「ニュース写真年間最優秀賞」に輝いた、東名高速道路の凄惨な交通事故写真。そのシャッターチャンスは"十万分の一の偶然"と評された。だが、果たしてそれは本当に偶然なのか? 愛する娘をこの事故で失った父親の、執念の追跡が始まる――。
1980年3月から1981年2月にかけて『週刊文春』に連載され(※書籍化は1981年)、週刊文春「傑作ミステリーベスト10」年間5位に輝いた『十万分の一の偶然』は、日本屈指のミステリー作家・松本清張が手掛けた長編ミステリー。この清張後期の傑作と名高い作品が今冬、田村正和主演でスペシャルドラマ化される! ドラマ版では「報道写真の生態を暴いて、現代社会にひそむ病根を剔出した」と言われた原作に、「父と娘」という新たな視点をドラマに交えて映像化。田村をはじめとする豪華キャスト陣と最高のスタッフで、"推理性と社会性に富む人間ドラマ"を作り上げる!
自らが主演を務めたスペシャルドラマ『松本清張生誕100年特別企画 疑惑』(2009年1月放送)は18.5%の視聴率を記録!――。世間が今か今かと待ち焦がれていた田村正和の最新主演ドラマは、奇しくも、清張作品となった。
そんな待望の最新作で、田村が演じるのは最愛の娘を交通事故で失ったフリーのルポライター・山内正平。家族を愛する気持ちは人一倍強いにもかかわらず、仕事に没頭するあまり、家族を顧みずに犠牲にしてきた、不器用な男だ。ところが事故の後、あるアマチュア・カメラマンによって撮影された一枚の写真を契機に、彼の人生は一変する。凄惨な事故現場を写し、"十万分の一の偶然"と称えられたその写真には、娘の最期の瞬間が収められていたからだ! 娘はなぜ死ななければならなかったのか、この写真は本当に偶然撮影されたものなのか――その真相を執念で突き止めていく正平。彼の内に秘めたる苦悩と悲哀、娘を思うがゆえの執念を、田村が細やかに体現。じわじわと内側から滲み出る鬼気迫る演技で、視聴者の心を揺さぶる!
日本が誇るベテラン俳優・田村正和を取り囲む共演陣もまた、実に豪華だ。事故死した正平の娘・山内明子には中谷美紀。"十万分の一の偶然"と称賛された写真『激突』を撮ったアマチュア・カメラマンの山鹿恭一には高嶋政伸、正平の妹・恵子と、事故の唯一の生存者が入院している病院の看護師に内山理名、明子の婚約者・塚本暁には小泉孝太郎、正平の妹・山内恵子には岸本加世子、正平と旧知のカメラマンに若村麻由美、事故を不審に思う雑誌編集者に松下由樹、沼津南署の刑事・岩瀬厚一郎には内藤剛志、『激突』を「ニュース写真年間最優秀賞」に推薦した写真評論家の大家・古家庫之助には伊東四朗をキャスティング。実力派が一堂に会し、渾身の芝居を展開しながら、本格的な人間ドラマを作り上げていく。また、ナレーションは石坂浩二が担当する。
そんな骨太な作品の舵を取るべく、キャストとスタッフを引っ張っていくのは、過去に何度もタッグを組んだ田村から厚い信頼を寄せられるベテラン演出家・藤田明二。その細やかな演出で、人間の心の機微を丁寧に描き出し、物語をさらにスリリングなものへと昇華させていく!
