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ヴェンゲーロフの音楽会

投稿日:2016年04月10日 09:30

この番組には世界的に活躍する演奏家が次々と登場していますが、真に世界最高峰の存在という意味でマキシム・ヴェンゲーロフは別格だと思います。
 ラヴェルの「ツィガーヌ」の演奏、すばらしかったですよね。バックにオーケストラがいるにもかかわらず、冒頭の約4分間はヴァイオリンのみの独奏で演奏するという特殊な作品でしたが、ヴェンゲーロフの最初の一音が鳴り響いた瞬間に、東京オペラシティ・コンサートホールの空気が変わったように感じました。これほど強靭で、なおかつ潤いのあるサウンドは、なかなか聴けるものではありません。技巧が技巧そのものをひけらかすためのものではなく、自在な感情表現と一体になっているのも名手ならでは。演奏が終わると客席から「ブラボー!」の声がかかっていました。
 若き日のヴェンゲーロフが五嶋家を訪れていたというエピソードにはびっくりしました。龍さんのお姉さん、五嶋みどりさんも世界的なヴァイオリニストとして知られています。それにしても当時2歳の龍さんが、ヴェンゲーロフの来訪を覚えているというのがすごいですよね。よほど強い印象が残っていたのでしょう。
 最後のショスタコーヴィチの「祝典序曲」は、ヴェンゲーロフの指揮でお聴きいただきました。近年のヴェンゲーロフは指揮活動も活発に行なっています。ヴァイオリニスト出身の指揮者は珍しくありませんが、ここまでヴァイオリンを極めた人が指揮をするとなれば、やはり注目せずにはいられません。ヴァイオリンを持って弾き振りもできますし、純粋に指揮だけをすることもできる。音楽家としての幅が広がっています。
 すでに風格が漂っていますが、実はまだ41歳のヴェンゲーロフ。これからどんな可能性が開けているのか、想像もつきません。

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