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2014.12.10.

   ● 報道ブーメラン 第755号 ●
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 〓 目次 〓

 ■01■記者コラム
      「『消費増税先送り』ショックは財務省を鍛える好機になるか?」
      経済部/村田 卓

 ■02■お知らせ
      「選挙ステーション2014」 12/14(日)よる7:59〜放送

 ■03■編集後記


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 ■01■記者コラム
      「『消費増税先送り』ショックは財務省を鍛える好機になるか?」
      経済部/村田 卓
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  11月14日夜、財務省。「古舘さんのとこでやるのか!?」。エレベー
  タホールで、幹部の怒鳴り声が響きました。その大きさは、退庁する
  職員らが驚いて立ち止まるほどでした。怒鳴られたのは、私。

  この日の報道ステーションで『消費増税先送り論で財務省・日銀の本
  音』と題する5分の放送枠が組まれたので、幹部達のコメントを集め
  ている最中でした。

  「やりますよ。だって、これだけ解散風が永田町から吹いていますか
  ら…」。私の言葉を彼は遮り、「永田町は永田町。俺たちは霞が関だ。
  面白おかしく取り上げるのはやめてくれ!」と叫びました。普段は物腰
  の柔らかな人物だけにびっくりです。

  彼は迎えの公用車が来ると、居合わせた別の幹部に「元気を出して
  行こう。……“元気を出して”、か。あはは」とつぶやいて乗り込みました。


  この前後、財務省の職員に一種の脱力感を感じる場面に何度か遭遇
  しました。悲願だった消費税10%引き上げを先送りされたこと、それを
  止められなかったことに対する悔しさが抑えられなかったのでしょう。

  対照的だったのは麻生財務大臣です。私が「安倍総理が増税先送り
  の判断をしそうだと気づいたのはいつ頃だったか」と尋ねた時、「記憶
  がありません」とにべもありませんでした。

  もっとも麻生氏は、第二次安倍改造内閣発足時(9月3日)も「消費税
  引き上げを先送りする時の検討、シナリオを考えていますか」と聞いた
  時も、一瞬怪訝そうな顔をしたあと、「今の段階で引き上げないのを
  前提とした話を考えているわけではありません」と言い切りましたし、
  衆院解散による予算編成日程への影響について答えを求められた時
  など、当初は「一杯飲ましてもらわないと、とても割が合わない」とはぐ
  らかしたくらいですから、本当のところはわかりません。

  職員で早い時期に増税先送りの兆しを察知したのは、主税局の数人
  ぐらいではなかったでしょうか。


  財務省は、消費税の10%引き上げが来年10月から2017年4月に先
  送りされた分、どこかで帳尻を合わせなければなりません。そうしない
  と、2020年度の財政健全化目標(基礎的財政収支黒字化)を達成で
  きないからです。

  経済財政諮問会議(7月25日)の予測ではすでに目標に11兆円足り
  ません。あと5年あまりで経済が成長し、所得税や法人税の増収分だ
  けで埋められれば結構ですが、バブル期でもなければ無理な数字です。

  残された道は増税しかないのでしょうか。財務省幹部は言います。
  「総理がおっしゃっているじゃないですか。『2020年度の財政健全化
  目標を堅持してまいります。来年の夏までに具体的な計画を策定いた
  します』って」。

  総理のひと言が揺るぎない「決意」に聞こえるようです。しかし、消費
  税の12%、15%引き上げの道筋を総理と話す予定はあるのか、と問
  われた麻生氏の答えは「難しい質問だ。いま、総理とそのテの話を
  するつもりはない」でした。


  こうした動きに一つの答えを出したのが、アメリカの格付け会社、ムー
  ディーズです。1日、ムーディーズは日本国債の格付けを1段階下げま
  した。理由はもちろん、消費増税の先送りです。同社の日本国債アナ
  リスト、トーマス・バーン氏は「財政赤字を削減する政策手段が示され
  ていない」と警告しました。

  ムーディーズは、前回の格下げ(2011年8月)の時、事前に担当者が
  財務省まで調査に来ました。今回はそれもなく、いきなり引き下げた
  とのこと。財務省の担当部署はこれにカチンと来ています。いまは
  ムーディーズと同じ格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズが格
  下げするのではないかと、気が休まりません。

  さらに追い打ちをかけたのが、内閣府が8日に発表したGDP(国民総
  生産)の改定値(2次速報)です。

  11月17日の速報値(2次速報)は−1.6%と、2四半期連続のマイナス
  結果だったことが、衆院解散と消費増税先送りの格好の口実となって
  しまったうえに、今回さらに0.3ポイント悪化。

  財務省がまとめた法人企業統計(1日)で企業の設備投資は前期比
  +3.1%だったにもかかわらず、内閣府の計算では逆に設備投資の
  マイナス幅は拡大していました。

