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教科書を超えた音楽会

投稿日:2017年09月10日 09:30

音楽の教科書に書いてあることはすべて正しいはず。でもそこに書いてあることからさらに一段踏み込んで、生きた音楽を奏でるにはどうしたらよいのか。今週は世界的指揮者山田和樹さんならではの視点による「教科書を超えた音楽会」をお届けしました。
 音楽辞典で「スタッカート」の意味を調べると、「各音を短く切って演奏すること」などと記述されています。楽譜上の表記は符頭の上下に点(・)を付けるのが一般的ですが、楔(▼)マークが付くこともあります。この点と楔を合わせるとビックリマーク(!)になるという山田さんの説明には、思わず声を上げて笑ってしまいました。おもしろい! でも、冗談ではなくて、これが表現の本質を突いている、ということなんですよね。
 山田理論によれば、「スタッカートは音を短くきるのではなく、特別な音にする」。「特別な音」と言われてピンと来なかった方も、実演での比較を見ると、たしかに違いがあると感じていただけたのではないでしょうか。ただ音を短く切るだけだと、無表情な音楽になってしまうという説明には納得。
 続く「半音は全音よりエネルギーを使え」や「イン・テンポは音楽に存在しない」といった山田さんの教えも、一見すると逆説的ですが、実例を伴うとよくわかります。感情表現が生まれてくるのは半音から。イン・テンポが当然と思われるマーチのような曲ですら、細かく見ればテンポは動いている。最初の「スタッカートを特別な音にする」も含めて、これらはすべて音楽に命を吹き込むための方法といってよいでしょう。
 今回は山田和樹さんが指揮する吹奏楽という点でも興味深いものでした。チェザリーニ作曲の交響詩「アルプスの詩」は、まさにリヒャルト・シュトラウスばりの壮麗な音のスペクタクル。アルプスの雄大な光景が目に浮かんでくるかのような演奏でした。

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巨匠VS吹奏楽部の音楽会

投稿日:2017年09月03日 09:30

今週は「巨匠VS吹奏楽部の音楽会」。日本を代表するトップ・ミュージシャンたちと名門吹奏楽部の共演が実現しました。憧れの存在と、まさかの共演。高校生たちの生き生きとした表情が印象に残りました。
 トップ・ミュージシャンたちが渡した課題曲も三者三様でおもしろかったですよね。トロンボーンの中川英二郎さんが出した課題曲はモンティ作曲の「チャールダーシュ」。クラシック音楽の世界では、ヴァイオリニストが鮮やかなテクニックを披露するために、よくアンコールで弾く人気曲です。これを吹奏楽で演奏するというのも興味深いところ。中川さん編曲のジャズ・バージョンで東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部が挑戦しました。快速部分での中川さんのソロは、とてもトロンボーンとは思えない俊敏さと切れ味。中川さんはジャズのアドリブ風の部分がポイントとおっしゃっていましたが、高校生たちも華麗な演奏でビシッと決めてくれました。
 サックスの本多俊之さんは、浜松聖星高等学校吹奏楽部との共演。課題曲は本多さんの楽曲である AMPLITUDE です。これは独奏サクソフォンと吹奏楽のための協奏曲と呼んでいいような、とても聴きごたえのある楽曲でした。変拍子が多用され、リズムがかなり難しそう。それでもソロとぴたりと足並みをそろえて、ともにひとつの音楽を作り出していた浜松聖星高校のみなさんには脱帽です。
 トランペットのエリック・ミヤシロさんの課題曲は「宝島」。共演は「イチカシ」こと、柏市立柏高等学校吹奏楽部です。吹奏楽の世界で「宝島」といえば真島俊夫編曲があまりにも有名ですが、エリックさんは今回のために新たな編曲を作ってくれました。エリックさんの軽やかなハイトーンと、高校生たちのまろやかなサウンドが、新鮮な「宝島」を生み出していました。
 それにしても三校とも演奏のレベルが高いのにびっくり。うまいだけではなく、吹奏楽の楽しさが伝わってくるところがいいですね。

