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五嶋龍の音楽会

投稿日:2016年01月24日 09:30

今回は「五嶋龍の音楽会」。ヴァイオリニスト五嶋龍さんを改めて知っていただくために、「現代音楽」「同世代」「ゲーム音楽」「練習」「ユンディ・リ」「アップデート」というキーワードに即して、6曲がとりあげられました。これまでに番組を通じて龍さんが出会った音楽家たちや楽曲について、龍さんがどんなふうに考えているのか、とてもよく伝わってきたのではないかと思います。
久石譲さんの作曲と指揮、龍さんのヴァイオリンによる番組オープニング・テーマ Untitled Musicを、久しぶりにフルバージョンで聴くことができましたが、やっぱりいい曲ですよね。フレッシュで、勢いがあって、心が浮き立つような音楽です。龍さんのイメージにぴったりではないでしょうか。
龍さんと同世代の音楽家との共演を聴けるのも、この番組ならではの楽しみ。龍さんは「普段の生活では同世代の音楽家たちと接しあう機会はまったくない」のだとか。若くして国際的に活躍する音楽家にとっては、共演者はずっと年上ということがほとんど。日本の同世代を代表する気鋭の演奏家たちとの共演は、大きな刺激を与えてくれるにちがいありません。
ハーバード大学卒、空手三段、幼少時から脚光を浴びるヴァイオリニスト。そんな龍さんのプロフィールからすると、実はゲーム好きだというのが意外ですよね。ゲームを語るときの龍さんの熱さは本物です。「ハマるゲームは製作者が心を込めて作ったゲーム。そういったゲームはすばらしい作品であり、アートでもある」というのが龍さんの持論です。
本日の最後に登場したのはイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番。龍さんが司会となってこの番組で最初に演奏した楽曲で、選曲にも照明効果にも龍さんのアイディアが反映されています。古典の引用からはじまりながら、独自の音楽世界を作り出すこのイザイの作品ほど、龍さんの「音楽に対する視野・視点をアップデートする」という姿勢を体現した曲もないでしょう。ただ新奇さを追い求めるのではなく、見慣れた光景が違ったものに見えてくるような視点の転換を迫る。これはまさに過去の大作曲家が行ってきたことでもあり、その積み重ねがクラシック音楽の歴史になっているともいえます。その意味では、龍さんのおっしゃることは音楽家の本道そのものだな、と感じました。

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