  内閣府は「法人企業統計には含まれない、資本金1000万円未満の
  中小企業の投資が弱かったため」と説明しますが、財務省は「まった
  く理解できない」。彼らのイライラはつのるばかりです。


  そんな取材を続けている私の頭に、忘れられない一つの言葉があり
  ます。「坐忘(ざぼう)」です。民主党政権下で主税局長として消費税
  引き上げの3党合意に尽力した古谷一之元国税庁長官(「まち・ひと・
  しごと創生本部」事務局長代行)が大蔵、財務大臣秘書官として仕え
  た故宮沢喜一元総理から揮毫(きごう)された言葉です。

  「心を静め雑念を払う」という意味で、古谷氏は「右往左往する私を見
  て「心に余裕を持つように」と戒めて下さったのだろう」と振り返ってい
  ました。いまの財務省にもどこか通じる気がします。先送りされた1年
  半を、自らを鍛える機会と受け止めるくらいの余裕を持てる時が来る
  よう、期待したいですね。(了)


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 ■02■お知らせ
      「選挙ステーション2014」 12/14(日)よる7:59〜放送
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  消費税10%への引き上げを1年半先送り、2017年4月からの引き上
  げを確約した安倍政権、その判断を国民に問う衆議院選。投票終了
  直前にスタートする「選挙ステーション2014」では、古舘伊知郎キャス
  ターを始め「報道ステーション」のレギュラー陣が勢ぞろい。

  さらに、政治ジャーナリストの後藤謙次、テレビ朝日政治部長・藤岡
  信夫が加わり、どの局よりも“速く正確な”開票速報と“独自出口予測”
  さらに各地からの臨場感ある“中継”を交え、注目の選挙結果を迅速
  かつ正確に伝える。

  「報道ステーション」9党首による討論会動画
  ご視聴は http://www.tv-asahi.co.jp/senkyo/movie

  衆院選比例投票先「自民」が約34% 報道ステーション・ANN世論調査
  詳細は http://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/201412/


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 ■03■編集後記

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  “御上(おかみ)主催のイベント”は数あれど、
  「タダで、しかも楽しめるもの」となると限られてくる。
  そんな中、お薦めなのは、「国会」、「裁判」、そして「開票所」だろうか。

  「国会」は、テレビを通してでも見ることができるが、
  ナマの論戦はなかなかのもの。
  「裁判」は、テレビというわけにはいかないから、
  自らの目で確認し、そこで「人間の性」を目の当りにする。 
  さらには自分の選挙区という条件付きではあるが、
  開票作業だって見ることができる。
  自らが投じた票が開披台の上で数えられていく様は、大げさでなく、
  そこに「民主主義」があると思わせるのに十分だ。

  さて、今回はその「開票所」の話。
  我々メディアにとっても、実際に票を目にすることができ、
  いち早く「当選」を報道するためには重要な取材ポイントのひとつ…
  のはずだが、最近、開票所の様子が変わったという声が
  現場から聞こえてくる。

  文字自動認識システムを使った票の自動読み取り機、
  「OCR」の導入が著しいのだ。
  役場の職員総出で開披台の票を候補者ごとに分類し数えるという
  一連の作業は、今や当たり前に目にする光景ではないらしい。

  新型のOCRだと、人が判読できる程度の文字であれば、
  ほぼ100%の確率で読み取ることができるという。
  天地、裏表関係なく、角をそろえて投入すれば、
  あっと言う間に分類が始まる。1分間で600票超のスピード。
  手作業だと1分間で60票ほどしかできないから、勝負にならない。
  計数機も使うから、「手作業」のパートはほとんど残っていない。

  もちろん費用の問題もあるから、全部OCRを使うわけには
  いかないだろうし、点検をしたり、疑問票や白票の審査もあるから、
  それなりに職員の数はいる。
  ただ、相当な省力化、作業時間の短縮になっているのは間違いない。
  一方で我々は、開披台の票を見ることができず、
  開票所での取材は困難を極めている。

  21世紀に入ってから地方自治体の選挙で認められた「電子投票」は、
  マシントラブルが原因で投票自体が無効とされて
  “開店休業”の状態へと追い込まれた。
  選挙で一番大切な「信頼性」という壁を乗り越えることができずにいる。
  その間、精度を上げたOCRの導入が進んだのも理解できる。

  衆院選の投票まであと4日。
  今回は「政権選択」などという言葉からは程遠く、
  史上最低の投票率になるのではとささやかれる中での選挙戦である。
  とはいえ政権党だけは300議席を超え、
  改憲発議可能な議席数も視野に入る勢いだと、
  大手メディアはそろって報じている。

  それでも投票に行くモチベーションを保つためには…。
  まず自分の1票を確認するためにも、投票所はもちろん、
  開票所も訪れてみる、というのはどうだろうか。
  一案として挙げておく。
                              (編集長 中村 直樹)


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