2011年4月、「報道ステーション」は番組開始から、8年目を迎えました。
これを機に、スタジオセットなどと共に、オープニングもリニューアルすることになったのです。オープニングとは、本でいえば「表紙」であり、番組のコンセプトを表現する場所でもあります。
そもそも「報道ステーション」とは、どういう番組なのか、何を伝えようとしているのか、もう一度、原点に立ち戻って考えることから、オープニングの制作は始まりました。
確かに、私たちが日々お伝えするニュースは決して明るいものばかりではありません。悲惨なつらいニュースであっても、しっかりお伝えしなければいけないのが現実です。それでも、ご覧くださった方々、取材に協力してくださった方々に、少しでも「希望」を持っていただけるような番組にしたい、というのが私たちの出発点でした。

そこで、オープニング作りに思案を重ねていく中、何より大切にしたかったのは「アナログ感」です。世の中は、あらゆる分野でデジタル化が進み、便利で、効率的なものへと、めまぐるしく変化しています。もちろん、放送の世界も例外ではなく、技術が進むことは、本当にすばらしいことです。ただし、どんなに技術が進んでも、番組をご覧くださるのは「人」であり、番組を作るのも「人」。視聴者の皆さんの心に届くものをつくるには、不器用な人間臭さや、温もりが感じられるものにしたい、だからこそ、効率は悪くても、手間隙がかかっても、手作り感のある「アナログ」を大切にしたい、と思っていました。

そんな中で出会ったのが、一本の「赤い糸」で、人のつながりを描いた映像作品です。
最初の印象は、「なんだ、これは・・・」
現在、様々なメディアで、美しい色彩や、迫力の映像があふれる中、たった一本の「赤い糸」だけで、人の動きをリアルに表現した手法が、かえって新鮮だったのと同時に、「みんなつながっている」というメッセージに心を揺さぶられました。
そして制作者は、まだ25歳の東京藝術大学の大学院生だとわかり、さらに驚かされました。お会いしてみると、ボサボサッとした、いかにも「芸術やってます」といった感じの純朴な青年・・・。
まだ学生の彼に、本当にお願いしていいのか、という不安を抱えつつも、
若い才能にかけてみようと意を決しました。
「報道ステーションのオープニング作りに参加してもらえませんか」とお願いしたところ、
「是非やりたいです!」と快諾してもらい、オープニング制作が始まったのです。

同じころ、テーマ曲についても、あらゆるジャンルで検討を重ねていました。
そんな時、街のCDレンタル店で何気なく手にしたジャズのアルバムに、
思わず聞き惚れてしまったのです。
ニューヨーク在住、26歳の日本人女性ピアニスト。
そのピアノは、元気で力強く、どこかすっとぼけたような明るさと同時に、
せつなさも兼ね備えた、ドラマチックな音色でした。
インディーズレーベルから出されたアルバムは、アメリカの音楽大学卒業をきっかけに
自主制作したもので、CDジャケットも自ら描いたとか・・・。
その経歴が、これまた異色で面白い。(詳しくはプロフィールで)
お会いしてみると、予想に違わず、一瞬にして周囲をパッと明るくする
「天真爛漫な超元気娘」という印象の女性でした・・・。
テーマ曲作りへの参加をお願いしたところ、「やります!」と言っていただきました。

映像作りにしても、テーマ曲作りにしても、
二人にとってニュース番組のオープニングは初めてのこと。
手探り状態の中、試行錯誤のオープニング制作となりました。