9月1日

スタジオ : 吉澤一彦アナウンサー
松尾由美子アナウンサー
東京学芸大学附属高等学校のみなさん
末延吉正(コメンテーター室)



【放送内容】


今回は、「高校生とテレビ」と題してスタジオに現役高校生の皆さんをお呼びして「テレビについて」考えていきたいと思います



《街頭インタビューに挑戦》

同世代の人たちが「テレビについて」どんな考えを持っているかを知るために街頭インタビューを試みました。

街頭インタビューメンバー: 小俣岳くん 須永敦雄くん 平山敦士くん
村岸真衣さん 武内麻里亜さん 林祐美子さん
竹内愛さん

まずは、自分達の意見交換。
「案外、右から左・・・に情報を流していることが多いかな?」
「付けっぱなしなのか?目的を持って見るのか?」
「画面の文字が多い?」
「面白いところをあの文字が教えているよねえ〜」
「ヤラセ?」
「どれもヤラセに思える?」
「ヤラセは、わかっていていたりもする」

・・・などの意見から「インタビュー」の質問項目が決まりました。



「街頭インタビュー」の質問項目

1.テレビは一日どの位見ますか。
2.よく見る番組は。
3.テレビの見方。
4.テロップについて。
5.人の不幸や欠点を題材にした番組について
6.ヤラセについて
7.夏休み中のテレビ視聴時間
8.家では誰とテレビを見ているか。

インタビュー結果 (アンケート数:78人)

Q. 「テレビをどんな目的で見ているか」
A. なんとなく 41.0 %
情報源   25.6
その他 33.4 %

Q. 「テロップが多い画面をどう思いますか」
A. 気にならない 50.0 %
分かりやすい 29.8 %
その他 20.2 %

Q. 「あなたの考えるヤラセとは」
A. 一般参加の「ガチンコ系」番組であらかじめ台本なんかがあるのではないかと思う「クサイ台詞」が出ていた時。
A. 同じコーナーで毎回同じことが起きたりする。
・・・等。

Q. 「ヤラセ番組をどう思いますか」
A. 嫌い 35.9 %
面白ければ良い 25.6 %
何とも思わない 10.5 %
ヤラセが分からない 10.5 %
その他 17.5 %



「街頭アンケート」の結果をまとめ、放送局の制作現場への質問をまとめる。

メンバー: 小俣岳くん 須永敦雄くん 平山敦士くん
村岸真衣さん 武内麻里亜さん 林祐美子さん
竹内愛さん 宮本好乃さん

「もうちょっと、まじめに見ているかと思った」
「何となく・・・が多い」
「ヤラセについては、もっと容認しているのか思っていたが、
 思ったより嫌いと答える人が多かった」
「バラエティーを作る上でヤラセは必要?」
「ヤラセと演出の違いは・・・?」
「ヤラセというと嫌な感じがするけど、演出というと良い??」
「インタビューは、難しい」
「例えば・・・というかたちで誘導してしてしまう場合がある」

・・・などの意見から「制作現場」への質問項目が決まりました。

「制作現場」への質問項目

報道担当には
1.世論調査・アンケートについて。
2.街頭インタビューについて。
3.ニュースキャスターのコメントについて。

バラエティー担当には
4.演出とヤラセの違い。
5.バラエティーにはヤラセが必要か。
6.台本はどこまで台詞が決められているのか。

バラエティー担当 回答者
平城隆司(制作1部 チーフプロデューサー)
いきなり!黄金伝説。
決定!これが日本のベスト100」などを担当。

Q. 「演出」と「ヤラセ」の違いについて
A. 演出とヤラセは、根本的に違います。
モノを作るというクリエーティブな作業の中には必ず「演出」がある。
「ヤラセ」というのは、視聴者を裏切るようなやってはいけない「演出」のこと。
バラエティーにも台本はあります。
しかし、それは「ヤラセ」ではなく演出のためにある。
その中の書き込みの量(台詞やト書き、情報・・・等)は、番組によって違う。
番組進行は、台本通りのモノもあるがそうでないモノもある。

Q. 視聴者参加番組について「素人の人達が面白いことをしたりするのを見ていると 「しこみの人」ではないかと思ったりします。
A. 放送される内容は、番組制作している中のごく一部分。
あの何倍もの撮影時間、準備時間をかけ制作をしている。
その中で参加者(素人の方々)が面白かったり、競技に一生懸命だったりしてくれる。
決してこちらから「何かをお願いする」ようなことはしていません。

報道担当 回答者
角南源五(ANNニュースセンター 編集長)

Q. ニュース項目の順番について
A. 基本は、「視聴者が一番興味を持っているもの」。このことが優先順位を決めます。

Q. 世論調査とアンケートについて
A. 「世論調査」と「アンケート」というものは、全く別のものです。
「世論調査」とは、何かについての民意等をきちんと調べる必要のある場合に定められた手法によってデータを集め、用いる。
「アンケート」は街に出て聞いたり、アットランダムに電話調査をしたりするもの。



《「制作現場」見学を終えての感想》

須永くん: 「ヤラセ」と「演出」というものを混同していた考えが変わりました。
番組を作る上で演出は必要なものであり、「ヤラセ」は視聴者をだましていいるものだという認識ができた。
平山くん: 普通の演出を「ヤラセ」だと思っていた部分があったが、その違いがわかった。
悪い見方をし過ぎてしまっていた自分がいたのが、変わってきた。
林さん : 「面白ければいい」と思っていた考えが変わった。
作っている側の思いを知って安心した。
竹内さん: 「ヤラセじゃない?」という言葉を使うことを気遣うようになった。
村岸さん: 実際の番組を見ていて想像できるスタッフの人数より、はるかに多くの数の人達が携わっていることに驚きました。
小俣くん: 「インタビュー」の取り方の難しさを実感しました。
宮本さん: 番組の最後に質問。「雅子様、ご懐妊報道」について。
一度目のご懐妊時の報道合戦。その後、流産された時の報道。
このことについて?
回答
(末延氏):
公人と呼ばれる人達のプライバシーについては、いつも考えるべき問題。難しい問題。
「ご懐妊」については国民が待ち望んでいた出来事であったことは事実。しかし、取材のマナーなどで反省すべき点、配慮すべき点改善すべき点は多々あると思う。



《高校生の感想を受けて(末延氏 談)》

「ヤラセ」は制作に携わる人間としては「やってはいけないこと」。
これは、番組を作る技術を持たない者が考えることといえる。
「ヤラセ」についてだけではなく、全体的に見たところで「テレビに対する信頼」というものがなくなってきているのでは。
この点は、自分達制作者として考えていかなくてはならない点だと思う。

「世論調査」と「アンケート」の違いについて。

「世論調査」・・・
調査対象に偏りがないように、統計学に基づいて実施する。
調査結果を提示する際には、「どのような日程で」「どのような条件で」「どの地域で」「サンプルはいくつ」「有効回答率は?」などを公表。
この結果は学術的に信頼性があり、自分達の取材原稿などのデータとして使われるもの。

「アンケート」・・・
ある出来事に対しての「傾向」などを調べるために集めるサンプルのようなもの。
「データとしての信頼性」の点で大きな違いがある。

情報を整理する上で、いつ何時でも「意志を誘導してはならない」というのは、報道現場においての基本。
インタビューやアンケートなどでは、その点を十分に配慮する必要がある。
客観的・冷静でなければならない。
情報を伝えていく作業は「チームプレー」。伝達する中で情報が歪んではならない。