6月10日、京都市。
台風5号の影響で荒れた空模様の中、喪章を胸に走る選手たちがいた。
学生三大駅伝のひとつ、全日本大学駅伝。関西地区選考会からの出場枠は3校。
その1枠を掴んだ大阪経済大学の激走には、ある特別な想いがあった
今年1月、監督の鶴谷邦弘さんが亡くなった。
駅伝界では言わずと知れた名将。
日本体育大学を卒業後、1967年から母校の報徳学園高校(兵庫)で監督に就任。
1981年に全国高校駅伝で初優勝を果たすと、その後3連覇を達成した。
1995年には阪神淡路大震災で被災するも、翌年7年ぶりに全国制覇。
被災地に勇気を与える復活優勝を成し遂げた。
教え子には100m前日本記録保持者・伊藤浩司、
北京五輪代表・竹沢健介らが名を連ね、高校駅伝界だけなく、
日本を代表する選手を数多く育ててきた功績もある。
大阪経済大学の監督に就任したのは2010年。
報徳学園高校の定年退職し、目指したのが全日本大学駅伝の舞台だった。
そんな鶴谷さんの突然の他界。
享年73歳、通夜には多くの教え子を含め、600人ほどが訪れたという。
生前、鶴谷さんはとにかく伊勢路に懸ける想いが強かったという。
「選手以上に全日本大学駅伝に拘っていた監督。毎日のミーティングでも〝伊勢路に行くんや〟と繰り返していた。監督のためにも全日本に出場すると決心して今日を迎えました」(主将・山口祐太)
しかし、今年の予選会は立命館大学、京都産業大学、関西学院大学の3校が出場枠を勝ち取るという見方が多かった。
それでも、監督のために伊勢路へ―
走り終えた後、担架で運ばれる選手も出るほどに、
心をひとつに選手全員が死力を尽くして走りきった。
そして、掴みとった伊勢路の切符。
閉会式後。涙を流す選手たちのそばには鶴谷さんの写真が―。
11月4日(日)に行われる全日本大学駅伝。
大阪経済大学としては2年ぶりの伊勢路となる。
亡き監督のためにも、次は全国の舞台で〝想い〟を繋ぐ。
順位 | 大学名 | 合計タイム |
---|---|---|
1位 | 立命館大学 | 4時間03分34秒 |
2位 | 京都産業大学 | 4時間06分49秒 |
3位 | 大阪経済大学 | 4時間07分21秒 |
▲ 選考通過 ▲ | ||
4位 | 関西学院大学 | 4時間07分53秒 |
5位 | 龍谷大学 | 4時間11分35秒 |
6位 | 関西大学 | 4時間12分07秒 |
7位 | びわこ学院大学 | 4時間13分21秒 |
8位 | 京都大学 | 4時間15分05秒 |
9位 | 近畿大学 | 4時間16分22秒 |
10位 | 大阪大学 | 4時間19分16秒 |
11位 | 大阪学院大学 | 4時間21分22秒 |
12位 | 大阪体育大学 | 4時間21分39秒 |
開催日 | 2018年6月10日(日) |
大会名 | 秩父宮賜杯第50回全日本大学駅伝対校選手権記念大会 関西学連出場大学選考会 |
会場 | 京都市 西京極総合運動公園陸上競技場 |
備考 | 3校を決定 |
日本学連選抜チーム | |
石井 優樹 | 関西学院大学 |
坂東 剛 | 関西学院大学 |
土肥 祐貴 | 関西大学 |