舞台は大自然が魅力の熊本県球磨郡水上村。
主人公はこの村で、ログハウスの宿「瓢鰻亭(ひょうまんてい)」を営む木嶋幸利さん(57歳)と、そんな夫を支えるしづ子さん(55歳)です。水上村に生まれ育った幸利さんは、高校卒業後に上京し郵便局に就職。しづ子さんとの出会いもあり都会生活を満喫していましたが、やはり自然豊かな故郷がいいと32歳で水上村に転勤しました。そのうち幸利さんは「趣味を楽しむ隠れ家的なログハウスを建てたい!」という夢を持つようになり、思いを果たすべく54歳で早期退職。
ログハウスを建て始めると、友人たちの勧めで宿に方向転換した幸利さん。それも、泊まったお客さんが何でも自分でやって楽しむユニークな宿―。そして去年 11月「瓢鰻亭」をオープンさせました。「自分が楽しまなければお客さんも楽しめない!」をモットーに、今日も幸利さんは新たな遊びを探しています!
こちらがログハウスの宿「瓢鰻亭」。建物やかまど、五右衛門風呂など全て幸利さんと友人たちの手作り!「何でも自分ですることで田舎暮らしの良さを体験してほしい」との思いから、自炊の宿にすることに決めたんです。ちなみに「瓢鰻亭」という名前は、「Humanity(ヒューマニティ)=人間味・人情味」をもじってつけたんだそう。心は少年のような幸利さんですが、駄洒落はちょっとオヤジ系・・・。
妻のしづ子さんは、現在JAに勤めています。お休みの日は手芸をするのがしづ子さんの楽しみ。「宿は夫にお任せ」なんて言いつつも、せっせと作っているのは「瓢鰻亭」に置くティッシュケース。陰ながら幸利さんのことを、応援してくれているんです。
幸利さんが心待ちにしていたお客様が到着!幸利さんの郵便局時代の後輩、田中建二さん一家と、そのお友達の田中美子さん一家です。幸利さんも張り切りモード!釜でご飯を炊いたり、五右衛門風呂を沸かしたり・・・、ここでは自炊が、楽しい遊びに変身しちゃうんです。子供たちも昔ながらの道具や使い方に興味津々!そんな姿を見て嬉しそうな幸利さんも、子供みたいに生き生きしています。
もちろん、楽しむのは子供だけじゃありません!大人も楽しいのが瓢鰻亭!その一つが眺め抜群の五右衛門風呂。実は幸利さんが自分で入りたいがために作ったという自信作です。建二さんは五右衛門風呂は初体験。幸利さんに指導を受けながらおっかなびっくり入浴してみると・・・「うぉ〜!これいいな!」と大感激!
いい湯と眺めを独り占め、なんとも贅沢です。
お隣に住むお茶農家の俊ちゃんは、幸利さんの幼馴染。お茶の栽培をしながら農家民宿「茶乃実」を営む、宿の先輩でもあります。「ログハウスを宿にしてみては」と提案してくれたのも俊ちゃんでした。この日は「瓢鰻亭」のお客さんに、俊ちゃんの家で紅茶作り体験をしてもらうことに。「宿同士の交流を通じて村を元気にしたい!」それが幸利さんと俊ちゃんの夢なんです。
もうひとり、幸利さんには心強い宿の先輩がいます。それがこちらの椎葉和子さん。築97年の古民家を利用した宿「遊庵」を営んでいます。和子さんの自慢は、昔ながらの釜戸に五右衛門風呂・・・どこかで見たことがあると思ったら、「パクっちゃいました!」と幸利さん。そう、幸利さんはここ「遊庵」のよいところをモデルにして、「瓢鰻亭」を作ったんです。幸利さんにとって「遊庵」は憧れの宿。今でも時々遊びに来て、新しいアイディアを膨らませているんだそうです。