水曜日

伝統守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性に密着。 宇賀なつみアナが体当たりレポートで紹介、応援します。

放送日 2016/09/07

田中恭子(56) 京都で450年続く宇治茶専門店“三星園上林三入本店”の16代目女将

安土桃山時代から続く老舗の16代目女将・田中恭子さん

三星園上林三入(みつぼしえん・かんばやしさんにゅう)本店
住所/京都府宇治市宇治蓮華27-2(平等院表参道)
TEL/0774-21-2636
営業時間/9:00~18:00(年中無休)
◇紹介した商品(価格は全て税込み)
「煎茶 源氏物語 100g袋入」価格:1620円
「玉露 三星園 100g袋入」価格:3240円
「最上抹茶 初昔 30g缶入」価格:3348円
◇抹茶づくり体験(料金は全て税別)
料金:お一人様あたりお菓子付き800円(お一人のみの場合には1600円)
※要予約。当日予約の場合は1000円となります。

宇賀なつみアナウンサーが、伝統や文化を受け継ぎ、生き生きと輝く女性から、人生を素敵に過ごす秘訣などを伺う「継ぐ女神」。今回ご登場いただいたのは、安土桃山時代から約450年間続く、宇治茶のみを扱う専門店「三星園上林三入(みつぼしえん・かんばやしさんにゅう)本店」の16代目女将・田中恭子さん(56)です。

三星園上林三入本店では「宇治でとれた一番茶」のみを扱い、春に1年分を収穫して使っているのだそうです。江戸時代には「将軍家御用達店」として、幕府にお茶を献上していたといいます。当主は代々「上林三入」の名を襲名し、恭子さんはその16代目に嫁ぎました。

三星園上林三入本店の創業は天保年間。過去の顧客には「豊臣秀吉」「徳川家康」「伊達政宗」等々、歴史上の偉人たちが名を連ねています。「加藤清正」とも親交があったそうで、自宅内には清正が朝鮮出兵時に持ち帰ったという壺も家宝のひとつとして保管されていました。

恭子さんの夫である16代目上林三入(61)が見せてくださったのは、なんと「千利休」の直筆の手紙です。「宇治へ参った際に茶会を開くので色々相談をしたい」ということが書かれたその手紙には、利休の別名である「宗易(そうえき)」の名と共に、今で言うところのサインにあたる花押(かおう)も記されていました。この手紙は恭子さんも初めて目にしたそうで、それほど貴重で大切なお宝というわけです。

宇賀アナ絶賛の“究極のお茶”と、最高の茶葉だけを残す“選別”の作業

宇賀アナは恭子さんと16代目の案内で、「平等院」の参道にある三星園上林三入本店にお邪魔しました。そこでいただいたのは、16代目が「究極のお茶」と呼ぶ逸品です。それは意外にも「氷水を使って淹れたもの」で、こうすることで「渋みが少なくスッキリとした味わいになる」のだそうです。江戸時代の人は冷たい井戸水で淹れたお茶を「夏バテ予防」に飲んでいたといいます。

氷水で淹れたお茶は「本当に美味しくて、飲んだ後も口の中に甘さが残る」と宇賀アナも絶賛していました。家庭にある煎茶でも簡単に淹れることができ、一般的な茶葉なら「5分程度」を目安にすると良いそうです。高級な茶葉ほど氷出しに向いており、三星園上林三入本店のものなら「1分程度」で出来るといいます。

一息ついた後は作業場にお邪魔し、歴史ある宇治茶の製造現場を見せていただきました。まず最初に行うのは「茶葉の選別」です。軸や茎の部分も混じった荒茶の中から、目視と手作業で余計な物を取り除いていきます。良い茶葉というのは「透き通って見えるほど葉が薄く、冴えた緑色をしている」のだそうです。この作業は「昭和の初めまでは女性が受け持っていた」といいます。選別を終えた茶葉は、石臼(いしうす)で引きやすいサイズ(5mm四方ほど)へと細かく裁断されます。その後、さらに「4回」にわたって茎などが取り除かれて「最高の茶葉」だけが厳選されるのです。

