● ● ● ● 10月21日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 (テレビ朝日アナウンサー)
島本 真衣 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 原 修一(映像ディレクター)

【放送内容】

「日本のCMを作ろう!」
世界の子どもたちに向けた、日本のCMを、日本の子どもが作る…でも、日本って?
カメラも、演出も、みんな初めてのことばかり。ぶつかり、励まし合い、悩みに悩んで、
子どもたちは、どんな日本を伝えるのでしょうか?
夏休み、日本のCM作りに挑んだ子どもたちに密着しました。


スタジオ

吉澤)
今回は、子どもたちが、日本を世界に紹介するCM作りの様子をご紹介します。

島本)
これは、子どもたちと一緒にビデオ作りを通して地域の問題をとらえ、
社会に訴える運動を進めている国際NGOが、活動の一貫として、日本の
情報を発信することを目的に行ったものです。早速、CM作りの様子をご紹介します。

VTR(1)

5月20日。東京・渋谷の児童会館で、第一回目の研修が行われました。
参加者は、中学、高校生など約20人。
このプロジェクトの主催はNGOのプラン・ジャパン。
世界各国のプランでは、これまで、発展途上国の子どもたちが、自分たちの国や、
地域が抱える問題について、子どもたち自身が映像を作って訴える活動をしてきました。
日本では、初めての試みです。
講師は、テレビコマーシャルなどの制作に携わる、映像ディレクターの原修一さん。
まずCMには、表現方法により、ドキュメンタリー型、ドラマ型など、様々なタイプが
あることをこどもたちに教えていきました。
さらに世界の子どもたちが、日本にどんな印象を抱いているか、VTRが上映されました。
CMの制作期間は、企画会議から撮影、編集まで、僅か4日のハードスケジュール!!

6月17日。第2回目は、企画会議。原さんは、日本というのはどういう国なのか、
これまでの固定概念を捨て、自由な発想から話し合おうと提案しました。
思い付いたことをどんどん書き出す。CMの基本、ブレインストーミング。

●グループ分けと各担当●
グループ(1)
プロデューサー斉藤さん(高校1年)、監督戸部さん(高校1年)、カメラマン石崎さん(中学2年)、乃万さん(中学3年)。
グループ(2)
プロデューサー平尾さん(高校3年)、監督森さん(中学2年)、玉城さん(高校1年)、カメラマン高山さん(中学2年)。
グループ(3)
プロデューサー倉田さん(高校1年)、監督は安増さん(高校2年)、カメラマンに小泉さん(小学6年)。


7月29日。二回目の企画会議。今日は、どんなCMを作るかがテーマ。
宿題として、各自が絵コンテを書いてきました。これを元に話し合い、
みんなで一本のCMを作っていきます。
グループ(2)の監督、森さんが、夏をテーマにすることを提案しました。
玉城さんの絵コンテにも、「サマー イズ クール」というキャッチコピーが。
グループ(2)は日本の夏を紹介することにまとまり、夏の要素を、
みんなで挙げていくことに。こうした話し合いの結果、グループ(2)は
「サマー イズ クール」をキャッチコピーに、夏を涼しくするための知恵、
日本の文化を紹介していこうというものになりました。
会議の後は、撮影場所の下見。
グループ(2)は、インターネットで見つけた古民家博物館。
初めて見る茅葺(かやぶき)屋根(やね)の家に、皆、大はしゃぎ。
カメラの構図もあれこれ。イメージがどんどん膨らんだようです。

スタジオ(2)

吉澤)
子供達の企画から下見まで、ご紹介しましたが、プロの目からご覧になって、
どうでしたか?

原)
色々な意見が出たのですけど、古い日本、古い日本の伝統文化というものが
優れている文化で、それを海外の子供達に紹介したい、
という意識がすごくあったというのが、意外でした。

吉澤)
現在の進歩した日本ではなくて昔あった良い日本ということみたいですね。
「サマー イズ クール」それが日本なんだというのが、不思議な感じがしますがー。

原)
「サマー イズ クール」というのは、“普通のコマーシャル”として考えても、
良いコピーだと思います。
日本の夏は暑いのだけど、それを楽しむ文化がある、というのは凄いこと。

吉澤)
環境省のコピーとしても良いですね(笑)


VTR(2)

下見から一週間後、撮影本番を迎えました。
「暑い夏を涼しく過ごす日本の文化」をテーマにしたグループ(2)
まずは、渋谷駅前での撮影から。都会の夏の暑い様子を撮る予定。
カメラをセットして撮影開始。ところが!道行く人達がカメラの前を避けるように
歩いて行きます。これではダメ。カメラの向きと構図を変えて、今度は上手くいきました。
なんとか渋谷の撮影は終了し、電車で川崎の「古民家野外博物館」へ移動。
原さんのお嬢さんも、CMの出演者として、浴衣姿で特別参加。
ここで狙うカットは、茅葺屋根の農家の縁側が舞台。
懐かしい日本のイメージでしょうか。
カメラマン高山(中2)さんは、小道具として風鈴を軒先に吊るします。
これは、百円ショップでみつけたもの。
縁側に浴衣のモデルが座り、カメラ位置を決めるのですが、ここでトラブル発生。
カメラマン高山さんが、監督の玉城(高1)さんの指示を無視して暴走。
高山さん、モデルと、小道具の風鈴、蚊取り線香を同じ画の中にまとめようと四苦八苦。
たまらず、監督の玉城さん「何が何だか分からない」と一言。縁側に佇む浴衣美人。
いっぺんに撮影せず、カットを分けて撮ることに。険悪な空気も治まって、撮影開始です。