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吹奏楽で聴く山下達郎の音楽会

投稿日:2017年08月27日 09:30

山下達郎と吹奏楽。ずいぶん意外な組合せだと思いませんでしたか。今週は「吹奏楽で聴く山下達郎の音楽会」。名門吹奏楽部3校の高校生たちが、山下達郎さんの名曲を演奏してくれました。山下さんと音楽の出会いが吹奏楽にあったとは驚きです。「ブラバンは今でも心の故郷」と言ってくれるのが、うれしかったですよね。
 今回の吹奏楽アレンジは、最近リリースされたCD「TATSURO YAMASHITA on BRASS ~山下達郎作品集 ブラスアレンジ~」にも収められています。スコアとパート譜もリリースされていますので、これをきっかけに吹奏楽の世界でも山下さんの名曲が広まるかもしれません。「今の若者に山下達郎の名曲はどれくらい知られているのだろうか」と気になっていたのですが、想像以上に高校生たちはよく知っているようです。
 「クリスマス・イブ」を演奏したのは東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部。柔らかくまろやかなサウンドが印象的でした。「クリスマス・イブ」といえば、ある世代以上の方は、「クリスマス・エクスプレス」のテレビCMを思い出さずにはいられないでしょう。この曲を耳にすると、青春期の思い出がよみがえるという方も少なくないのでは。
 「硝子の少年」の演奏は柏市立柏高等学校吹奏楽部。演奏中のパフォーマンスによって、舞台がぐっと明るく華やかになりました。まさかこんなにも凝ったパフォーマンスを披露してくれるとは。
 「パレード」を演奏したのは浜松聖星高等学校吹奏楽部。こちらもパフォーマンスが加わって、音楽が一段と精彩を放っていました。みなさん、楽しそうに演奏しているのがよかったですよね。
 3校合同演奏による「アトムの子」でのはじけっぷりは眩しいかぎり。思わず頬が緩みました。

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4人のスターピアニストを知る休日

投稿日:2017年08月20日 09:30

今週は「4人のスターピアニストを知る休日」。假屋崎省吾さんが4人のピアニストを紹介してくれました。假屋崎さんといえばクラシック音楽通。ご自身もピアノを演奏されますし、都内のピアノ・リサイタルの客席で假屋崎さんの姿をお見かけすることもしばしば。コメントの端々からピアノ愛が伝わってきましたよね。
 ラン・ランが演奏したのはファリャの「火祭の踊り」。この曲は往年の大ピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタインの十八番として知られるアンコール・ピースです。現代のピアニストであれば、ラン・ランほどこの曲が似合う人もいないのではないでしょうか。一瞬にして聴く人を虜にしてしまう華やかさはこの人ならでは。
 ユンディ・リが演奏したのは得意のショパンで、スケルツォ第2番。2000年のショパン・コンクールでの15年ぶりに誕生した第1位とあって、やはりユンディといえばショパンという印象があります。そういえばユンディ以降、ショパン・コンクールは毎回第1位が出るようになりました。「1位なし」のコンクールって、終わった後にやるせなさが残るんですよね……。それだけにユンディの1位は意義深いものでした。
 ファジル・サイはトルコ出身のピアニストです。1997年に録音された彼のデビュー・アルバムを覚えている方はいらっしゃるでしょうか。そのモーツァルト・アルバムには「トルコ行進曲」付きのソナタが収められていました。これはよくわかります。本場ヨーロッパの聴衆に若くて才能のあるトルコ人ピアニストをアピールするために、話題作りから「トルコ行進曲」を弾かせよう、という狙いだったのでしょう。後に自らのアレンジによるジャズ版「トルコ行進曲」でさらなる評判を呼ぶことになったわけですから、おもしろいものです。
 辻井伸行さんの「悲愴」第2楽章も聴きごたえがありました。格調高いベートーヴェンだったと思います。