選別を終えた茶葉は「乾燥(焙煎)」の工程に移されるのですが、その作業場は通常「女人禁制」だといます。宇賀アナは今回、16代目の特別のはからいで入れていただきました。

仕上がりを左右する“焙煎”と、豊臣秀吉ゆかりの石臼

宇治茶資料館
場所/三星園上林三入本店2階
営業時間/9:00~17:00(年中無休)
入館料:無料

乾燥の現場では、90℃の熱風で茶葉を焙煎していました。こちらは16代目いわく「最も大事な、最後の仕上げの場」だそうです。「火入れの仕方が上手いか下手かで、商品である抹茶の香りや味が決まる」のだといいます。16代目によれば「茶葉をかき回す」のではなく、「茶葉を裏返す」のがコツなのだそうです。宇賀アナも少しだけ挑戦させていただきましたが、熱気に翻弄(ほんろう)されて思うように裏返せませんでした。

乾燥を終えた茶葉を石臼で挽けば、ついに抹茶の完成です。今回挽き方を教えてくださったのは、恭子さんの次女・ゆみさんの夫であるトビアスさん。トビアスさんはスイス人で、お茶を買うために三星園上林三入本店を毎年訪れるうちにゆみさんと親しくなり、結婚に至ったといいます。現在は「17代目候補の一人」として修業中だそうです。

石臼は「時計と反対方向に回す」そうで、トビアスさんによれば「1秒間で1周」が適正な速さだそうです。人生初の「自分で挽いた抹茶」をいただいた宇賀アナは「今までに飲んだ中で一番美味しいかも知れない」とご満悦でした。

三星園上林三入本店の所有する石臼の中には、なんと「豊臣秀吉」が愛用したとされるお宝もありました。それは、400年以上も前に金山の石で作られたという「金タレ石臼」と呼ばれるもので、「これで挽かれた宇治の抹茶を秀吉も飲んでいた」と伝えられています。金タレ石臼は、三星園上林三入本店で代々受け継がれてきた道具を展示する「宇治茶資料館」に収められています。

想像もできなかった世界へ嫁ぎ、老舗の女将として開花した田中恭子さん

三星園上林三入本店に恭子さんが嫁いできたのは22歳の時でした。お茶の世界とは無縁の家庭で育った為、慣れるまでには大変な思いをしたといいます。恭子さんの実家は運送業を営んでおり、なんと恭子さんもトラック運転手として活躍していたのです。

16代目とは「お見合い結婚」でした。想像もつかない世界との縁談なので見合いは断るつもりだったそうですが、仲人の手違いで席が設けられてしまい、会うだけ会ってみることになりました。結果、恭子さんを気に入った16代目から猛アタックを受け、ついに結婚が決まったのだそうです。

しきたりが多い未知の世界へ飛び込んだ恭子さんは「老舗の女将」になるべく必死に頑張りましたが、なかなか馴染むことができませんでした。結婚から6年が経った頃、先代女将である義母の美穂子さんから、突然呼び出しを受けました。そこで恭子さんは「ちょっとそろばん、はじいてくれる」と言われたそうです。「そろばんをはじく」とは「帳場を仕切る」ということ。美穂子さんは、それまで自分が預かって来た「大切な店の帳簿」を恭子さんに託したのです。

世代交代を済ませて間もなく、美穂子さんは亡くなったといいます。死の間際に老舗を託してくれた先代女将の想いに応えるべく、それから30年近く、恭子さんは休みもなく働き続けてきました。そんな妻のことを、16代目は「90点くらい、いってるんとちゃいますか」と高く評価していました。今まで面と向かって褒めるようなことはなかったそうですが、内心では働きぶりをちゃんと認め、感謝してくれていたようです。

「道は守る」。無茶は駄目です

今回、恭子さんへの取材を通して宇賀アナの心に残った「女神の一言」は、「『道は守る』。無茶は駄目です」というもの。「わき目もふらず、その道をしっかり守っていくことが大事。自分の道とは違うところで無茶をすれば、お茶がなくなってしまう」というのが家訓なのだそうです。その家訓を肝に銘じている恭子さんにとっては「“毎日同じことの繰り返し”こそが一番の幸せ」なのだといいます。

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