石川県珠洲市で今年6月に‘うどん・のんち’をオープンさせた尾間谷一彦さん(50歳)が主人公です。珠洲市で生まれ育った一彦さん、地元の工場に勤めていました。珠洲市に大きな変化があったのは2005年、一彦さん43歳の時。市民の足である「のと鉄道能登線」が廃止となったのです。過疎が進む珠洲市。「生まれ育った街を元気にしたい」と、一彦さんは地域の人たちと交流できるうどん屋の開業を決意しました。飲食店経験の無い一彦さんは、うどんの本場・香川県へ修業に行く事に。そんな夫を妻の悦子さん(49歳)は笑顔で送り出しました。家族の応援を支えに修業を終え、帰郷後は店舗建築にも自ら参加。地元の仲間達の助けもあり、遂にオープンの日を迎える事に。うどんで故郷の人々を笑顔にしようと頑張る一彦さん。開業日、‘うどん のんち’の店内には沢山の地元の人々の姿がありました。
時間もお金も余りかけずに修業が出来る場所を探した一彦さん。うどんの本場、香川県にある製麺機械メーカーが主催する「うどん学校」で6日間の講習と20日間の店舗研修を受けました。飲食店経験の無い一彦さん、不安な気持ちと闘いながら、ダシ作りや麺の盛り付け方など、うどん作りを一から学びます。全ての修業期間が終わり、一彦さんは自信をもって珠洲市へと戻りました。
うどん修業から戻って2ヵ月。一彦さん自ら、お店の建築現場に立ち会います。施工は小学校の同級生、大伏勇進さんが請け負ってくれました。しかし、開業資金を節約する為、まかせてばかりはいられません。自分で出来る事は何でもやろうと、日曜大工が趣味の一彦さんも工事を一緒に手伝います。
オープン前日。中学校の教員をしている妻の悦子さんに、香川で習ったうどんを振る舞います。作ったのは一押しメニューの「かき揚げうどん」。退職してからの半年間、家庭を支えてくれた悦子さんへの感謝の気持ちがこもっています。
オープンの日。午前11時、開店するや店は大盛況。まだ慣れない一彦さん、作るスピードが追いつかず、次第にお客様をお待たせすることに。結局最後のお客様は来店から1時間も待たせてしまいました。しかし、うどんの味に対するお客様の反応は上々。皆さんに満足していただけたようです。反省点もありましたが、地元珠洲市の人々を笑顔にするために、一歩一歩頑張っていきます。