見渡す限り白銀の世界、北海道帯広市が舞台です。この地で、週末営業のパン店「Sweet Kitchen(スイートキッチン)」を営む齋藤朱美さん(59歳)と夫の祥司さん(61歳)が主人公。夫婦それぞれに冬ならではの北海道暮らしを楽しんでいます。
転勤の多い祥司さんと共に、北海道を始め日本各地で暮らしてきた朱美さん。リタイア後は北海道でゆったり過ごしたいと、帯広市の家を購入しました。2009年、まずは朱美さんが東京に祥司さんを残し、単身で移住。3年前には趣味のパン作りが高じて、自宅でベーカリー「Sweet Kitchen(スイートキッチン)」をオープンさせました。そして去年3月、祥司さんが定年退職を迎え、念願の夫婦水入らずの暮らしがスタート!
祥司さんにとっては、移住して初めての冬。毎日がワクワクの連続です。
そんなご夫婦の冬の暮らしは、友人との交流や保存食作り、冬にしかできない趣味など、楽しみが一杯なんです!
週末の早朝4時。朱美さんのパン作りが始まります。自宅の一角で営むパン屋さんは週末のみの営業。楽しみに足を運んでくれるお客さんの為に、少しでも沢山の種類を準備したいと朱美さんは頑張っているんです。
この日も、イングリッシュマフィンやフォカッチャを始め、10時30分の開店までに15種類。棚いっぱいのパンを焼きあげました。
帯広市の街中から車で30分ほどの場所にある「Sweet Kitchen」ですが、営業日には多くのお客さんが来店します。ご近所さんも多いですが、最近ではお店の評判を聞いて遠方からやって来るお客さんも。朱美さんはそんな皆さんのために、お店の真ん中に大きなテーブルを置いています。パンを買うだけでなく、ここでお客さん方にゆっくりしてもらい、一緒におしゃべりを楽しむ。これが朱美さんの大きな楽しみの一つなのです。
退職を機に、去年の4月から帯広市で暮らし始めた祥司さん。マキ割りや保存食作りなど、寒さ厳しい北海道では越冬するために様々な仕事があります。でもそれらはみんな、祥司さんにとっては趣味のようなもの。すべてを楽しんでいます。この日は、地域の仲間たちとカレイの飯寿司作りです。米とカレイと野菜を何層にも重ねて敷き詰めて作る飯寿司。重しをのせて40日ほど発酵させると食べごろ。地元に伝わる郷土の味です。出来上がるのをゆっくり待つのも、楽しいものです。
車で友人に会いに出掛けた齋藤さんご夫婦。帯広から1時間半、到着したのは漁業の町・広尾町です。この地で漁師をしている籾山さん夫婦とは、年齢も近いことから意気投合して仲良くなりました。こうして齋藤さんご夫婦がやってくるといつも、漁師ごはんを御馳走してくれる籾山さん。自家製のイクラが豪勢に乗ったイクラ丼や、まだ動いている新鮮なホッキ貝はお湯にくぐらせてしゃぶしゃぶに!こうした交流もまた、朱美さんと祥司さんの大切な時間です。
夕刻。齋藤家にご近所さんが集まりました。皆さん料理を持ち寄り、テーブルの上は御馳走で一杯に。時折こうして、食事会を開いています。祥司さんが仲間と作ったチーズやウインナー、さらにじゃがいもなど北海道の恵みが中心です。こんな日の食卓は、おしゃべりと笑顔が絶えません。
祥司さんより6年早く移住を果たした朱美さん。一人で沢山お友達を作って、交流を深めてきたからこそ絆が生まれた仲間たちです。祥司さんも朱美さんのおかげと、感謝しているそうです。