○戦争(原爆)を題材にした番組について
日本は世界で唯一の被爆国でありながら、世界に対して声をあげて被害者であることを言えない。むしろ戦争の加害者として捉えられている。広島、長崎の被爆者の方々のことを思うと、そんなことでいいのだろうかという思いがずっと心の中にあった。

(昨年)ドラマ「はだしのゲン」に出演が決まった際、広島出身の友人から、「広島の人たちは、子供のころから原爆が題材のものは自然と避けるようにしていて、それはごく普通のことだ。」と聞き、映像によって戦争や被爆の悲惨さを伝えることは難しいのではないかと思っていたが「ドラマを見て感動した。」という感想が寄せられたことで、伝えることは不可能ではないのだと考えを新たにした。

○番組へ参加した思いについて
自分たちは日々の生活の中で「原子力」というものに対してどれだけの認識があるだろうか。生活の中に存在し直結している「原子力」には「太陽」の面(エネルギーとして使われる原子力発電)と「悪魔」の面(兵器として使われる原子爆弾)があると思う。「悪魔」の面「被爆」の事実を伝えることは、明日自分たちが生きていくために必要なことであり、以前にあった「そのこと」を学ぶべき時は今であるのだと思って参加した。

「はだしのゲン」では番組で伝えることの手ごたえを感じられた。見た人の考えを180度変えることはできなくても、自分として今の日本の原点を伝えようと演じたが、その結果、見た人、特に子供たち(小学生低学年程度)から「ああいう思いはしたくない。」さらに、「番組を見ている際は涙を流していた。」という声が届き、「はだしのゲン」で(被爆の現実を)伝えたことは間違いではなかったと確信し、また子供たちの思いが心に響いた。

そして、この番組ではちゃんとした意味合いを持つメッセージが送れればよいと思っている。番組を見る大人たち・・・子供たちに伝える人は伝えるべき知識を持つ必要がある。人間というのは優れている面と劣っている面の両面があるが、今でも戦争をしている人間という生物の愚かさを認識してほしい。少なくとも日本ではそうした意識を持つことが必要だ。