一方、「日本のやさしさ」をテーマに掲げたグループ(3)は、妹が兄を気遣う、
そのさりげない“やさしさ”から日本の良さを表現しようというストーリー。
撮影場所に選んだのは、巣鴨地蔵商店街。カメラをセットすると、
監督の安増さん(高1)、自ら出演しての演技、カメラマンの小泉さん(小6)も
良い画が撮れたようで満足顔。続いては、お惣菜屋さん。
妹役の安増さんが、仕事で忙しいお兄さんのために、惣菜を買うシーンです。
実は、急遽のお願いでしたが、快諾頂き、撮影開始。

そして、もうひとつのグループ(1)は、新宿の高層ビル街に居ました。
テーマは、「日本は大切なものを守りながらも、日々進化しています」というもの。
古い物を大事にする一方、新しいものを作り出すさまを、イメージ的に表現しようと
いうものです。
監督の戸部さん(高1)、モデルの乃万さん(中3)への身振り手振りの演技指導に熱がこもります。
ここは、乃万さんが、道で扇子を拾う、CMの大切なシーン。

再び、グループ(2)。相変わらず、監督とカメラマンの間は、ギクシャク
ああだ、こうだ言いながら、ようやく2カット目。こんなペースで、
大丈夫なのでしょうか?次のカットは、カメラマンの高山さんのアイディア。
目で涼しく、美しい日本文化、和菓子の撮影。
高山さん、名前が“力”だけに“チカラ”入っています!



スタジオ(3)

吉澤)
それぞれがグループの特色を生かしつつ、揉めつつ感じでしたが?

原)
VTRを観ると順調そうですが、自分の撮りたいものとか、
こう表現したいものとか、根本的にコンセプトが違うんじゃないかと、
言い争いになったりして、大人がCMを作っているようなぶつかり合いが
ありましたね。

吉澤)
活発な意見交換がなされたということですね?

原)
皆、集中していたというか…

吉澤)
クリエーターですね!

原)
それだけ集中していたということですね。

VTR(3)

撮影の翌日。各グループは原さんの会社で編集作業。
グループ(1)は、絵コンテを確認しながら、プロの編集オペレーターに、
撮影した映像をつないでもらっていきます。
グループ(1)のCMの最大のポイントは、現代から伝統的なシーンへの切り替わり。
その転換手法に、そばで見ていた原さんも脱帽。
グループ(3)は「日本のやさしさ」を伝えようと企画したドラマ仕立てのCM。
カメラマンの小泉さんが、編集担当。
ナレーションは入れずに、カットの間に、台詞を字幕で入れようという提案が
出されました。
最後にやってきたのは、グル―プ(2)。映像の編集が終わった後、
BGMや効果音、そしてナレーションを入れる作業工程があります。
グループ(2)は、CMのキャッチコピーを皆で読もうと決めていました。
皆でアナウンスブースに入って「サマー イズ クール!」
テーマをより鮮明にするため、ナレーションをもう一度、皆で考える事になりました。
ナレーターは、プロデューサーの平尾さん(高2)です。
一ヶ月後の9月9日、子どもたちの作ったCMの完成披露試写会が行われました。
このCMは、この後、世界の子どもたちに向けて発信される予定。
いろいろ苦労もありましたが、皆、感慨、ひとしお。お疲れさまでした。


スタジオ(4)

吉澤、島本)
素晴らしいコマーシャルですね!

吉澤)
それぞれ特徴がありますね。古きよき日本という感じですけれども。
小学生、中学生、高校生の合同チームでしたが、プロの目から見ていかがでしたか?

原)
いわゆる、“CM作法”からは外れているのですが、コマーシャルというのは、
何かメッセージを伝えることが重要で、そういった意味では、
どれもメッセージを伝えられるものにはなっているかなと思います。

吉澤)
今後どのように海外へ紹介されていくのでしょう?

原)
この企画を主催したプラン・ジャパンという団体が、66の国にそれぞれ拠点を
持っているのですが、そこへDVDを送って、それぞれの国の子供達に
作品を観て頂く予定です。

ご覧になった人は日本という“色”だったり、“風”だったり、“風景”など
感じ取ってくれると嬉しいですね。

吉澤)
ありがとうございました。


番組では、テレビをご覧の皆さまからのお問い合わせ、ご要望をお待ちしています。
※次回、11月5日(日)放送予定です。