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2017.10.03放送

有名料理人も愛用!食材の味も変化!?希少“天然砥石”

『天然砥石にこだわり40年』

◇砥取家(京都府亀岡市)
※詳細は砥取家のホームページをご覧ください(電話番号は非公開となっています)
◇森のステーションかめおか 匠ビレッジ 天然砥石館(京都府亀岡市)
※詳細は匠ビレッジ 天然砥石館のホームページをご覧ください(電話番号は非公開となっています)
包丁などを研ぐ「砥石」。土橋要造さん(66)は、希少な「天然砥石」にこだわり、40年に渡り作ってきました。プロの料理人にも愛用され、「野菜でも魚でも切ると、より美味しくなる」と語るのは、京都の老舗料亭「菊乃井」の主人・村田吉弘さんです。土橋さんの砥石で包丁を研ぐと、食材の味にも変化が出るのだそう。今回の「聞きトリ」は、ミシュランの星も獲得する店の料理人が絶賛する砥取家4代目・土橋さんの仕事に迫りました。

京都府亀岡市にある丸尾山。土橋さんの砥石は、この山中から取り出した原料を加工して作られています。掘り出すのは土橋さんただ一人、しかも「手掘り」。およそ2億5000万年前の地層で、火山灰やプランクトンの死骸などが積もってできた、粒子の細かい岩を採りだします。

その同じ地層から採った岩でも、「筋があると刃物の先が引っかかり、うまく研げない」ため、筋が多いか少ないかで砥石の値段も異なるのだそうです。

『砥石のきめ細かさは頬で確認』

工房で砥石の形にカットしたら、機械で表面を削り、出来るだけ筋をなくし平らにしていきます。さらに、ダイヤモンドの粉を吹き付けた「面直し道具」で磨いていくと、表面はツルツルに。その「きめ細かさ=ツルツル具合」を確かめるために行うのは、「頬に当てる」こと。土橋さんいわく、「敏感ですので、手よりよくわかる」そう。

この“テスト”に合格したものが商品となります。土橋さんの砥石の実力を知るべく実験したところ、新品の包丁でも研ぐ前と後で切れ味の違いがはっきりとわかりました。また、切った野菜を食べ比べてみると、なんと7割の方が研いだ包丁で切った野菜のほうがおいしいと答えるという結果に。

慶應大学の鈴木隆一さんによれば、研いだ包丁は切れ味がよく、野菜の細胞壁を壊さないため、うまみや風味が損なわれないと考えられるといいます。

『砥石の原料となる地層探しからスタート』

1877年から3代続く砥石職人の家に生まれた土橋さん。大学卒業後は、自ら望んで砥石の世界に飛び込みました。しかし、3代目の父親の元で修業を重ねて一人前になった頃、それまで掘っていた山では砥石の原料が採れなくなっていました。4代目となった土橋さんの職人人生は、砥石の原料となる地層を探すことからのスタートとなったのです。

5年探しても見つからず、生活は苦しくなっていきます。マツタケ狩りで生計を立てようと、丸尾山に入ったある日、倒れていた松の木の根元に、偶然にも砥石の層を見つけました。ようやくスタートラインに立てたと喜んだのもつかの間、時代の主流は研磨剤などを固めて作る人工砥石。厳しい時代でしたが、「天然砥石の素晴らしさをみなさんに知ってもらいたいと頑張りました」。

実演して見せるだけでは天然砥石の良さは伝わらないと、科学的な分析を行う調査機関に頼みこみ、砥石で研いだ包丁の効果を味覚センサーで証明。その結果をホームページに載せると、世界30か国の料理人から注文が入るまでになりました。

『世界中の砥石を集めた“砥石館”』

天然砥石に人生を掛ける土橋さん。その想いが溢れるあまり、去年9月には世界中の砥石を集めた「天然砥石館」をオープン。館長の上野大成さんは、土橋さんの良き理解者です。

『諦めずにコツコツと』

砥石を愛してやまない土橋さんにとって、「人生で成功するために必要なこと」とはなんでしょうか。「諦めずにコツコツやってきたことかなと思っております」。その答えは、自身の歩みそのものです。天然砥石の良さを多くの人に知ってほしいと「ひと踏ん張り、ふた踏ん張りしてきました。やっぱり砥石が好きなんでしょうね」。

土橋さんはきょうも天然にこだわり、砥石を作り続けています。