特別養子縁組とは

特別養子制度とは

養子縁組に関する決まりごとは、民法で定められているのですが、昭和62年(1987年)に大きな法律改正が行われ、既存の「普通養子制度」に加え、「特別養子制度」が新設されました。「普通養子制度」は、基本的に成人のための養子縁組にかかわる制度なのですが、「特別養子制度」は、子供の福祉を主な目的とした制度という点で異なります。つまり、家庭に恵まれない子に温かい家庭を与え、健全な育成を図ることに主眼を置いた制度が「特別養子制度」です。

成立の条件

特別養子縁組は、実の親に育成されるよりも、養父母に養育される方が、子どもの利益になる場合にだけ、成立が認められます。成立すると、実親の血族との親族関係は終了し、養子になる子どもにとっては、法律上の親は養親だけになります。そのため、特別養子縁組の成立には様々な条件が設けられ、最終的には裁判所によって慎重に審判がなされます。ここ10年の司法統計によると、1年間に特別養子縁組が認容されるのは、全国で300~400件くらいです。

成立の条件としては、「法律婚をしている夫婦が共に申し立てなければならい」「養親となる夫婦の年齢が25歳以上でなければならない」「養子となる子どもは6歳未満でなければならない」「実父母の同意がなければならない」といったことが挙げられます。ただし、これらの条件には、例外的な規定もあります。

こうした条件の中で、特に重要なのが、「試験養育期間が6か月以上必要」という項目です。養親が養子となる子どもを引き取り、同居してから6か月以上の養育状況を見て、親子としての関係が成立しているか裁判所が確認した上で審判がなされます。この時間が、養親となる夫婦にとっても、養子となる子どもにとっても、厳しい試練の時となります。また、「養親からは絶対に離縁できない」という点も重要で、養親になる夫婦には、相当な覚悟が必要といえます。

親子になるための試練

6か月という「試験養育期間」は、新しい親子にとって厳しい試練の時でもあります。養子となった子どもたちは、年齢に関係なく、「本当にこの人たちは、自分を本気で、そして無条件に引き受け、子どもとして愛してくれるのか」を確かめようとします。彼らは、言葉では説明できない不安感を抱え、あらゆる方法で養親が信頼できるかを確かめようとするのです。それは「試し行動」といわれ、様々な問題行動を何度となく繰り返し起こします。飲み物を床にまいたり、極端な偏食をしたり、時には部屋を荒らし回ることさえあるといいます。また、一定の期間「赤ちゃん返り」して母親を求める子もいます。養親と養子が本当の意味で親子になるには、数多くの試練が待ち受けているのです。

制度としての問題点

子どもの福祉に主眼を置いた「特別養子制度」ですが、制度としての問題点も少なからず存在します。例えば、「6歳未満という年齢制限」は、養子縁組が必要な6歳以上の子どもが、新たな暮らしを始める機会を狭めてしまいます。また、「実親の同意が必要」という条件は、様々な事情で特別養子の同意に非協力的な実親もいるため、手続きが滞ったりトラブルになった事例が数多く報告されています。ほかに、審判や届出など手続き上の問題や、個人情報の取り扱い問題なども指摘されています。これらの事実をふまえた上で、この制度が持つ意味を知り、考えることが、子どもたちが直面している問題と向き合う最初の一歩になるのではないでしょうか。

参考文献 『子どもの養子縁組ガイドブック』(2013年12月15日初版、家庭擁護促進協会大阪事務所編集、岩﨑美枝子監修、明石書店)