舞台は、和歌山県高野町高野山。早期退職後、高野山に単身移住し、日々の暮らしを満喫するキャンドル作家の荒川由美さん(48歳)が主人公です。
大阪市内の百貨店で働いていた由美さん、33歳の時に離婚し、母娘二人の生活が始まりました。そんなある日、娘がテレビで見た精進料理を食べてみたいと訴えます。「アトピーを持つ娘でも精進料理ならば食べることが出来る」と、由美さんは宿坊を予約。人生で初めて高野山に足を踏み入れました。精進料理は美味しく、娘の笑顔を見るうちに穏やかな気持ちになれた由美さん。月に一度“高野山詣で”を始めます。ついには「ここに住みたい!」と思うように。趣味で続けてきたキャンドル作りで生計を立てられないかと、『和歌山県移住者起業補助金』の制度に応募して、見事合格。2014年3月、長年勤めた百貨店を辞め、高野山に移住。手作りキャンドルの工房『高野(こうや)candle』をオープンしました。
厳かな高野山に魅せられ移住し、充実した毎日を送る荒川由美さんを紹介します。
壇上伽藍の近くにある自宅の一角に、『高野candle』はあります。工房では、キャンドル作りや予約制のキャンドル教室も行っています。由美さんは、牡丹、百合などの花や、マカロン、ケーキといったスイーツをかたどったキャンドル、さらに高野町の特産品である高野紙を巻いて作るランタンキャンドルなど、様々なキャンドルを制作しています。
高野山に移住する前から、奉納用にキャンドルを作っている由美さん。そのキャンドル作りにかかせない材料、ろうそく。高野山の寺院から勤行などで使い短くなったろうそくを譲ってもらいました。また、養蜂をしている友人からは、蜜蝋を取るために蜂の巣を貰いました。この二つを組み合わせて、由美さんは今も奉納用のキャンドルを作っています。
寺院で頂いたろうそくを溶かしなおし、グラスに入れ土台を作ります。蜂の巣からは蜜蝋を作ります。市販の蜜蝋と合わせて溶かし、薄く伸ばしてカーブを付け、花びらの形に。花びらと土台を組み合わせて出来上がったのは百合のキャンドル。由美さんは奉納するため、奥之院を訪れました。由美さんにとって、手作りキャンドルの奉納は、特別なことではなく、ごく普通の日常です。
大阪に住む娘の麻莉奈さんが、高野山へやってきました。ボランティアで度々、高野山の催しを手伝ってきた2人。この日は、総本山金剛峯寺で行われた展覧会の受付を任されました。
仕事を終えると、自宅に戻って昼食です。麻莉奈さんが大好きな由美さんの手料理が並びました。おふくろの味を、美味しそうに頂く麻莉奈さん。久しぶりの母娘水入らずの時間を過ごすことが出来ました。