10年以上にわたり、アラスカを中心に野生動物の姿を写しつづけてきた写真家がいます。
前川貴行さん、41歳。グリズリーやハクトウワシといった様々な生き物たちの姿を通して、命の喜びと地球の素晴らしさを伝えてきました。
そんな前川さんが今回ターゲットにしたのは、アラスカ北極圏を駆け抜けるカリブー。
トナカイの仲間であるカリブーは、毎年雪解けの季節になると数万頭という群れをつくり、北へ北へと大移動を繰り広げます。その距離およそ2000km。しかし、警戒心が強く敏捷なカリブーはツンドラのゴーストと呼ばれ、その群れを見つけ出すのは容易なことではありません。
そこで、前川さんは、助っ人に元航空自衛隊の日本人パイロットを向かえ、空と陸からの大追跡に挑みました。4000kmに及ぶ追跡劇の中で目撃したもの…。
北の原野には、カリブーを取り巻く過酷な命の連鎖が息づいていたのでした。

1969年2月24日東京都生まれ。
26歳の頃より写真を独学ではじめ、97年より動物写真家・田中光常氏の助手をつとめる。
2000年からフリーの動物写真家として活動を開始。日本、カナダ、アラスカを主なフィールドとして内外の野生動物をテーマに撮影に取り組み、カメラ雑誌、総合誌のグラビアなどに作品と文章を発表。日本写真協会賞新人賞受賞。