7月13日

スタジオ : 吉澤一彦アナウンサー
市川寛子アナウンサー
ゲスト  : 谷口和巳 (オリコン・エンタテインメント編集本部長)


【放送内容】

今回は、視聴者の方からいただいたご意見を元に「50歳前後の男性とテレビ」について考えていきます。



『視聴者の方(50歳・男性)からいただいたご意見』
「今の世の中、テレビは我々庶民になくてはならなぬものですが、放映されている内容が疲れたサラリーマンの為にごちそうを盛りだくさん用意されている感じのものばかりなんです。
こういうものを連日見せられたら、想像力を高めたり、社会性を養ったり、気力を奮い起こしたりはできないんですよ。その意味では、世の中の人間の覇気をなくさせているのは『テレビ』だと思いますがいかがなもんでしょう?」

『街頭インタビューのご意見』(50歳前後の男性)
「見たいと思う番組がない」
「我々の年齢が楽しめる番組がすごく少ない」
「あまり見ない」
…など

50代男性視聴番組調査(ビデオリサーチ関東地域 調べ)の結果を見ると
1位 ブロードキャスター(TBS) 日曜日放送
2位 ザ!鉄腕!DASH!(日本テレビ) 日曜日放送
3位 武蔵MUSASHI(NHK) 日曜日放送
4位 ニュースステーション(テレビ朝日) 月〜金曜日放送
5位 日曜劇場・GOODLUCK!(TBS) 日曜日放送
6位 たけしのTVタックル(テレビ朝日) 月曜日放送
7位 日曜洋画劇場(テレビ朝日) 日曜日放送
8位 NHKニュース9(NHK) 月〜金曜日放送
9位 笑点(日本テレビ) 日曜日放送
10位 1億人の大質問!?笑ってコラえて!(日本テレビ) 水曜日放送

…結果でわかることは、視聴されている番組は週末のものが多く、全体的には「情報番組」の視聴が目立つ。
この世代は、テレビを通じて「情報」「社会」とつながっていたいという気持ちが非常に強く、情報を得ることで「自分も社会の一員である」ということの確認をしているのではないかと思われる。
(谷口氏 談)



【番組プログラムの現状などについて、テレビ業界関係者に話を伺いました】

テレビ情報誌『テレビサライ』:今井光代編集長 
『テレビサライ』…2002年秋創刊。
中高年世代を読者ターゲットとし、独自の切り口で特集を組み、番組紹介をしているテレビ情報誌。

いま50歳前後の世代は「第一次ベビーブーム」世代。
そしてテレビ放送開始直後(今年はテレビ放送開始より50年)に生まれた人達。
子供時代にテレビが家にやってきた人たちで、その感動が鮮明に残っている。
「元祖テレビっ子」といってもいい世代。まさに「テレビと共に育ってきた」といえる。
この世代の人口は非常に多く、彼らは「テレビの情報」を非常に欲しているのではないかと思う。
そんな中、テレビ情報誌は20誌以上あるが、すべてが若者向け。中高年世代の欲している情報が少ない。
テレビ番組の全プログラムを見てみると「50・60代」の方たちが「いいな」と思うような番組もある。
たとえば「生きる×2」。見ごたえがあり、いい番組ではあるがテレビ番組表には「生きる」としか書いていない。朝5:30からという早朝の放送、内容が良くわからない番組表の表記…。
このような形で、埋もれている番組がたくさんあるのではないかと考えている。
50歳前後の世代は基本的にはテレビ好き。
しかし今は自分達が見る番組がなかなかないなぁと寂しさを感じているのでは。



ニュースステーション:村尾尚子プロデューサー
50代ぐらいの方たちが好んで見てくださっていることを意識して作っている。
この世代の方たちは、意識も非常に若く、ニュースを知る事に非常に「どん欲」であると感じている。
ニュースの裏側まで理解したいと思う気持ちに答えることのできる内容を提供したいと考えている。
番組からの一方的な情報ではなく、視聴者の方が情報を判断し考えるための「材料提供」をしていくようにしている。
企画については、現実の厳しさを伝えること以外にもう1つ、「元気になる企画」 というものを重要だと考えている。
この世代の方たちの情報に対する「どん欲」な気持ちに答えていけるような番組作りを心がけている。



土曜ワイド劇場:松本基弘プロデューサー
「中高年の男性」だけを意識しての番組作りはしていない。 しかし「土曜日」(休みの日)という時間帯は意識している。少しでも多くの人にとにかく2時間楽しんでもらうための番組作りを考えている。
作家やキャスティングについても「中高年の男性」を意識して・・・ということは特にないが、「大人の鑑賞に耐えうるもの」ということを意識しているので、結果として中高年男性にも十分楽しんでもらえるものになっているのではないかと思う。




【中高年男性・これから望むテレビ番組】

『街頭インタビューのご意見』(50歳前後の男性)
「視聴率に迎合するようなことばかりせず、主張を持った番組作り。」
「個性あるものを期待する。」
「大人向けの趣味の番組。」
「忙しい時代を生きてきた世代なので、ゆっくり楽しめて昔を思い出すような番組。」
「子供の頃の懐かしい番組のリメイク。子供と一緒に見ることができそう。」
「いろいろなことを教えてくれる番組。例えば「科学番組」のようなもの。」
「心に響くような番組。印象に残るような番組。」

これらのご意見から…
「役に立つ」「新しい発見」「感動したい」「得をするか」等…の要点が満たされているかが「面白い番組」といわれるか否かに関係しているのだろう。
「番組理念」というものをもう一度しっかり考えて上で「番組を作っていく」必要があるのではないか。
この部分がはっきりしていない番組は「視聴者の方たちが楽しむ番組」にはならない。
(谷口氏 談)

放送番組審議会
対象番組:「ワイドスクランブル」