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世界のトップヴァイオリニストの音楽会

投稿日:2017年08月13日 09:30

今回は世界的なヴァイオリニスト3人の演奏をじっくりとお聴きいただきました。ワディム・レーピン、ネマニャ・ラドゥロヴィチ、マキシム・ヴェンゲーロフ、三者三様の個性が感じられたのではないかと思います。
 ワディム・レーピンは幼い頃より神童として騒がれ、現在は40代を迎えて大家への道を歩んでいます。ソ連出身の天才らしく、磨き抜かれた完璧なテクニックと輝かしい美音で名声を築きあげたレーピンですが、近年はその表現に円熟味を増しつつあるようです。ラヴェルの「ツィガーヌ」は得意の曲。技巧と情熱が一体となった見事な演奏を聴かせてくれました。
 ネマニャ・ラドゥロヴィチは若い世代を代表する注目のヴァイオリニスト。風貌にインパクトがあって、舞台上から客席までスターのオーラが伝わってきます。個性的な外見からは意外かもしれませんが、取り組むレパートリーは本格派で、テクニックも鮮やか。活発な曲を演奏したときのノリのよさも魅力なのですが、「わが母の教えたまいし歌」での情感豊かな演奏も大いに聴きごたえがありました。これからの時代を築いてゆく奏者のひとりだと思います。
 マキシム・ヴェンゲーロフもレーピンと同じく最高峰のヴァイオリニストといえるでしょう。演奏家としての出自もレーピンと共通点が多いんですよね。ともにソ連が生んだ天才で、シベリア出身、名教師ザハール・ブロンに師事して、若くしてトップレベルの奏者として活躍してきました。ヴェンゲーロフはレーピンより3つ年下ですから、世代も同じです。どんな難曲も軽々と弾いて、流麗でのびやかな音楽があふれ出てくるのがヴェンゲーロフ。「タイスの瞑想曲」の抒情性と幻想味が存分に伝わってきたのではないでしょうか。
 ロシアのレーピンとヴェンゲーロフ、セルビアのネマニャと、3人とも東欧出身なのは偶然です。でも、この地域は本当にたくさんの名手を輩出していますよね。

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ソドレミの秘密を知る休日

投稿日:2017年08月06日 09:30

本日は「ソドレミの秘密を知る休日」。こんなにも「ソドレミ」を使った名曲がたくさんあったとは! みなさん、ご存知でしたか。
 長調だと「水上の音楽」「シンコペーテッド・クロック」「大学祝典序曲」、短調だと「ツィゴイネルワイゼン」、ショスタコーヴィチの交響曲第5番、「モルダウ」等々。特に短調の「ソドレミ」は、なんだかぐっと来ますよね。童謡やポップスも含めてたくさんの例がありました。
 どうして、こんなに名曲に「ソドレミ」が多いのか。反田恭平さんと鈴木優人さんがその理由を考えてくれました。おふたりの着眼点がそれぞれ少しずつ違っていたのがおもしろかったですね。
 反田恭平さんはソからミへの6度の音程に注目していました。ソからミへと一気に6度をジャンプするのに比べて、途中でドとレの階段を挟むことで、よりドラマティックになる、というお話でした。始点と終点だけを見せるのではなく、途中の経路まで見せるから、より上へ向かって飛翔していく感じが伝わる、ということでしょうか。
 一方、鈴木優人さんは「ドレミ」という音階の前に「ソ」が加わっているという視点から、チャルメラの例を聴かせてくれました。チャルメラのメロディの前に「ソ」を付けて「ソドレミ」化すると、一気に曲に勢いが出ます。これには目からウロコが落ちました。平坦なメロディがたちまちエモーショナルなメロディに早変わり。最初の4度の跳躍で勢いを付けてから、さっそうとドレミの音階へと滑り込んでいくイメージでしょうか。
 おふたりの「ソドレミ」名曲の演奏も聴きごたえがありました。反田さんのベートーヴェン「悲愴」は気迫がこもっていて、まるでコンサートホールで演奏しているかのよう。鈴木さんのバッハのパルティータ第2番は荘厳にして華麗。この曲、後半のフーガが最高にカッコいいんですよね。つい「ソドレミ」を忘れて、聴きほれてしまいました。

