更新日2006.12.6.
輓曳競馬(ばんえいけいば)をご存知ですか?

輓曳競馬(ばんえいけいば)をご存知ですか?

私カワノ、生まれて初めて見てきました。

『輓曳(ばんえい)競馬』とは、『輓馬(ばんば)が騎手と重量物を載せた橇(そり)を
ひき、障害を設けた走路で行う競走』です。

輓馬(ばんば)はもとをたどれば農耕馬で、昔から重いものを曳いてきた馬なだけ
あってめちゃめちゃゴツイです!
首や足も筋骨隆々・極太。特にお尻から太ももにかけての筋肉は恐ろしいぐらい。
          

でも、恐る恐る近づいてみると実はすごく優しい目をしているんです…。
長いまつ毛に透き通った瞳。
なんだか向き合っていると、頭の中で考えていること全てを見透かされそうな真っ直ぐな目です。

輓曳(ばんえい)競馬は公営で、もともと岩見沢・北見・旭川・帯広の4市で開催されていたのですがここ数年はずっと赤字が続き、今その存続が危ぶまれています。
帯広で現在行われている開催を最後に、輓曳(ばんえい)競馬が永久になくなってしまうかもしれないのです。

今回初めて間近で見た輓曳(ばんえい)競馬は一言でいえば『エキサイティング』でした。

200mの直線コースの中に第一障害、第二障害と呼ばれる山が2つあり、第二障害の前で、進みたがる馬を一旦止めて、ためを作った上で爆発的なラストスパートを仕掛けます。
その中でも逃げ切りタイプ、追い込みタイプなど馬によって得意なレース展開があるため、誰がいつ仕掛けるのか騎手同士のかけひきがまた見物です。

そしてお客さんがコースのすぐ横で並走しながら観戦できるのも大きな魅力の一つですね。お目当ての馬が止まったら一緒に止まり、走り出したら一緒に進む…というように。
実際に並走してみると騎手の方のかけ声が聞こえるし、自分の声も届くもんだから応援に力が入り、この上なくワクワクします。

鼻水も一瞬で凍るほどの寒さの中で真っ白な息を吐きながら黙々とそりを曳く馬を見て
いると「あと○m!!頑張れ!頑張れ!!!」と声を出さずにはいられなくなります。

今回、取材していく中で輓曳(ばんえい)競馬に関わる色々な人のお話を聞きました。
調教師、騎手、競馬場のラーメン屋さん…。
もし輓曳(ばんえい)競馬が本当に終わってしまったら、輓馬(ばんば)を愛し、
輓曳(ばんえい)競馬を形作る彼らは皆、職を失います。
そして、あの優しい目をした輓馬(ばんば)たちのほとんどが食用の馬肉になってしまうそうです。

 輓曳(ばんえい)競馬がなくなってしまったら、輓馬(ばんば)が他で活躍できる場所は残念ながらないに等しいのです。
数頭が観光地に行けるかどうかぐらいで…。

帯広市が『なんとか単独開催できないか検討する』ということで今のところ最後の希望となっていますが『かなり厳しい状況だろう』というのが現実的な見方です。

恥ずかしながら私は、取材をするまで輓曳(ばんえい)競馬の魅力も現状も何も分かっていませんでした。
でも『まだ全国には、私のように輓曳(ばんえい)競馬をよく知らず、実際に一度見てみたらあの魅力にはまり、何とか存続させて欲しいと思う人がきっといる。』ということと、

 『歴史ある輓曳(ばんえい)競馬は、世界中で北海道でしかやっていないのに、本当になくしてしまっていいのだろうか』という気持ちだけは強く残りました。