舞台は静岡県藤枝市。大好きなお茶を作り始めた渡邊正治さん(64歳)と妻の福子さん(61歳)が主人公。化学関連の会社で働いていた正治さんは、57歳の時に花のような香りのするお茶に出合い、自分もそんなお茶を作りたいと思うようになりました。そして、藤枝にある製茶問屋の協力もあり、2005年に定年退職後、お茶作りを始めました。お茶作りを始めて4年目。今年は天候にも恵まれ納得のいくお茶が作れました。花のような香りのするお茶を目指して、これからも夫婦仲良く、楽しんでいってください!
正治さん専用の茶工房には、製茶問屋の宮崎社長が用意してくれた中古の製茶機械が並んでいます。お茶作りの季節には、機械の音とお茶の香りで辺りが包まれます。いつかここで素晴らしいお茶が生まれることを、宮崎社長をはじめ皆が願っています。
この日、初摘み前に作ったお茶を評価してもらう為、お茶作りの大先輩である小柳三義さんを訪れました。この小柳さんこそ、正治さんがお茶を作るきっかけとなった、花のような香りのするお茶を作った名茶師です。小柳さんからの応援をうけ、正治さんはお茶への想いがさらに強くなりました。
正治さんのお茶作りでは、刈り取った茶葉を日に晒し傷ませ、発酵を促します。これは萎凋(いちょう)という、中国茶などで行われる一手間。通常日本茶は、茶摘みのあとすぐに加熱して発酵を防ぐのですが、正治さんは花のような香りを出す為にあえて微発酵させます。この萎凋の加減がとても難しく、正治さんも真剣です。
今年の一番茶が完成しました。製茶問屋の宮崎社長と福子さんも駆けつけて一番茶の出来を確かめます。一年間の成果がでるため、正治さんと福子さんにとっては固唾をのむ瞬間です。結果は、宮崎社長も認める香り高いお茶が出来上がりました。一年間の努力が実っただけあって、正治さんと福子さん、宮崎社長も笑顔がとまりませんでした。