素敵な宇宙船地球号 1時間スペシャル 異常気象を徹底究明 熱帯列島!?ニッポン

私たちの母なる大地で起こっている異常な出来事。その地球の悲鳴が聞こえてきませんか?世界的に異常気象が起きた今年。多くの人が「地球がおかしい」と思ったことでしょう。今回のスペシャルでは、温暖化と地球の謎に迫りました。

テーマ1<熊谷はなぜ暑いのか?>
今年の夏、40.9度と日本最高記録を更新した、埼玉県熊谷市。8月、35度以上の猛暑日が19日もありました。
なぜ、熊谷はこんなにも暑くなってしまったのでしょうか。その理由は熊谷の地形にあります。熊谷は、関東平野の内陸部にあり、もともと気温があがりやすい場所です。周囲を2000メートル級の山に囲まれているため、そこにさらにフェーン現象が加わるのです。しかし、専門家によると暑さの原因はそれだけではありません。東京都心のヒートアイランド現象が70キロ離れた熊谷にも影響しているというのです。
エアコンの排熱など人工的な熱によって気温が上昇する都心。夏場、本来なら東京湾からの涼しい風が吹き込み街を涼しくしてくれるはずでした。しかし、その風は都心の熱を巻き込んで住宅街を通過。さらにそのまま北上して埼玉県に入ります。埼玉に入った熱風は、さらにさいたま副都心の熱も含んで平野の終点、熊谷に達するのです。
ある研究では、朝9時ごろ都心だけにあった熱が、時間とともに北上していき、午後3~4時熊谷周辺の熱がピークに達することが証明されました。
東京都心からの熱風と、フェーン現象によって暑くなった北からの風がぶつかる場所、それが熊谷なのです。

テーマ2<都市型ゲリラ豪雨>
大きな積乱雲の真下だけ、激しい雨が降る「都市型ゲリラ豪雨」。局地的に降る激しい雨は、予測することができないほど突然起こります。
去年、番組では東京の観測史上最高、1時間131ミリを記録した練馬豪雨を検証。そこで、集中豪雨の原因がヒートアイランド現象にあることを証明しました。
この12年間で、東京で1時間に20ミリ以上という強い雨が降ったところを調べると、中野付近で31件、板橋付近で30件と偏りがあることが分かりました。
それは、都心に点在する超高層ビルが原因と考えられています。「ある方向から吹き込んできた風が、超高層ビル群にあたり上昇気流を発生させるためだと考えられている」というのです。中野の東側一帯には新宿副都心が、板橋の街の南側には池袋のビル群があります。
ビルによって起きた上昇気流が雨雲を発生させ、それが風下の一帯に豪雨となって降りそそぐと考えられるのです。
研究の結果、東風が吹くと新宿副都心の風下、中野一帯に強い雨が降ります。最近では、同じ東風のときに、汐留ビル群の影響で、品川一帯に強い雨が降ることが分かりました。南風のときは、池袋のビル群の影響で板橋付近に強い雨が降ります。再開発が進む東京。このままでは、都内のいたるところで思わぬ豪雨に襲われる危険性があるのです。

テーマ3<熱帯生物の侵略>
今年の夏、西日本でアルゼンチンアリが異常発生しました。南米原産で、温暖化で増殖。広島を中心に50キロを越える巨大コロニーを作り日本列島を北上しています。そして、今、台湾から日本上陸をうかがう凶暴な熱帯生物がいます。その正体は「ヒアリ」。南米産のアリは、飛行機の貨物に紛れて台湾に侵入。農村を中心に瞬く間に広がりました。ヒアリの武器はあごと毒針。獲物にかみつき体を固定すると、尻の針からアルカロイド系の毒液を注入します。体質によっては急性アレルギー症状で死ぬこともある「殺人アリ」です。
農作物や生態系の被害が深刻になってきた台湾政府では、「火蟻防治センター」を設置し、対策に真剣に取り組み始めました。
また、熱帯病の一つテング熱も最近の台湾で問題になっています。蚊を媒介して伝染する病気で、重症になると出血、死にいたることさえある恐ろしい病気です。
いずれも、地球の温暖化が原因といわれています。平均気温が上昇したことで、熱帯の生物が長く活動することができるようになり、猛威を振るう期間も長くなりました。
台湾から270キロ。沖縄県石垣島でも、熱帯病をくい止める水際作戦が進んでいます。国立感染症研究所の津田博士は、日本各地で蚊の調査を続けてきました。今、博士がおそれているのは、感染力の強い「ネッタイシマカ」の侵入です。今年8月の東京の平均気温は29度に達し、亜熱帯の台北と同じになりました。すでに、ネッタイシマカが繁殖する土台はできあがっています。「もう少し温暖化が進めば、本州のあたりまで分布を広げる可能性だってある」と博士はいいます。
地球の温暖化は、国境を越えて想定外の災いをもたらしています。

テーマ4<台風>
9月、首都圏を襲った台風9号。本来、赤道付近で発生するはずの台風が、これまでの気象観測の常識を越え、日本列島に近いエリアで生まれました。9号ばかりではありません。今年できた台風の7割が、日本に近い場所で発生しているのです。その原因として考えられるのが、海水温の上昇です。
それにより強大化した台風が日本列島に直撃。思わぬ場所で被害をもたらしています。記憶に新しい東北地方の記録的な豪雨。これも韓国で大雨を降らせた台風が原因でした。7月の熊本県美里町の集中豪雨も、同じように遠くにあった台風の影響だったのです。強い勢力の台風は、これまでの常識では予測できない被害を及ぼしています。
また、最近注目を集めているのが、竜巻と台風の関係です。去年9月に宮崎県延岡市でおきた竜巻も台風の影響でした。わずか5分の間に8キロを貫き死傷者154人を出した竜巻。当時の延岡には、300キロも離れたところにある巨大台風にともなうレインバンドと呼ばれる雨の帯が通過していました。いくつも発達した積乱雲の帯で、その一つに竜巻を生み出す原因だといわれる「スーパーセル」があったのです。「台風が強くなると竜巻の発生は増える」という学者。温暖化によって想定外の気象の変化が起こるようになりました。
そうした気象現象にそなえ民間最大の気象会社ウェザーニューズでは、全国に150万人のサポーターと呼ばれる会員をもち、携帯電話のメールをつかって、災害時の生の情報を集めています。今月6日に首都圏を直撃した台風9号の進路をとらえるのにも、サポーターのネットワークが活躍しました。「神奈川で停電!」「あと少しで床下浸水!」寄せられたメールの数は過去最高の3500通。現代のツールを用いて生まれた人と人をつなぐ助け合いのネットワーク。新しい防災の形が生まれつつあります。

語り:緒形 拳、室井 滋
ナビゲーター:石原 良純、照英、安田美沙子

ヒートアイランド現象

戦後、コンクリートのビルが増え、緑が減った東京は、この100年で気温が5倍、3.1度も上昇。地球温暖化の5倍のスピードにあたる。20年後までに、東京都心部の最高気温は、ほぼ確実の40度を越えるといわれている。

ヒアリ

体長数ミリのほどで南米原産の肉食性のアリ。刺されると焼け付くような痛みが続くことから名付けられた。刺された人は、意識を失うほどの痛みを感じる。台湾と無数のルートで結ばれる日本でも、ヒアリの侵入を警戒しています。

ウェザーニューズ

民間の気象予報会社。現在、気象庁の気圧観測地点が関東に11カ所なのに対し、サポーターに気圧計を配り、その数値を携帯電話で送信してもらうことで気圧を測定。43カ所で観測し、より細かく台風の進路を絞り込む体制を整えている。