木曜日

玉川徹が“ニュースに潜む疑問”を独自に追及

放送日 2017/10/12

そもそも がんも老化も克服できるかもしれない画期的な技術って何?

病気治療を根本から変えるかもしれない“ゲノム編集”

あらゆる生物は、体内に“生命の設計図”たる「DNA」を持っています。しかしその中で「遺伝子」と呼ばれる部分はわずか「3%」程度しかないのだとか。そうした「遺伝子外の領域」までも含んだ“DNA全体”のことを「ゲノム」と呼びます。

人間のゲノムには先天性や後天性の要因によって“エラー”が生じ、その積み重ねが「病気」や「老化」を招くと言われているそうです。研究者たちは「エラーが起きた部分を正常なものと置き換え、病気を治す」という研究を行っており、その技術は「ゲノム編集」と呼ばれています。ゲノム編集の研究最前線について伺うべく、玉川徹さんは「東京大学大学院 理学系研究科」の濡木理(ぬれき・おさむ)教授を訪ねました。

ゲノム編集が注目されるようになったきっかけは、「クリスパー・キャス9」という新技術の開発だったそうです。その特長は「“クリスパー”というDNA配列を利用して、特定のDNAを編集できること」だといいます。クリスパーがDNA内の「エラー発生部分」を発見してくっつき、その部分を“キャス9”というたんぱく質が切り取ります。切り取られた部分に、周囲にある「正常なDNA」が入り込んだら、編集作業は完了。これがクリスパー・キャス9で、この開発によって遺伝子治療研究は大きく加速したそうです。

ゲノム編集による治療効果は「固形がん」や「血液のがん」、そして「肉腫(にくしゅ)」の分野でも期待されているそうです。更には人類永遠のテーマである「老化予防」にも応用できるのだとか! 現時点ではまだ研究途上ですが、「老化という“DNAエラー”の要因」さえ解明できれば、ゲノム編集によって止められるかもしれないのだといいます。

“人間への応用”まであと一歩、という段階へ

現時点でのゲノム編集は「全て体外で行われている」そうです。その理由は「クリスパー・キャス9が使い勝手の悪い大きさだから」なんだとか。注射などを使って体内でゲノム編集を行うためには「狙った細胞に届く“特別なウイルス”にクリスパー・キャス9を入れる必要がある」のですが、現在のものだと「大きすぎて入らない」のだそうです。

そうした弱点を克服すべく、濡木教授は「ウイルスに入る小さなキャス9(ミニキャス9)」を研究し、その開発に成功しました。玉川さんは、濡木教授と共同でミニキャス9の動物実験を行っている「自治医科大学 医学部」の大森司(おおもり・つかさ)教授を訪ね、お話を伺いました。

同大学で現在研究されているのは、「血友病マウスのゲノム編集治療」です。それは、肝臓内で起こっている「血液の凝固因子エラー」をゲノム編集(ミニキャス9を使った注射治療)で治す、いうもの。注射する「ミニキャス9入り治療ウイルス」は、大森教授によれば「非常に優れていて、90%以上が狙い通りの場所に届く」のだそうです。そして「治療を行った全マウスに改善効果が認められている」といいます。

自治医科大学では「人間への応用を目指し、更に大きな動物(ブタ)への実験にも進んでいる」といいます。学内の「先端医療技術開発センター」の花園豊(はなぞの・ゆたか)センター長によれば、ブタを使って行われているのは「免疫不全症の治療」で、骨髄内にあって“血液の素”となっている「造血幹細胞」内部の“悪い遺伝子”を正常なものと交換する作業だそうです。

「マウス実験で成功しても人間では上手くいかない」というケースもあるそうですが、「ブタを使って成功したものならば人間の成功率も高い」そうです。花園センター長によれば、「現在行われているものが動物実験の最終段階」で、次はいよいよ“人間への応用”に進んでいくといいます。

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