【番組司会】菅原 知弘(テレビ朝日アナウンサー)
桝田 沙也香(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】松岡 修造(世界水泳・メインキャスター)
世界水泳シンガポール2025の見どころなどを
メインキャスターをつとめる松岡修造さんを迎え、ご紹介します。
<VTR ~注目選手など~ >
2001年からテレビ朝日が放送を開始した世界水泳
イアン・ソープ(オーストラリア)
北島 康介、入江 陵介、萩野 公介など
名だたる選手たちの快挙を中継してきた。
今年の世界水泳、舞台は東南アジア初となるシンガポール
■新エース パリ五輪・銀メダル
松下 知之(19)選手/200m・400m個人メドレー
■平井 瑞希(18)選手/50m・100mバタフライ
■今福 和志(18)選手/400m・1500m自由形
■成田 実生(18)選手/200m・400m個人メドレー・200m背泳ぎ
■村佐 達也(17)選手/200m自由形・4×200mフリーリレー
■競泳ニッポンの主将
池江 璃花子(25)選手/50m・100mバタフライ
■鈴木 聡美(34)選手/50m・100m・200m平泳ぎ
■深沢 大和(24)選手/100m・200m平泳ぎ
■玉井 陸斗(18)選手/10mシンクロ高飛込・10m高飛込
世界が注目する海外選手
■レオン・マルシャン(23)フランス
パリ五輪で4冠 すべて五輪新記録
■サマー・マッキントッシュ(18)カナダ
パリ五輪で3冠
<スタジオ>
- 松岡:
- 2001年の福岡大会では、日本はほとんどメダルをとれていなかったけど
イアン・ソープさんの活躍で、日本がすごい盛り上がりました。
福岡大会から日本の水泳は強くなって、メダルがどんどん増えていった。
正直言いますと、今回のシンガポールは長年見ていて最も苦しいです。
そこから今後、2028年のロス五輪に向けて
どう変わっていくかを見ていく大会になると思います。
― 2024パリ五輪 男子400m個人メドレー銀メダル
松下 和之(19)選手について ―
- 松岡:
- インタビューもさせていただきましたが
萩野 公介(2016リオ五輪 400m個人メドレー金)さんが
パリ五輪のとき、松下選手について
「このパリ五輪でメダルをとるか、とらないかで彼の人生が決まる。
メダルをとったら彼は今後エースになれる」と言ったんですよ。
速い選手が揃うなか、
自分のベストをオリンピックとか世界大会で出せるか出せないかなんですよ。
言ってみればメンタルが世界基準かを試される。
その中で松下さんは、あの若さで(自己ベストを)出したので素晴らしいです。
僕がいいなと思ったのは、パリ五輪でメダルをとったじゃないですか
僕らにとっては予想外だったわけですよ、“よくとった”と
でも彼の中では“始まった、やっとスタート台に立てた”
やっぱり金メダルが目標なんですよ。
なぜかというと、個人メドレーというのは
金メダルが日本の常識になっている、そこが大きいんですよね。
・瀬戸 大也 世界水泳2019 200m/400m個人メドレー金メダル
・萩野 公介 2016リオ五輪 400m個人メドレー金メダル
本来ならメダルをとっただけで嬉しいじゃないですか。
そういう意味で日本の水泳の常識が先輩方によって
変わってきたのは大きいと思います。
― 競泳日本代表の主将 池江 璃花子選手について ―
- 松岡:
- 彼女の場合、僕が見ていて
常識を超えていく人なんですよ。
泳げば日本新記録、自分の記録も破っていくっていう
そういう状況から、病気になって・・
●2019年2月 白血病を公表
約10カ月の入院生活などを経て2020年8月レースに復帰
東京オリンピックもパリオリンピックも出ました。
彼女がぶつかっている壁というのが、
昔の自分と比べてしまうことなのです。
今、病気もほぼ回復してトレーニングもできています。
だけど思うような泳ぎがまだできていない。
だからどうしても彼女は自分をせめてしまう。
本当にインタビューをしていて、辛くなります。
菅原:どういったところで感じますか?
- 松岡:
- 1年前は「“期待する”という言葉が嫌い」だと言ってた。
あと「“自信”という言葉を口にしたくない」と。
「まだ結果がどう出るかわからない、
もし結果が出なかった時に、周りからどうとらえられてしまうんだろう」とか
本当に彼女自身、一生懸命やってるんだけども
悩んでる時期でもあるんですよ。
だからこの世界水泳は大事です。
やっぱりオーストラリアに行って、頑張り方が大分変わった。
ストレスも日本にいるわけじゃないですから、
注目っていう意味ではフリーな気持ち、楽しい思いで泳げてます。
コーチの指導も違うんで、“リカコいいよ!”ってみんな褒めてくれる。
そういう方向性から、新しい璃花子さんが
このシンガポールで出会えると思っているんです。
- 菅原:
- そしてキャプテンという重責も担うのが
池江選手にとって変化などは、あるんでしょうか?
