木曜日

玉川徹が“ニュースに潜む疑問”を独自に追及

2018.06.28放送

そもそも 老化は止められるのだろうか?

老化の原因となる「NADの減少」を防ぐ物質とは?

◆紹介したNMNの研究者
ワシントン大学医学部教授/神戸医療産業都市推進機構 先端医療研究センター客員上席研究員
今井眞一郎(いまい・しんいちろう)さん
生物の宿命である「老化」を抑制できるかもしれない物質が、現在研究中だといいます。その物質の名は「NMN」。これをマウスに1年間投与した結果、「老化作用が少し遅れる」ということがわかったそうです。玉川徹さんは今回、NMN研究の第一人者であるワシントン大学医学部の今井眞一郎(いまい・しんいちろう)教授にお話を伺いました。

今井教授によれば、老化というのは「遺伝情報を保っているDNAがダメージを受けたり、細胞自体がストレスにやられたり、慢性炎症が体内で起こることで発生する現象」なのだそうです。

体内に異物が侵入した際、肉体の免疫システムは「炎症物質」を放出して熱・腫れ・痛みなどを起こしますが、これが「炎症」だといいます。炎症が治まった後でも炎症物質の放出が続くことがあり、これを「慢性炎症」と呼ぶそうです。「慢性炎症は血管や臓器の細胞を傷つけ、動脈硬化やがんなどを引き起こす可能性があることが最新の研究で分かってきた」と今井教授はおっしゃいます。

「DNAのダメージ」「細胞のストレス」「慢性炎症」は、「NAD」と呼ばれる物質を減らす現象だといいます。このNADは「あらゆる生命活動の基となる物質」で、「酸素呼吸でエネルギーを取り出す際に不可欠なもの」だそうです。「NADの減少が老化の原因」と語る今井教授は、「NADを増やす働きがある物質」として、冒頭で述べた「NMN」の研究をされているのです。

NADを増やす物質「NMN」に期待される効果とは?

NMNは、正式名称を「ニコチナミド・モノ・ヌクレオチド」といい、「NADが生成される前の物質」なのだそうです。だから、これを補充することでNADが増え、老化を遅らせる様々な現象が起こるのだといいます。マウスへの投与実験では、「エネルギー代謝の上昇」が認められ、月齢17カ月のものが6カ月程度若返った状態になったそうです。それは人間に換算すると、「60歳前後の人が40歳くらいの機能に戻る」ようなものだといいます。

また、血中のコレステロールや中性脂肪の値も改善されるそうです。さらに、今井教授が7年前に発表した研究によると、「糖尿病のマウスにNMNを投与したところ、すい臓や肝臓の機能が改善した」そうです。他にも、加齢によって低下する「骨密度」「免疫細胞」「脳細胞」の増加にも効果があることが、2016年に証明されているんだとか。

このように、マウス実験では「老化を抑制する効果」が確認されているNMNですが、果たして人間への効果はどうなのでしょうか? こちらは現在研究中だそうですが、今井教授が在籍するワシントン大学では臨床実験が進んでおり、「今年の終わり頃には結果が分かってくるのではないか?」ということです。また、気になる「副作用」の問題ですが、「短期間のマウスへの投与実験では特に認められていない」といいます。ただし、「長期投与」や「人間への投与」の副作用についてはまだ未知数だそうです。

ワシントン大学での臨床実験によって「人間にも効果がある」と証明された場合、実用化はいつ頃になるのでしょうか? 「1~2年くらいの間」と今井教授はおっしゃいました。「臨床実験の結果が今年の終わりから来年の頭ぐらいの間に分かれば、そう遠い話ではない」のだそうです。今井教授がNMNを使って延ばそうとしているのは「健康寿命」だといいます。「医療や介護に依存せず、自立した生活が送れる健康状態を持続させる」というのが、研究の目的なのだそうです。

今回の取材を通じて玉川さんは「病気だけでなく、老化自体が近未来に解明されていくのでは」という感想を抱いたそうです。