれたゴスペル曲「ジョイフル・ジョイフル」が見事一つになりました。全く違う時代環境で生まれた楽曲を違うジャンルの3名で歌うことの自然さ。やはり音楽は世界の共通語だと思います。
 そして太鼓奏者の林英哲さんVSトランペッターのエリック・ミヤシロさんによるガチンコ対決。どちらも意欲的に異ジャンルの方とコラボレーションされていますが、今回が初顔合わせだそうです。
 そんな豪華な二人の対決をどう効果的に見せるか、どこで演奏して頂くかが最大の問題となっていました。というのも、まず和太鼓の大きなサイズがどこにも収まらないのです。というのも続いて演奏する作品はクラシック作品でも最大規模のレスピーギ作曲「ローマの松〜アッピア街道の松」。パイプ・オルガンもバンダ(オーケストラ外で演奏すること)も登場するという、クラシックで考えられる最大の編成であらゆる場所をすでに埋め尽くしているのです。そもそも和太鼓は本体の大きさのみならず、大音量のため、近くの奏者への耳の影響が大きく、どうしてもオーケストラから遠避けなければならないのです。
 そこで考えたのが、パイプ・オルガンの両サイドに設置した「特設舞台」です。クラシックのコンサートホールの殿堂・サントリーホールをしても初のことだそうです。しかし、作ったは良いものの、和太鼓をいかにあの場所に運ぶのか、またしても難題にぶち当たってしまいました。通常は座席になっている所なので、そんな大きなものが通るドアもありませんし、運搬導線もありません。そうなると頼るは「人力」となります。なんとオーケストラの最後段から持ち上げて、みんなで担いで運びました!一見、画面で見るとそんなに大きくないように見えますが、間近で見るとものすごく大きく、腰をやられる重さです。なんとかホールも傷つけず無事設置できた、というウラのドラマがありました。
 そしてそして、とにかく画面をご覧になって印象的な「花」ですが、華道家の假屋崎省吾さんに飾って頂きました。テレビではバラエティ番組でおなじみですが、当然ながら華道家としての実力は日本のトップクラスです。生花で飾っていたので、その鮮度も失わないように時間との戦いでもあります。しかもある時間に場所を独占して飾れるのではなく、オーケストラのリハーサルや照明の調整など、あらゆる作業と並行して行わなければなりません。花を飾るセンスのみならず、段取り能力が問われます。それを假屋崎さんは見事に現場を仕切り、50周年を飾るにふさわしい、見事なお花を生けて下さいました。一緒にお仕事して、本当に素晴らしい実力をお持ちの方なんだな、と毎度ながら感心してしまいます。
 そんな舞台の表も裏も、多くのプロの出演者とプロのスタッフが真心を込めたコンサートでした。おかげさまで新聞もほぼ全紙に取り上げて頂き、音楽専門誌にも取り上げて頂けました。50年という重みを痛感します。

 さて、次週はその後編です。後編では、日本を代表する音楽家たちが、どんなきっかけで音楽の道を歩まれたのかをクローズアップしています。みなさん、意外と日常に溢れた音楽との出会いの場がきっかけとなっています。「題名のない音楽会」も、そんなみなさんのきっかけになれるよう、新しいページをどんどん提示していきたいと思います。
 「キャンディーちゃんの題名日記」は本日が最終回となりました。「佐渡裕の題名日記」を引き継ぎ3年半、ご愛読ありがとうございました。リニューアルするページもどうぞ引き続きよろしくお願いします!
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