水曜日

伝統守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性に密着。 宇賀なつみアナが体当たりレポートで紹介、応援します。

2018.06.06放送

佐藤淳子(66) 山形・山形市で197年続く伝統和菓子「乃し梅」の老舗「佐藤屋」7代目女将

山形・山形市で197年続く「佐藤屋」7代目女将・佐藤淳子さん

乃し梅本舗 佐藤屋
住所/山形県山形市十日町3-10-36
TEL/023-622-3108
FAX/023-642-4804
営業時間/8:30~18:00
定休日/なし(元日のみ休業)
紹介した「乃し梅(5枚入り)」540円(税込み)
宇賀なつみアナウンサーが、伝統や文化を受け継ぎ、生き生きと輝く女性から、人生を素敵に過ごす秘訣などを伺う「継ぐ女神」。今回ご登場いただいたのは、「山形県民なら誰もが知る」とまで言われる伝統和菓子「乃し梅(のしうめ)」の老舗「佐藤屋」の7代目女将・佐藤淳子(さとう・じゅんこ)さん(66)です。

乃し梅というのは、山形の名産品である梅の実をペースト状にし、砂糖と寒天と混ぜて木枠で固めて作る素朴なお菓子のこと。竹の皮の中で黄金色に輝く見た目はなんとも爽やかです。実は元々は「夏バテなどを防ぐための薬」として広まったものだといいます。

江戸時代の自宅が描かれている「歌川広重の浮世絵」が家宝

宇賀アナは昭和9年に建てられたという、淳子さんの店舗を兼ねた自宅へ案内していただきました。広さもさることながら、宇賀アナが圧倒されたのはその豪華さです。見せていただいた「蔵座敷」は「蔵の中に座敷を設ける」という建築様式で、豪商などお金持ちの邸宅の定番だったもの。厚い壁や扉で、火災時には内部の家財を守ります。

宇賀アナを出迎えてくださったのは、淳子さんの夫で7代目当主の松兵衛(まつべえ)さん(67)と、8代目の長男・慎太郎さん(38)。佐藤家では、代々の当主が「松兵衛」を名乗るのだそうです。

蔵座敷の中で見せていただいた佐藤家の家宝は、代々受け継いできたという「浮世絵」です。「湯殿山道中略図」という題名で、作者はかの「歌川広重」なんだとか。江戸時代に広重が、出羽三山(でわ・さんざん)詣りで賑わう山形の様子を描いたものだといいます。

この浮世絵は、佐藤家にとっては単なる古美術品ではありません。なんと絵の中に、当時の「佐藤屋」の姿が描かれているというのです! なるほどよく見れば、「(さ)」という屋号が見て取れます。

この浮世絵、果たしてどの位の価値があるものなのでしょうか? 番組ではプロによる鑑定を試みました。松兵衛さんの予想は「高ければ50万円」でしたが、慎太郎さんはそれよりグッと低めの「8万円」。「自分が8代目だし、末広がりの数字だから」ということです。

気になる鑑定の結果は…「10万円」というものでした。松兵衛さんの予想は大きく下回ってしまいましたが、「間違いなく本物である」というお墨付きをいただけて、皆さん満足げな表情を浮かべておられました。

すべて手作業で1日7000枚の乃し梅を製造する現場

宇賀アナは、乃し梅の製造現場へ特別に入れていただきました。乃し梅作りにおいて重要なのは「均等な厚みを保つ」ということ。どこを食べても同じ食感になるよう、なんと水平器を使って正確に測っているそうなんです。

寸分の狂いもない状態で木枠に入れられたものを一晩寝かすと、大きなシート状の乃し梅が出来上がります。「ガラスを貼った木枠を使う」というのがこだわりで、それによって「つるっとした舌触りの、きれいな仕上がりとなる」のだそうです。

柔らかな仕上がりになっているか1枚1枚確認すべく、枠から外す作業はすべて「素手による手作業」で行われます。この作業に、宇賀アナも挑戦させていただきました。なめらかな仕上がりの乃し梅を取り出せた宇賀アナは感嘆の声を上げていました。

枠から外したものを10枚重ねて専用の包丁でカットし、手作業で丁寧に竹の皮で包めば、200年近くも愛されてきた郷土の味・乃し梅の完成です。佐藤屋では1日におよそ7000枚の乃し梅を製造しているのだそうです。

出来立てを試食させていただいた宇賀アナは、初めて味わう乃し梅を「爽やかな酸味が後から口の中に広がって、夏に食べたら暑さが吹き飛ぶ感じ」と評していました。

「菓子職人としての英才教育」を受け、ヒット商品を生み出した8代目

紹介した商品(全て税込み価格)
「たまゆら(6個入り)」1080円 ※6月10日までの期間限定。店頭のみでの販売
「乃し梅~る」432円、「佐藤屋の乃し梅シロップ(205ml入り)」1296円 ※お店のHPから購入可
幼い頃から乃し梅が大好物だったという淳子さん。その老舗の跡取りである松兵衛さんから「乃し梅、食べ放題だよ」という言葉でプロポーズされた時は大喜びしたといいます。しかし、淳子さんが嫁いできた時にはもうすでに伝統和菓子の人気が下降していたそうで、かつては12軒もあった店舗も半分になってしまっていたのだとか。

そんな厳しい状況を乗り切るべく、淳子さんは後継者たる我が子たちに「菓子職人としての英才教育」を施したといいます。それは「洋の東西を問わず、全国の有名菓子店の逸品を片っ端から食べさせて、味覚を磨く」というもの。食べさせたお菓子の数は、なんと「4000個」を超えたそうです。そこには「それぞれの代で、乃し梅のようなヒット商品を生み出せなければ、老舗を維持することはできない」という信念があったといいます。

そうした努力の甲斐あって、8代目の慎太郎さんは、すでに2万個を売り上げたヒット商品を考案したそうです。それは、白あんと寒天で固めたチョコレートの上に乃し梅をのせた「たまゆら」というお菓子。試食させていただいた宇賀アナも「甘酸っぱさがチョコとよく合う」と目を細めていました。

慎太郎さんは他にも、乃し梅入りのレターセット「乃し梅~る」や、かき氷にかけたり水や炭酸で割って飲める「佐藤屋の乃し梅のシロップ」など、8代目となってから10年足らずで、実に50個以上もの新商品を出したといいます。思いつくまま商品を作り続ける息子を、淳子さんは「慎重の“慎”を名前に入れたのに、全然慎重じゃない」と笑いますが、それに慎太郎さんは「“慎”の字があるおかげで、ちょっと抑えられている」と返していました。

過去の栄光にすがらない! 新しいことをやって、初めて伝統は守れる

今回、淳子さんへの取材を通して宇賀アナの心に残った「女神の一言」は、「過去の栄光にすがらない! 新しいことをやって、初めて伝統は守れる」です。それを実践することで店を盛り返した淳子さんは、「時代の流れを感じ、良し悪しを知り、自分自身で比較することこそがヒットを生む秘訣」とも語っておられました。