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楽器を知る休日~リュート編

投稿日:2017年07月30日 09:30

楽器の分類のひとつに「撥弦楽器」があります。弦楽器のなかでも弦を指やプレクトラム(ピック)ではじいて鳴らすのが撥弦楽器。例を挙げれば、リュート、ギター、マンドリン、ハープ、ツィター、チェンバロ、箏、三味線、等々。本日の「楽器を知る休日~リュート編」では、西洋と日本の撥弦楽器の第一人者であるリュート奏者のつのだたかしさんと三味線奏者の上妻宏光さんをスタジオにお招きしました。
 リュートはヨーロッパで中世から18世紀にかけて盛んに用いられた撥弦楽器です。つまり、クラシック音楽のなかでもかなり古い時代の楽器ということになります。なんとなくギターのような楽器だと思っていましたが、つのださんの解説を聞いて、ずいぶん違うところがたくさんあるのだなとわかりました。
 特に弦の数が違いますよね。リュートにはずいぶんたくさんの弦が張ってあります。弦が2本で一組になっているというのがおもしろいところ。2本の弦が組み合わさることで、豊かで奥行きのある音色が実現しているのでしょう。
 ウードやチャランゴのように、リュートと似た民族楽器は世界各地にあります。チャランゴの胴体はアルマジロでできていましたが、なんというか、生々しすぎて楽器として実用するには抵抗を感じるような……?
 クラシック音楽の歴史のなかでは、19世紀になるとリュートはいったん廃れてしまいます。演奏会の会場が広くなって、より大きな音の出る楽器が求められるようになったのが大きな理由でしょう。
 しかし、20世紀に入ると古楽への関心が高まり、リュートは復興します。イタリアの作曲家レスピーギは、古い時代のリュート曲を探し出し、弦楽合奏やオーケストラのための「リュートのための古風な舞曲とアリア」に編曲しました。この曲集で特に有名なのが「シチリアーナ」。番組冒頭でつのださんがその原曲を演奏してくれました。物悲しいメロディが心にしみます。

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ネマニャの音楽会

投稿日:2017年07月23日 10:01

今週は「ネマニャの音楽会」。ネマニャ・ラドゥロヴィチはクラシック音楽界では数少ないファーストネームで呼ばれるヴァイオリニストです。ラドゥロヴィチという姓が日本人になじみづらいという事情もありますが、それ以上に本人のオープンなキャラクターが親しまれているからこそでしょう。
 ネマニャが日本で一躍注目を集めることになったのは、2007年の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」への出演がきっかけだったと思います。ゴールデンウィークの有楽町を舞台に開催されるこの音楽祭には、毎年ヨーロッパで注目される新鋭アーティストが大勢招かれます。なかでもネマニャの存在感は別格。長髪をなびかせながら、まるでロックスターのような風貌でステージに登場するその姿は異彩を放っていました。以来、ネマニャはこの音楽祭にたびたび出演し、音楽祭公式アンバサダーを務めていた石丸幹二さんを魅了することになったのです。
 今回の収録でも、舞台袖からネマニャが姿をあらわすと、客席からどよめきが起きました。ファッショナブルで見た目のインパクトも大きいのですが、驚きはそれだけにはとどまりません。切れ味鋭いテクニックはまさしく本格派。しかも彼の手にかかるとどんな作品にも生き生きとした表情が宿るところがすばらしいと思います。
 「チャールダーシュ」の演奏では、オーケストラのメンバーを交えながら、足踏みをする場面がありました。こんな趣向もネマニャならでは。共演者たちといっしょになってひとつの音楽を作り出そうという姿勢が伝わってきます。
 番組中でネマニャの少年時代の写真が紹介されていましたが、これは貴重なショットですよね。セルビア生まれのネマニャは14歳でフランスに渡っています。内戦を目の当たりにして祖国を離れた彼の激動の人生に、思いを馳せずにはいられません。

