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  • 奇跡の地球物語
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#51 2010.10.31
沖縄〜美ら海からの贈り物〜

サンゴ礁、熱帯魚、そして天然記念物を含む動物たちの楽園でもある、果てしなく青い沖縄の海、"美ら海"。この美ら海はどのようにして生まれたのか?鮮やかな色彩を放つエメラルドブルーには、沖縄ならではの理由があるという。この海は一体どのようにして生まれたのか?他の海とも繋がっているのに、なぜ沖縄の海だけがこれほどまでに青く美しく見えるのだろうか?そしてこの美しい海は我々に何をもたらしてくれるのか?
日本列島の南西に位置し、人が住む49の島々と無数の無人島からなる沖縄。この地はかつて、大陸と陸続きだった。やがて地殻変動により隆起や沈降が繰り返され、約100万年前、現在に近い形が形成された。そして島を取り囲む浅い海には、広大なサンゴ礁が広がっていき、約2万5千年前、琉球列島は現在の形になったと考えられている。
沖縄の近海には、赤道に程近いフィリピン諸島周辺で発生する暖流=黒潮が通り、南国の熱を運んで来る。この黒潮の影響により、沖縄は「亜熱帯海洋性気候」に属し、日本の他の地域にはない特徴的な自然環境を持っているのだ。この暖かい海では、熱帯魚たちがサンゴ礁を住み処とし、世界最大のエイ、オニイトマキエイ、通称マンタがダイバーたちの目を楽しませてくれる。動物たちの楽園は、すべて美ら海がもたらしてくれると言っても過言ではないのだ。
沖縄の海だけでなく、通常どこの海も青く見える。しかし、なぜ海は青く見えるのだろうか?太陽の光には様々な色が含まれている。海に入った太陽光線のうち、「赤」や「オレンジ」の光は水に吸収されてしまう。そして残った「青い光」だけが海中のプランクトンや浮遊物などに反射され、海面に戻ってくる。青い光だけが反射され私たちの目に届くため、海は青く見えるのである。しかし、沖縄の海の青は、他の海と違って特別な色をしている。繋がった同じ海なのに、なぜ沖縄の海だけこれほど青く美しく見えるのか?
その理由の一つは、透明度の高さだという。東京湾などだと、水深10mまで行くと、光が99%減衰されるという。しかし黒潮系の水は、それが70mほどもあるという。透明度が高いということは、光を遮る物質が少なく、青い光が海底に届く。しかも沖縄の沿岸部は水深が浅く、さらにそこには白い砂の海底と、数万年の時間をかけて育ったサンゴ礁が広がっている。この白い砂とサンゴ礁が太陽光線の青を反射させるため、鮮やかな淡いエメラルドブルーを創り出すというのだ。そしてサンゴ礁の外側、水深が深い海の色は濃い青になる。これにより、沖縄の海は、淡い青から濃い青まで、様々な色を見せるのだ。
しかし、透明度が高いということは、そこに住む生き物にとっては厳しい環境なのだという。透明度が高い海とは、プランクトンや栄養分が乏しい海ということなのだ。では一体なぜ、栄養分も少ない海にもかかわらず沖縄の海はこれほどまでに魚たちの楽園なのか?
それはサンゴ礁のおかげだという。サンゴ礁があるということは、とても浅い海であり太陽光が届くことを意味し、それにより植物プランクトンも良く繁殖し、それを食べる様々な魚が棲み生態系が豊かになる。サンゴ礁は「海の熱帯雨林」とも呼ばれており、世界の海の中でサンゴ礁の割合は0.2%ほどだが、海洋生物のおよそ25%もの種がサンゴ礁の海に生息しているという。そしてサンゴ礁の働きはこれだけではない。光合成によって酸素を産み出す。地球の肺とも呼ばれ、海中だけでなく陸上の生命をも支えているのだ。
サンゴ礁があることで沖縄の海は多様な生態系を作り出し、豊かな海となっている。サンゴ礁は我々が美ら海から受ける恩恵の"贈り主"なのだ。例えようのない輝きを放つ海、"美ら海"。それは黄金に輝く私たちの心のオアシス。その輝きがいつまでも我々を魅了してくれることを願わずにはいられない。