舞台は、豊かな自然に囲まれ、果樹栽培が盛んな愛知県新城市。退職後に生きがいを求め、ブルーベリー農園と喫茶店を始めた元保育園長、牧野幸子さん(65歳)と夫・通さん(66歳)が主人公です。
新城市出身の幸子さん、保育士を一生の仕事とし、61歳まで勤め上げました。退職後、社会から取り残されたような気持ちになり、「生きがいを見つけたい」と思った幸子さん。ふと、ラジオから聞こえた“ブルーベリーは高齢者でも育てやすい”という言葉に勇気づけられ、ブルーベリー農園を始めようと奮起。2011年、家族に協力をしてもらいながら、500本の苗木を植えました。そして収穫ができるようになると、ブルーベリーや地元の食材を使った店を開きたいと思い、2013年に観光農園と喫茶店を始めました。
幸子さんの見つけた生きがいに、家族みんなが温かくサポート、心が通う“ひだまり家族”の日々の暮らしを紹介します。
幸子さんが自宅の目の前で、ブルーベリーを栽培しながら開いた喫茶店。お金をかけないで店を始めるために、夫の通さんが営む建設会社の事務所の一部を改装しました。温かい場所にしたいという願いを込めて、お店の名前は「農園茶屋 陽だまり」にしました。
店のメニューは自家製ブルーベリーや地元の果物がふんだんに使われます。幸子さんは店で使う食材のほとんどを、近所の農家さんから調達しています。この日は、近所の農家で栗の収穫を手伝います。栗は茹でてモーニングサービスに。地元野菜のサラダ、自家製ブルーベリージャムを乗せたヨーグルトなど、まさに地産地消モーニングです。
幸子さんの夫・通さんは建設業だけではなく兼業農家としてお米も作っています。今年も、1600キロほどの「ゆめまつり」というお米が収穫出来ました。その新米を使った米粉で、新メニューの、「クレープのロールサンド」を試作。そして、家族の皆さんに試食してもらいます。常に新しいものに挑戦する幸子さんです。
保育園の園長だった経験から、店の隣にある離れで親子が心置きなく過ごせる、1日1組限定の貸し切りキッズルームも始めた幸子さん。年に一度の企画、店の前で地元の吹奏楽団を呼んで演奏する「お月見コンサート」も今年で3回目です。来てくれた方々にお汁粉を振舞い、家族全員フル稼働でもてなします。月明かりがお客さんの笑顔を照らす楽しいコンサートでした。