- 松岡:
- 僕はあえて、そのポジションをとったと感じてるんですよ。
そういうプレッシャーとか責任とか
そういうものに対してコントロールできる力を
いま彼女は、つかみ始めている。
だからそういうものがあればあるほど、より後輩たちにも
思いを表現していき「世界はこういうものだよ」というものを
しっかり伝えられる。
彼女、すごい話がうまいんですよ。
- 松岡:
- あと池江さんというと、スポーツをされない方でも
みんな知っています。
そのぐらいネームバリューも大きいです。
でも彼女はわかってるんです、結果を出したいって。
結果を出すことによって、より勇気とか感動を与えられるって
一番わかってる。
それがどういう方向性で、彼女が今回泳いでタイムを伸ばしていくのか
それが50mバタフライ、オリンピック種目にもなりました。
メダルの可能性も十分にありますし、注目どころだと思いますね。
― 海外で注目している選手は? ―
- 松岡:
- レオン・マルシャン(フランス)です。
何がすごいかって、彼の泳ぎもそうですけどタフさですね。
・レオン・マルシャン(23)フランス
2024パリ五輪4冠 すべて五輪新記録
200m/400m個人メドレー
200mバタフライ・200m平泳ぎ
オリンピックで緊張する中で、泳げば全部金メダルをとっていく。
どこまで彼は伸びていくんだろうっていう、
世界中が応援したって感じですね、僕も彼に魅了されました。
レオン・マルシャンという人間力、パワーがすごかった。
桝田:海外の女子選手で注目は?
- 松岡:
- マッキントッシュさん(カナダ)。
もうサマーなんですよ、夏なんですよ(笑)
・サマー・マッキントッシュ(18)カナダ
2024パリ五輪3冠
200mバタフライ 200m&400m個人メドレー
- 松岡:
- 輝いていて、強い!
スポーツ選手って強さも大事なんですけど、
オーラも含めてどれだけ気持ちが近づけるかが大事なんです。
ちょっと話しかけにくそうとかあるのですが、
マッキントッシュ選手は可愛いらしさも含めて
近づきやすいオーラがあるような気がします。
今までの取材を見させていただきましたけど、非常にフレンドリー。
日本の選手って良さでもあるけど、“絶対勝たなきゃ!”というイメージ。
マッキントッシュ選手は自分らしくいればいいという
すごく表現するのがうまいんですよね。
僕はマルシャン選手よりも
マッキントッシュ選手の方が注目度は高いです。
特にタイムです!
今年の6月にも世界新記録を出していて、
自分自身の記録を抜いています。
・6月 世界水泳のカナダ代表選考会
200m/400mル個人メドレー
400m自由形の3種目で世界記録を更新
- 松岡:
- 今回、世界記録ラインを超すんじゃないですか!
・世界記録ライン:2001年 世界水泳福岡大会で初めて導入された技術
松岡:世界記録ラインっていつ知りました?
菅原・桝田:気が付いたら、あたり前のようにありました
- 松岡:
- テレ朝さんじゃないですか!(笑)
世界を変えたわけじゃないですか、世界水泳福岡大会で。
本当に斬新でした。
だってあのラインが出てきたときに、必ず前のめりになるでしょ。
テレビというものを通してスポーツを見るのが
これだけ醍醐味がある、思いを共有できることを作り上げたんですよ。
だからこそ、その後の水中のカメラとか、泳ぎについていくカメラとか
様々な進化というのは世界水泳とともにテレビ朝日はしてきたと思います。
桝田:今回の世界水泳は新たな技術は取り入れられるんですか?
- 松岡:
- 放送の中で、見た目でわかるのは“AI”だと思います。
AIは今までのすべてのデータを計算して
このレースでどんな状況になるのかをAIとして予測を出す。
見てる人が“どうなるんだろう?”という予測は必要なんですよね。
その中で今までは、人間:萩野公介さんにやってもらっていた。
今回はAIと萩野公介、入江陵介の対決ですよ。
- 松岡:
- AIは残念ながら、世界水泳やオリンピックで金メダルをとっていない。
萩野さんはとっているんですよ。
だから世界水泳の決勝の舞台はこうだぞってわかってるんですよ。
それを含めて見ると、おもしろいと思います。
― 2001年の世界水泳・福岡大会から熱く伝えてきた松岡さん
振り返って思うことは? ―
- 松岡:
- あっという間ではあったんですけど
2001年は1つの勝負でしたし、日本のスポーツの放送を変えた。
ゴールデンで2週間ぐらい一気に放送しましたし、
これまで無かったわけですから。
だからテレビで世界大会を伝えて、しっかりみんな見てくれるっていうのを
初めて感じることができたときでした。
だからこの世界水泳は日本のスポーツ界を変えた。
世界水泳、昔はほとんどの方が大会自体知らなかった。
それで子どもたちが北島選手を見て、自分も泳ぎたいという風に
つながってきました。
ある意味、世界水泳を僕らが放送するのは1つの強化でもあるわけですよ。
子どもたちが見て“あの場所に行きたい!”“あの場所で泳ぎたい!”
そういう子たちは、朝の5時でも見てると思います!(笑)
菅原:放送していく中で、手応えを感じながら伝えてくださっていたんですね。
- 松岡:
- 本当ですね、時代を感じられたことが大きかったです。
中でも1番は北島康介さんが出てきたこと。
・北島康介
2004年アテネ五輪・2008年北京五輪
100m/200m平泳ぎで金メダルを獲得
- 松岡:
- 彼の強さは“大和魂”ですね。
インタビューするとき、僕は北島さんは怖いです。
特に試合の1、2週間前、ゾーンに入っているときは
質問を1つでも間違えると、多分答えは本音じゃない。
僕もどこまで入っていくか、戦っている感覚ですよね。
印象に残っているのは「修造さん、これは遊びじゃない、
僕は負けたら日本に帰らないつもりで戦っているんだ」
と言われたときに、やっぱりゾクゾクする。
その思いが日本のチームにつながっていって欲しいんですよ。
― 世界水泳シンガポール2025 松岡修造からメッセージ ―
- 松岡:
- 世界水泳シンガポール、みなさんもすべてを出し切ってみませんか?
超えてみませんか?
それはウルトラソウルになればいい、
みなさんご一緒に「ウルトラソウル ヘイ!!」
世界水泳シンガポール2025
27日(日)競泳開幕