福岡県福津市が舞台。「代々受け継いできた土地で農業がしたい」と早期退職して専業農家になった柴田稔さん(61歳)と、夫の育てた野菜で惣菜を作る妻の富貴子(ときこ)さん(60歳)が主人公です。
福津市八並(やつなみ)地区の農家に生まれた稔さんは大学を卒業後、市役所に入職。勤めが忙しく、家の田畑はほとんど人に任せていました。幼い頃から土に親しんできただけに、いつかは農業を…と思っていた稔さんは56歳で早期退職。農業を一から勉強しなおし、専業農家として第二の人生をスタートしました。“稔さんの野菜”の一番のファンは妻の富貴子さん。“夫が育てた自慢の野菜を多くの人に食べてもらいたい”と勤めを辞め、調理の専門学校へ通いました。そして、2013年10月、自宅の倉庫を改装して「このみの里 おかず屋」をオープンしました。
“野菜と惣菜で故郷を元気にしたい”と、夫婦二人三脚で歩む柴田さんご夫婦の充実した毎日を紹介します。
稔さんの農園は、自宅近くの「許斐山(このみやま)」に因んで「このみの里」と名付けました。畑と田んぼ合わせておよそ4500坪。お米以外、野菜は多品種で20種類以上を栽培しています。農家にとって大切な肥料も自分で作ります。油かす、米ぬか、魚かすなどを混ぜあわせ2週間ほど発酵させた「ぼかし肥料」で自慢の野菜を育てています。
稔さんが最も力を入れているのがレンコンの栽培。育てるのは難しいですが、やりがいを感じると稔さんは言います。収穫は機械を使わない昔ながらの方法。レンコンに傷をつけないよう、手探りで一本一本掘り出していく大変な作業です。
“稔さんの野菜”一番のファンは妻 富貴子さん。夫が育てた自慢の野菜を美味しくみんなに味わってもらいたいと、調理の専門学校に一年間通い、本格的に学びました。お惣菜作りで一番のこだわりは、昆布と鰹節からとる一番出汁を使うことです。
毎週日曜日に開かれる『青空市場』に稔さんの野菜が並びます。近所のスーパーが閉店したことがきっかけで始まった『青空市場』。稔さんが最もやりがいを感じている場所です。また、去年オープンしたカフェ『マルタニ』では、稔さんの野菜を使ったランチが大人気。稔さんと富貴子さんは“美味しい野菜で地域を活性化したい”と願っています。