滝田栄の母
 〜着物は裏地に凝りなさい〜
第203話      2005年10月16日放送

「もしかすると明日逝っちゃうかもしれない。
だから母親の言葉とか動きが僕にとってはすごく大事だったんです」
テレビや舞台などで活躍する俳優・滝田栄、54歳。
20年間司会を務めた「料理バンザイ!」では玄人はだしの料理の腕前も披露した。
そんな滝田が現在熱中していること、それは『仏像彫刻』だ。きっかけは母の死。
生まれつき心臓に病を抱え、命がけで産んでくれた母、その安らかな眠りを願って13年前、滝田は初めて小さな観音像を彫った。
以来、仕事の合間を縫い、時間が出来ると八ヶ岳の山荘で仏像を彫っている。

滝田栄の母・政は大正4年、千葉県印旛村で養蚕と機織りを営む家に生まれた。
尋常小学校を卒業後、神田で和裁の修業を積む。
同郷の国鉄マン滝田正と結婚後3人の子供に恵まれ、その傍ら100人もの弟子に着物の仕立てを教える腕のいい職人だった。
4人目を身ごもった時、政は生まれつき心臓弁膜症であったことが発覚、医者から出産を止められてしまう。
それでも命懸けで産んだ子供、それが栄だった。

末っ子の甘えん坊。幼い頃の滝田は母の後ばかりついて歩く子供だった。
そんな滝田が母への思いをさらに募らせる事件が起こる。心臓の持病が悪化し、母が入院してしまったのだ。
この時から滝田は母の死を強く意識するようになる。

大学1年の時に見た「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥールに憧れ、役者を目指すようになった滝田は、文学座に入り稽古の日々を送っていた。
チャンスが訪れたのは昭和51年、劇団四季のミュージカルだった。
ここで注目を集めた滝田は、NHK大河ドラマ、朝の連続テレビ小説と立て続けに話題作に出演し、ついに大河ドラマの主役を得るに至る。
スターへの道を駆け上がり意気揚々と現れる息子に、母は「いい気になってるんじゃない」と容赦なかった。
職人気質で影の努力を何より大事にする母は、華々しい成功に浮かれる息子を簡単には認めない。
「いつかコンチキショー良かったって言わしてやりたいな」と思う滝田だった・・・・

やがて、滝田は母が感動の涙を流す舞台を務めることとなる。
番組では、八ヶ岳にある滝田の仏像彫刻の工房を訪ねる。
「途中であまりにもそっくりになっちゃって」。母のために彫った観音像を手に、滝田が母への思いを熱く語る。


取材先:
長野県原村
千葉県成田市
東京都内

出演者:
滝田栄
制作担当:
プロデューサー 加納 満   (ViViA)
  プロデューサー 高梨 聞吉 (テレビ朝日)
  演     出    原田 りえ  (ViViA)