木曜日

玉川徹が“ニュースに潜む疑問”を独自に追及

放送日 2018/02/01

そもそも“がん”だけを破壊するウイルス療法とはどのようなものなのだろうか?

末期がんにも効果が期待できると言われる“ウイルス療法”とは?

※今回お話を伺った「東京大学医科学研究所附属病院」では、治験の第2相が進行中の「膠芽腫」の被験者を募集しています。
※脳腫瘍以外では「嗅神経芽細胞腫」の被験者を募集しています。
※それ以外の試験は、現時点ではまだ行っていません。
※詳細は「東京大学医科学研究所付属病院 脳腫瘍外科」で検索してご確認ください。

これまで様々な“最新がん治療法”を取り上げてきたそもそも総研が、また新たな画期的治療法を取材しました。今回取り上げたのは、「末期がんをも克服できる可能性がある」という「ウイルス療法」です。実用化も近いというこの新治療法について伺うべく、玉川徹さんは「東京大学医科学研究所」の藤堂具紀(とうどう・ともき)教授を訪ねました。藤堂教授は、ウイルス療法の分野では世界最先端の研究者として知られる人物です。

ウイルス療法とは、端的に言えば「人工的に作ったウイルスが、がん細胞だけを破壊する」という治療法。藤堂教授によれば、「この療法には2つの大きな効果がある」のだそうです。効果の1つ目は「ウイルスが直接がん細胞を破壊する」というもの。治療に用いるウイルスはがん細胞だけでなく正常細胞にも感染しますが、遺伝子操作によって「がん細胞の方だけで増殖して破壊活動を行う」ようにプログラミングされているのだそうです。

2つ目の効果は「がん細胞が免疫を呼び起こす」というもの。ウイルスによるがん細胞破壊が始まると、体内の免疫は「ウイルスと破壊されたがん細胞を一緒に排除しようとする」そうです。その際に、免疫は「今まで認識していなかったがん細胞も新たに認識し、攻撃を加えるようになる」といいます。藤堂教授によれば、治療に用いるウイルスは「固形がんに対して注射で直接投与する」といい、「全ての固形がんに効果がある」そうです。

ウイルス療法の実用化はいつ? がん全般への適用を早める方法は?

東京大学医科学研究所附属病院ではすでに脳腫瘍の治験の第1段階を終え、次のステップに移っているそうです。第1段階では「既存の治療法では効果が上がらず、余命3~6カ月と診断された患者」を対象に治験が行われ、「約4割の方が1年以上生存している」といいます。

玉川さんは、治験を受けた方の中で最も効果が高かった、「末期の脳腫瘍で余命1~3年と宣告されるも、ウイルス治療によって劇的な回復を見せた」という60代女性にお話を伺いました。「8年前に悪性脳腫瘍のステージ4と診断され、外科手術や放射線治療を行うも再発した」というその女性は、新聞記事で藤堂教授のウイルス療法を知り、治験に応募したそうです。結果、2年後には腫瘍はほとんど見えなくなり、7年経った今も再発はしていないといいます。

この60代女性の場合は大きな効果が見られましたが、しかしそうではなかった患者もいたそうです。その差は一体何なのでしょう? 藤堂教授によれば「末期がんにも効果があるとはいえ、やはり治療開始は早いに越したことはない」そうです。「がんに対する免疫ができてくるには時間がかかるので、免疫が効いてくるまでの猶予(余命)がある患者でなければならない。免疫にも個人差があり、即効性のある人とない人がいるので、少しでも早く治療を始めた方が効果は高くなる」と藤堂教授はおっしゃいます。

「ウイルス治療法は、いつ頃に実用化されるのでしょうか?」という玉川さんの問いに、藤堂教授は「悪性脳腫がんについては、早ければ1~2年以内に実用化される見込み」とおっしゃいました。ただし、「がん全般への適用」を実現させるには「制度改革」が必要なのだそうです。「全てのがんに対して臨床実験を1つずつ行っていたら時間も費用も膨大にかかってしまうので、治験に関する何らかの新しい制度が必要となる。せっかく日本で開発したのだから、わが国で真っ先にウイルス療法を届けられるようにしたい」と藤堂教授は語ります。

今回の取材を通じ、玉川さんは「末期がんに通用する治療法が次々に実用化されつつある」という実感をさらに強めたそうです。

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