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海を感じる音楽会

投稿日:2017年07月16日 09:30

夏になるとどこかに出かけたくなってきますよね。みなさんは海派でしょうか、山派でしょうか。
 大作曲家たちが残した名曲を眺めてみると、どちらかといえば海派が優勢のように思います。今週は「海を感じる音楽会」。波がもたらす不規則なリズムは、作曲家の創作意欲を刺激するのかもしれません。
 ブリテンの「ピーター・グライムズ」は北海に面した漁港を舞台とした20世紀オペラの大傑作です。主人公の漁夫ピーターが村人たちから疎外され、追い込まれていくという大変重苦しいテーマを描いているのですが、本日お聴きいただいた「日曜の朝」には、ほのかな希望が垣間見えます。
 武満徹もくりかえし「海」をテーマにとりあげた作曲家のひとり。本日の「波の盆」以外にも、「海へ」(I、II、III)、ドビュッシーの交響詩「海」からの引用を含んだ「夢の引用」、調性の海に独奏ヴァイオリンが流れ込んでいくという「遠い呼び声の彼方へ!」など。武満作品には「水」にまつわる曲も多いですよね。
 メンデルスゾーンが序曲「静かな海と楽しい航海」を書いたのは21歳の頃。メンデルスゾーンの場合は実際の海ではなくゲーテの詩にインスピレーションを受けているわけですが、これほど見事に航海が描かれた作品がほかにあるでしょうか。ワーグナーはメンデルスゾーンのことを「第一級の音の風景画家」と評しました。これは微妙なニュアンスの言葉です。ほめているような、それとも貶しているような?
 しかし風景画が人の心を動かす力は侮れません。流麗な天衣無縫の音楽はメンデルスゾーンならでは。終結部の部分でティンパニの連打が始まるところは、なんど聴いても胸が熱くなります、田中祐子さん指揮の東京交響楽団が精彩に富んだ演奏を聴かせてくれました。

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ブルックナーの音楽会

投稿日:2017年07月09日 09:30

今回は作曲家アントン・ブルックナーの魅力に迫りました。ブルックナーの交響曲第3番、本当にカッコよかったですよね。
 ブルックナーの交響曲は、オーケストラの演奏会のメイン・プログラムに欠かせないレパートリーになっています。ウィーン・フィルをはじめ世界の超一流楽団の来日公演や、日本のオーケストラの定期演奏会では、ベートーヴェンやブラームスに負けず劣らずブルックナーは人気のある演目といえるでしょう。
 ブルックナーの交響曲は70分や80分もかかるような大曲ぞろい。長いだけに近づきがたい印象を受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、これだけ盛んに演奏されるのは、なんといっても大作ならではの深い感動があるから。小説でたとえれば大長篇を読み終えた後に放心するような、そんな特別な感情を呼び起こしてくれるのです。
 オーケストラの演奏会でとびきりの名演が生まれたときは、なんどもカーテンコールで指揮者が呼び出された後、オーケストラのメンバーが舞台から退いてもまだ拍手が止まず、最後に指揮者ただひとりが盛大なブラボーの声とともに呼び出されることがあります。これをソロ・カーテンコールなどと呼びますが、これまでの経験からいって、もっともソロ・カーテンコールが起きやすいレパートリーはブルックナーの交響曲ではないかと思います。それだけ作品の力が強いともいえますし、指揮者もオーケストラもすべてを出し尽くす作品だともいえるでしょう。
 ブルックナーの交響曲はどれも共通した特徴を持っています。番組中でも説明があったように「ブルックナー開始」「ブルックナー・ユニゾン」「ブルックナー休止」「ブルックナー・リズム」「ブルックナー終止」といった言葉があります。音楽的な特徴に対してまるでプロレスの決め技のように名前が付いているのがおもしろいですよね。ここぞという場面で、期待通りの技がビシッと決まる。ブルックナーの交響曲には、そんな快感があります。

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