【スペインでの「クレヨンしんちゃん」放送の現状を報告】 |
マルク・ベルナベさん
「クレヨンしんちゃん」のカタロニア語版の翻訳者。
99年京都外国語大学で一年間日本語を学ぶ。
2001年からワールドカップ関連の仕事で再び来日し、
現在大阪で翻訳活動中。
スペインでは、5つの異なる言語が使われている。
「カタロニア語」はその一つ。
「クレヨンしんちゃん」はこの言葉で翻訳された事がきっかけで
スペインの広い地方に紹介され、現在では他の言語での翻訳版も放送されている。
作品中には「日本特有の生活習慣」「食文化」や「しんちゃん特有のギャグ」など、そのままなかなか訳すことのできない場面が
多く、その点が苦労。
訳を付ける時に気をつけることは、「画面の中のセリフ」との関係。
リズムや長さなどはできるだけ画面と合うものを対訳に使うようにする。
特に「ギャグの多い、アニメーション」は同じ場所で「笑い」が 起きるように、言葉の選択が慎重になる。
例:「行ってきます」「ただいま」
スペインでは、「出がけ」や「戻ってきた時」に決まった言葉での表現がないので、「行ってきます」「ただいま」を訳すための言葉がない。
そこで、その時々の場面にあった言葉で訳すようにする。
例:お尻ダンスの「ブリブリ」
「しんちゃん」特有のギャグ言葉。
お尻を突き出し、左右に振りながら「ブリブリ」とおどけてみせるギャグなのですが、この時の「ブリブリ」という擬音はスペイン語に訳すことができない。
そこで「お尻」を強調しているギャグなので「クレット・クレット」
(カタロニア語)「おしり・おしり」と訳すことに。
そのほか、「文化の違い」なども工夫。
「こたつ」=ストーブ付きテーブル
「納豆」=大豆
「納豆にネギ入れる方?」(しんちゃんナンパの決めぜりふ)
=「マカロニにチーズ入れる方?」
ニュアンスはそのまま、その土地にあった表現に変える。
「ギャグ」について
そのままでは伝わらないものは、ニュアンスを考え、ギャグに変える。
【 スペイン・カタロニアテレビ主催
「日本通は私だ!全国大会」
「シンちゃんのスペインでの人気」優勝者「日本」訪問記】 |
スペインで行われた「クレヨンしんちゃん」クイズ大会
「クレヨンしんちゃん」についての質問やゲームで勝ち残り、
優勝者を決定。
優勝者には、「しんちゃんの故郷!日本」訪問がプレゼントされるという大会。
ここで、みごと勝ち抜き「日本」にやってきたのは3人。
まずは、「シンエイ動画」訪問
ここは、しんちゃんのアニメーションを制作している会社。
初めて制作作業を見学。
次に、「テレビ朝日」訪問
番組担当プロデューサーと面会。
「なぜ、スペインで人気があるのか?」とのプロデューサーからの質問に…
日本の「アニメーション」が人気の理由は、欧米の
「アニメーション」というのは「子供向け」の作品が主なものである。
その点、日本の「アニメーション」は「大人」でも十分楽しめる内容になっていることが大きな違い。
ウィットに富んでいて気に入っている。との感想。
「言語の楽しさ」や「予想不可能な行動」がとても面白い。
下品なユーモア・声優の旨さ…などもスペインで受けている
理由。
【「海外のテレビ事情」…スペイン「5つの言語」と「放送事情」】 |
日本は、1つの「言語」「文化」の中での生活をしている。
そして、その情報源であるテレビ局も「国営放送」と「民間放送」の2つ。
しかし、海外には「様々な歴史事情」「プライド」「文化の違い」…等を1つの国の中で抱えている 所もある。
それらは、地域ごとに「独自の文化」を守り続けているために伝統の言語を使い続けている。
スペインにも5つの言語があり、それぞれの地域によって全く異なった言語を用いている。
スペイン語・カタロニア語・バレンシア語・バスク語・ガリシア語の5つ。
共通語は、「スペイン語」
それぞれの言語を守る=独自の文化を守ることにつながる事になる。
そんな中「放送局」は?
全国放送:4つ(すべてスペイン語)
地方向け放送:7つ(それぞれの言語)
衛星放送:2つ
ケーブルテレビ:3つ
「クレヨンしんちゃん」は、「地方向け放送」の中でそれぞれの言語6局で放送。
カタロニア語での翻訳で始まった「クレヨンしんちゃん」の作品は今や他の言語にも翻訳され、放送されている。
12月19日(木)夜7時より
「クレヨンしんちゃん 年末大爆笑ケッ作SP豪華拡大おバカ6連発だゾ」
をお送りします。