戦評
高橋、村主ともに2位で終える 男子シングルはランビエール、ウィアー、そして高橋大輔と、人気も実力も合わせ持つ選手が勢ぞろい。しかしどの選手もジャンプミスが目立ち、高い点数は出ず仕舞いの一戦となった。ただ、注目したいのは、選手たちのアグレッシブな挑戦だ。アメリカのウィアーはこれまでのイメージを破ろうと「男らしさ」を前面に出したプログラムを披露。流れるようなスケートはそのままに、今までの彼には無かった力強さを感じさせてくれる。すでに完成されたスケーターが、さらに違うものを手に入れようとする姿勢は美しく、シーズン後半の彼がどう変わっているか、本当に楽しみだ。日本の高橋大輔もジャンプミスこそ目に付いたものの、否応無く人の目をひきつけるスケートは健在。特に世界チャンピオンと同じ氷の上に立っても少しも見劣りしないステップは、シーズン前半でここまで見せるか、という華麗さだ。これでジャンプが入ったらどんなにすごい作品になるのだろうか……。シーズン後半、高橋大輔の精神面も安定していくことを願いつつ、各選手のさらに進化した姿を楽しみに待ちたい。 韓国のキム・ヨナと日本の村主章枝の対決が注目された女子シングル。こちらもそれぞれの姿勢でフィギュアスケートを追求する姿が美しい一戦となった。村主章枝の新フリーは、ヴォーカル曲を使い、ポイントポイントでマイムを取り入れた愛らしいもの。今までのフィギュアスケートではなかなか見られなかったユニークさだが、様々な音楽に挑戦してきた村主章枝だからこそのプログラムだ。さすがベテラン、自分の演技でこのスポーツの地平を広げよう、そんな意気込みさえ感じさせてくれる。一方のキム・ヨナが見せたのはフィギュアスケートそのものの美しさ、自分の持ち味を最大限生かしたたおやかなスケートだ。動きは軽々としているけれど力強く、緊張感を維持しながらも自在に。フリー後半で疲れてしまったのは残念だったが、シニア初挑戦でここまでの演技ができるのは、やはり末恐ろしい。それぞれにフィギュアスケートとは何かを追及した注目の二人だが、彼女たちの上を行ったのが地元カナダのジョアニー・ロシェットだ。オリンピック5位の実力者、今シーズンはジャンプの安定感を得、演技にもパワーを増し、序盤からいい形でシーズンインをした様子。地元の大声援も味方につける精神的強さもフルに発揮し、見事カナダ大会初優勝を飾った。キム・ヨナと村主章枝が追い求めるフィギュアスケートがシーズン後半どんなかたちで花開くのか、ロシェットの持つ精神的な強さを後半戦で発揮できるのは誰なのか――グランプリファイナルを占う様々なヒントが隠されたカナダ大会だった。 文/Hirono Aoshima
結果 SP=ショートプログラム FS=フリースケーティング
【女子シングル】
【男子シングル】
みどころ ⇒放送予定はこちら
「情熱のステップ王子」高橋大輔が登場! 男女共に日本勢が優勝を飾った第1戦アメリカ大会、第2戦となるカナダ大会は「情熱のステップ王子」高橋大輔が登場!ライバル織田の優勝に続けるか!?トリノ五輪銀メダリストでもある2年連続世界チャンピオンのステファン・ランビエールとの熱い戦いに注目。 女子は昨シーズン世界ジュニアで浅田真央を破って優勝した「真央最大のライバル」キム・ヨナがグランプリシリーズ初出場、正確なジャンプを武器に表彰台を狙う。そして日本からは「銀盤のプリマドンナ」村主章枝が参戦、抜群の表現力を武器にどこまでスコアを伸ばすのか!恩田美栄とともにベテランの力を期待。 グランプリファイナルへ!そして世界一へ!今週も熱い氷上サバイバルから目が離せない!! |