モンゴルの平原で取材を続けるフリーのルポライター・山内正平(田村正和)のもとへ、一人娘・明子(中谷美紀)の婚約者・塚本暁(小泉孝太郎)から思わぬ悲報が届いた。妻が亡くなって以来、男手ひとつで育ててきた明子が、入院中の叔母・恵子(岸本加世子)を見舞うために横浜から沼津へ向かう途中、東名高速道路で玉突き事故に巻き込まれて死亡したのだ。しかも取材で遠出をしていた正平がその知らせを受けたのは、事故から実に1カ月が過ぎた後のことだった…。
かくして、正平は急きょ帰国することになった。ところが帰路の機内で、正平は一枚の写真を目にすることとなる。娘が亡くなった事故の瞬間を偶然捉えたというその写真には、無情にも娘の最期の姿が写し出されていた。娘はなぜ死ななければならなかったのか――帰国した正平はもはや、そのこと以外考えることができなかった。
『激突』というタイトルが付けられたその写真は、山鹿恭一(高嶋政伸)というアマチュア・カメラマンが夜景を撮影しに出掛けた際、偶然にも事故を目撃し、本能的に撮ったものだったという。写真評論家の大家・古家庫之助(伊東四朗)が「十万分の一の偶然」と大絶賛したその写真によって、山鹿が「ニュース写真年間最優秀賞」を受賞したことを知り、授賞式へと向かう正平。そんな彼の耳に、週刊誌の編集者・小泉恵美子(松下由樹)が山鹿に投げかけた質問が飛び込んでくる。
「あの事故でたった一人の生存者が、事故の直前、『赤い火の玉を見た』と言っているのですが…」。
赤い火の玉…。それは一見、事件とは無縁のような突飛な言葉だった。しかし、正平にはその言葉がどうしても引っかかる。もし、その"赤い火の玉"が事故に影響を及ぼしていたとしたら…? 疑念を拭えない正平は、愛する娘の死の真相を突き止めるべく、自らの足で執念の追跡を開始する――。
山内 正平
田村 正和
東名高速道路で起こった玉突き衝突事故に巻き込まれて死んだ山内明子の父で、フリーのルポライター。海外の地をめぐり、その土地で生きる家族を取材している。20年前に妻を亡くして以来、男手ひとつで娘を育ててきた。取材でモンゴルの平原に長期滞在し、日本とは連絡が取れない状況でいる間に、明子が事故死。1カ月後に連絡を受け、帰国する。娘の最期の姿が写った写真『激突』を撮影した山鹿恭一に対して、編集者・小泉恵美子が放った「赤い火の玉」という言葉と、それに対する山鹿の瞬時の反応から、事故の発生経緯に疑念を抱き、執念で真相を追求していく。
山内 明子
中谷 美紀
山内正平の娘。沼津の大学病院に入院中の叔母・山内恵子を見舞うため、自宅のある横浜から東名高速道路を使って移動していたところ、玉突き事故に巻き込まれて死亡した。不器用で仕事一筋の正平とは疎遠になりがちではあったが、父の愛は痛いほど感じ取っていた。
山鹿 恭一
高嶋 政伸
夜景を撮影しに出掛けた際、山内正平の娘・明子を含む死者5名、重傷者1名を出した東名高速道路の大事故の瞬間に遭遇し、写真を撮ったアマチュア・カメラマン。"十万に一つの偶然"に恵まれた、『激突』という名のその写真により、「ニュース写真年間最優秀賞」を受賞したのだが…。
布川 麻奈美
内山 理名
山内正平の妹・恵子と、東名高速道路の大事故の生存者・米津安吉が入院している沼津の大学病院の看護師。米津に会いに来た正平と、米津の妻を引き合わせる。
塚本 暁
小泉 孝太郎
山内正平の娘・明子の婚約者。モンゴルに滞在中の正平に、明子の事故の一報を伝える。事故後1カ月も連絡がつかなかった正平を身勝手だと捉え、苛立ちを覚えている。やがて、ある事件の容疑者として逮捕されてしまい…!?
山内 恵子
岸本 加世子(友情出演)
山内正平の妹。姪である山内明子が亡くなった事故の唯一の生存者・米津安吉も入院している沼津の大学病院で、肝移植のドナーを待つ身。他人には伝わりづらい正平の不器用さ、家族を愛する気持ちを理解している。
越坂 奈月
若村 麻由美
山内正平と旧知のカメラマン。『激突』撮影時の状況に疑念を抱いた正平から連絡を受け、プロのカメラマンとしての見解と知識をもとに、事故発生時の事実の解明に協力する。
小泉 恵美子
松下 由樹
東都出版『週刊スパーク』の編集者。「ニュース年間最優秀賞」の授賞式で山鹿恭一に対し、唯一の生存者・米津安吉が事故直前に見たと証言した「赤い火の玉」について詰問する。事故全体に不審なものを感じており、正平に取材した情報を教える。
岩瀬 厚一郎
内藤 剛志
沼津南署の刑事。山内正平の娘・明子の死後、署にやって来た正平を事故現場へと案内する。自身にも大学生になる娘がおり、正平の境遇に同情している。
古家 庫之助
伊東 四朗
写真評論家の大家。山鹿恭一が撮影した『激突』を、自らが審査委員長を務める「ニュース年間最優秀賞」に強く推薦した。ジャーナリズムに対し、山内正平とは相対する持論を持つ。また、正平とは過去に少なからぬ因縁がある。