水曜日

伝統守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性に密着。 宇賀なつみアナが体当たりレポートで紹介、応援します。

放送日 2017/12/06

堤加奈子(62) 佐賀で378年続く老舗和菓子店“鶴屋”14代目女将

佐賀で378年続く老舗菓子店“鶴屋”14代目女将・堤加奈子さん

鶴屋
住所/佐賀県佐賀市西魚町1番地
TEL/0952-22-2314
営業時間/9:00~19:00
定休日/元日
※詳しくは店舗に直接お問い合わせください
◇紹介した「丸房露(まるぼうろ)」1個86円(税込み)

宇賀なつみアナウンサーが、伝統や文化を受け継ぎ、生き生きと輝く女性から、人生を素敵に過ごす秘訣などを伺う「継ぐ女神」。今回ご登場いただいたのは、佐賀で378年続く老舗和菓子店「鶴屋」の14代目女将・堤加奈子(つつみ・かなこ)さん(62)です。

長年作られてきた鶴屋の看板商品が「丸房露(まるぼうろ)」。2代目店主が江戸中期、長崎で学んだポルトガルの洋菓子技術を使って開発したお菓子なのだといいます。“佐賀県民のソウルフード”として広く愛されており、佐賀藩主にも献上されていたそうです。佐賀出身で後に内閣総理大臣となる「大隈重信(おおくま・しげのぶ)」もこれが大好物で、鶴屋まで直接買いに来たり、東京の自宅まで加奈子さんの曽祖父(11代目店主)を呼んで作らせたこともあったといいます。

宇賀アナは、築200年にもなるという加奈子さんの自宅に案内していただきました。奥の座敷で見せてくださったのは、おびただしい数の古い木箱。実に40個もあります。両親から「大切なものが入っている」と聞かされながら育った加奈子さんは中身を見たことがなく、それは婿である夫の光昌(みつあき)さん(70)も同様だといいます。そんな“開かずの箱”の中身を、なんと今回見せていただけることになりました。

中から現れたのは、由緒ありげな漆(うるし)塗りの器たち。椀(わん)や酒器などがおよそ300点もありました。番組がお呼びしたプロ鑑定士によれば、それらは「江戸から明治にかけて作られたもの」で、中でも「めったにない素晴らしいもの」と称賛されたのが「羊遊斎(ようゆうさい)」という江戸後期の蒔絵(まきえ)師の手がけた品々。“名工”と謳(うた)われた羊遊斎の作品は、全国の諸大名が欲しがったほど価値あるものなのだそうです。予想外の高評価に、加奈子さんもとても嬉しそうでした。

378年変わらぬ製法で作られる看板商品“丸房露”

宇賀アナは、鶴屋の作業場に特別に入れていただきました。丸房露の製法は、家宝として伝わる「先祖の書き残したレシピ」を忠実に再現したもので、378年間全く変わっていないそうです。

まずは、卵とハチミツを溶いたものを粉の中に入れ、手を使って一気に混ぜていきます。「混ぜすぎると粘りが出て、せっかくの生地が死んでしまう」そうで、加減の調整には熟練の技術が必要とされます。この作業は「5分以内に済ませなければならない」といい、両親と共にずっと働いてきた息子の一博(かずひろ)さん(39)であっても「息切れするほど大変」と語っておられました。

宇賀アナは、この“混ぜ”の作業に挑戦させていただきましたが、その難しさは想像以上のものでした。宇賀アナいわく「生地が重くて、全然かき混ぜられないんです…」。しかし一博さんに交代すると、生地はあっという間に滑らかな状態に変わっていきました。

混ぜ終わった生地は型抜きされ、250℃のオーブンで5分間焼かれます。江戸時代から愛され続けてきた丸房露は、こうやって完成するのです。焼きたてを試食させていただき、その美味しさを実感した宇賀アナは、丸房露が老若男女から愛され続ける理由が分かったそうです。

通訳になる夢をあきらめ、家業を継いだ堤加奈子さん

378年続く老舗に、2人姉妹の次女として生まれた加奈子さん。幼い頃からの憧れだった“通訳”になるべく上智大学に進学しましたが、そんな時、店を継ぐはずだった姉が結婚して家を離れてしまったのです。「自分が家を継がなければ、歴史ある店が終わってしまう…」。22歳にして「夢の実現」と「家業の継続」の二択を迫られた加奈子さんは、悩み抜いた末に、家業を継ぐことを選びました。

見合い結婚した光昌さんと力を合わせて伝統を守り続けてきた加奈子さんでしたが、13年前、思いがけぬアクシデントに見舞われました。光昌さんが胃がんを発症し、胃の全摘出手術を受けることになったのです。

店の経営をずっと担ってきた光昌さんが健康を害しただけでも大変なことですが、その当時の鶴屋は、店を改装した際の借金も抱えていたのだといいます。両肩に一気に重い責任がのしかかってきた加奈子さんでしたが、しかし絶望することはありませんでした。逆に“攻め”の体勢に入り、新たな看板商品を生み出して乗り切る決意をしたのです。

5年がかりで復活させた幻の菓子“ケシアド”

紹介した「肥前ケシアド」1個173円(税込み)

“新たな看板商品”を生み出す際に頼ったのが、先祖伝来のレシピでした。家宝の古文書は4冊残されていましたが、その中で加奈子さんが注目したのが、ポルトガル伝来の「ケシアド」というお菓子。夫妻は早速その再現を試みましたが、思うようには行かなかったそうです。そこで加奈子さんは、なんとも大胆な作戦に打って出ました。幻のお菓子“ケシアド”の故郷であるポルトガルへ渡ったのです。

ポルトガルに降り立った夫妻は地元の菓子店を訪ね歩き、やがてケシアドの正体が「ケイジャーダ」と呼ばれる“チーズを使ったお菓子”であることを突き止めました。こうして加奈子さんは、構想から5年の歳月を経て、ついにケシアドの再現に成功したのです。

先祖が伝えたケシアドは、本場のケイジャーダとは少し違っていました。江戸時代にはチーズが無かったので、カボチャを代用していたのです。加奈子さんは先祖のレシピをアレンジし、従来のカボチャにポルトガルで教えてもらったチーズやシナモンを加え、現代版のケシアドを完成させました。発売するや「幻の菓子が復活した!」と評判を呼び、ケシアドは期待を上回る大ヒット商品となったそうです。

思い切ったチャレンジで店のピンチを救った加奈子さんのことを、光昌さんは「100点満点の妻」と高く評価しておられました。

夢をあきらめても、くよくよする必要はない。新たな夢が、きっと待っています

今回、加奈子さんへの取材を通して宇賀アナの心に残った「女神の一言」は、「夢をあきらめても、くよくよする必要はない。新たな夢が、きっと待っています」です。

通訳になる夢をあきらめて家業を継いだ加奈子さんでしたが、ピンチに陥った時に「自分の夢は、この家を息子や孫に繋いでいくことなのだ」と気づいたといいます。「だからこそポルトガルまで渡ることができた」と語る加奈子さんは、ケシアド復活を果たした後も新たな夢を抱いていて、「毎日ワクワクしながら過ごしている」のだそうです。

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